国会で入管法改正案の審議が続く中、27日都内の外国特派員協会で難民申請中のイラン人が緊急会見を行った。法案は今日(28日)にも衆院法務委員会で採決される見通しだ。
「本当に怖い。命に関わる問題です」
「本当に怖い。事情があって帰れないのだから、命に関わる問題です。残念です」
入管法改正についてこう語ったのはサファリさん(55)だ。サファリさんは30年以上前にイランから政治難民として来日し、いま3回目の難民申請中だ。国会で審議されている入管法改正案は、3回以上の難民認定申請者の強制送還を可能にする。

サファリさんはこう続ける。
「私は自由を求めて日本に来ました。祖国でどんな迫害を受けたか詳細は言えません。日本では入管に収容されるまでは仕事をしていました」
「日本は第二の故郷。日本と日本人が好き」
会見に同席した駒井知会弁護士によると、政治的な理由により祖国で受けた迫害は極めて深刻なもので、サファリさんは現在もトラウマを抱えているという。また、イランには家族がいまも残ったままだ。
サファリさんは2016年から約4年間、入管の施設に収容された。施設でハンストをしたところ2週間だけ仮放免され、また収容されたことでうつ病を発症した。しかしそれでもサファリさんは、「日本を選んだのは正しいと思う」という。
「日本は第二の故郷です。もうイランより暮らしが長くなりました。私は日本と日本人が好きです」

「難民審査改革に着手しないままの改正だ」
会見で指宿昭一弁護士は法改正について「難民審査改革に着手しないまま改正をしようとしている」と批判した。
「適正に保護される国ならば、複数回申請した後の送還は検討の余地があるかもしれない。しかしそうした体制がないにもかかわらず、強制送還すれば人が必ず死にます」
また修正協議で浮上した「在留資格がない子どもには在留特別許可を与える」についても指宿氏は「子どもたちを人質に取っている」と怒りを隠さない。
「日本で生まれ育ち日本の学校で学んできた子どもたちに、在留特別許可を与えることはこれまで市民が長年にわたって求めてきました。この修正協議は子どもたちの未来を難民の命と交換条件にして、どちらかの命を選べと言っています。G7の国がやることなのか」

「難民申請者の人権を守ってほしい」
サファリさんはこう語る。
「助けを求めてきているのに駄目だと言われたのは残念です。私たちは犯罪者ではないから、犯罪者扱いはやめてほしい。日本の国と国民と入管には、私たちの人権を守ってほしいです。人間として認めてもらわないと、私たちは暮らしていくのが厳しくなるのでどうかよろしくお願いします」
法案は今日(28日)にも衆院法務委員会で採決される見通しだ。
【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】