子供たちにとってスマホは当たり前の時代になっている。新学期も始まり、子供がスマートフォンを持ち始めるという家庭も多いのではないだろうか。そのスマホを利用したSNS上でのいじめ問題について考える。

スマホ普及による「いじめの複雑化」

国の調査によると宮崎県内の公立学校でのいじめの認知件数について、2021年度は約9,400件にのぼった。1,000人あたりのいじめの認知件数は、宮崎県は86.2件で、全国では6番目に高い水準となっている。

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県教育委員会では、「いじめの未然防止に関する取組推進校」を指定し、「いじめ問題子供サミット」を開催するなど、生徒が主体となった取り組みを行っている。そんな中、問題となっているのがスマートフォンを利用したSNS上でのいじめだ。

ここから未来 理事 教育評論家・武田さち子さん:
SNS関係のいじめは非常に増えていると思います。スマホだと色々な機能がついていますよね、動画にしても写真にしても。そういうことでいじめの選択肢が非常に広がっていると思います

いじめの実態についても、複雑化しているという。

ここから未来 理事 教育評論家・武田さち子さん:
問題なのはいじめの加害者が、必ずしもいじめの場面をアップするとは限らないんですね。色々な人から回ってきた動画を、面白半分にいじめには加わっていない人が上げてしまうということがあります

一つ間違えれば無意識に、誰もがいじめの加害者になってしまう現在。

県教育委員会の2022年のアンケート調査によると、スマホの所持率は年齢を重ねるごとに増え、子供たちにとってスマホは当たり前の時代になっている。

子供のスマホの管理をどのように行っているか、街の人に聞いてみると…。

保護者:
みんな今SNSに上げたりするんですけど、見るのは良いけど、自分の分を上げるのは止めるとは言ってます

保護者:
子供のプライバシーも大事にしたいなとも思うし、でもトラブルに巻き込まれるのも嫌だし、難しいですね

保護者:
心配は正直あるんですけど、そこまで危ない使い方してないのかなという信用で、特に決めてないです

実際に中学生の娘がSNS上でいじめの被害にあったという、保護者に話を聞いた。

娘がいじめ被害にあった保護者:
インスタグラムのストーリーで悪口を投稿されたりとか、きょうも一日うざかったとか、また男の子としゃべってたとか…

実際に学校で会った時とSNS上では、態度も違ったという。

娘がいじめ被害にあった保護者:
「何かあるんだったら教えて」っていう話を持ちかけたみたいなんですけど、その時は笑ってごまかして、夜になるとSNSを使ってみんなが見られるように悪口を投稿する感じだったので、泣きながら訴えてきました

大事なのは“証拠”を残しておくこと

SNS上でいじめ被害にあった際は、そこで解決しようとすると、かえってこじれる場合もある。

ここから未来 理事 教育評論家・武田 さち子さん:
会って話し合える相手だったら会って話す。できるだけSNSを使わずに相手とコミュニケーションをとるということも、アドバイスしていただきたいと思います

また、証拠を残しておくことも重要だという。

ここから未来 理事 教育評論家・武田 さち子さん:
学校や警察など色々なところに訴えても、証拠がないとなかなか動いてもらえないということがあるので、写真に撮るなど、他の媒体でもバックアップを取っておくことをおすすめします

使用上のルールも無理に押し付けるのではなく、子供と一緒になって危険性など考え、決めていく必要がある。

ここから未来 理事 教育評論家・武田 さち子さん:
子供と一緒に学んで、子供と一緒に解決する姿勢が大事だと思います。情報収集力などは大人のほうがありますので、「親だったら相談してもいいかな」と子供が思ってくれるような、日ごろからの付き合いが大事だと思います

今の時代、子供たちにとっても必要不可欠となっているスマートフォン。子供にスマートフォンを渡す前に各家庭で使用上のルールをしっかり決めて、正しく向き合っていくことが重要となる。

(テレビ宮崎)