漁業の振興へ、岡山県が後押しする新たな施設が完成した。県内での栽培漁業を推進しようと、放流用の稚魚の生産などを行う施設が瀬戸内市に完成し、4月25日、記念式典が行われた。

地魚の安定供給を目指して…

式典には、伊原木知事や県内の漁業関係者など約40人が参加し、施設の完成を祝った。

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県農林水産総合センター水産研究所の敷地内に完成したのは、栽培漁業を推進する新しい施設だ。平屋建てで、延べ床面積は約1,500平方メートル。これまで4棟あった施設を新たに建設した建物に集約した。事業費は約10億5,000万円。

完成した新施設
完成した新施設

奥原怜奈記者:
施設では、魚やカニの卵をふ化して、稚魚や稚ガニを育てていきます

水温や光を調節し、50キロリットルの水槽を使って放流用の稚魚を育てていく。室内には水槽の水を吸い上げ、稚魚を大きさごとに仕分ける機械が導入されたほか、稚魚を育てるのに必要なエサを作る部屋もある。このほか施設では、タコや海藻などの増殖技術の開発も目指す。

岡山県・伊原木隆太知事:
種苗をきちんと生産することによって、瀬戸内海をフルに活用して漁獲量を戻していきたい

岡山県・伊原木隆太知事
岡山県・伊原木隆太知事

岡山県農林水産総合センター・草加耕司所長:
県民の皆さんへの旬の地魚の安定供給に貢献できれば

稚魚に稚ガニ…4種類の水産物を栽培

新しい施設では、1年を通じて4種類の水産物を栽培していく。まずは5月上旬、最初に着手するガザミ。親ガニから取った卵をふ化させて、6月には海に放流する。年間410万匹の生産を目指す。

ガザミ
ガザミ

そのあと始まるのがオニオコゼ。6月から7月にかけて、約5万匹の生産を目指す。

オニオコゼ
オニオコゼ

9月から10月にかけて生産されるのはアユで、約50万匹。3月から4月にかけてはモクズガニ、約10万匹が生産される。

県によると、これらの水産物は海の環境の変化や外来種の台頭などで、漁獲量が減少傾向で、新たな施設には資源の下支えに期待がかかる。

施設では今後、子どもを対象にした見学会も予定している。

(岡山放送)

岡山放送
岡山放送

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