岐阜・中津川市にあるハーブティー専門店は、薬剤師がお客さんの悩みを受けて調合しています。身も心も癒やされるハーブティー。薬剤師でありながら、ハーブティーのお店を開いた理由を取材しました。

薬剤師がオーナーのハーブティー専門店

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岐阜・中津川市の郊外。JR中津川駅から車で20分ほどのところにある、扉もかわいらしい1軒の店。

中に入ると、おしゃれなしつらえと共に、華やかな香りが広がります。

瓶の中にあるのはハーブです。

カフェのようにも見えますが、こちらは、ハーブティーの茶葉を販売する専門店「Jasper Green(ジャスパーグリーン)」。

オーナーは、前田一輝(まえだ・かずき)さん。

前田一輝さん:
今、このあたりにあるだけで100種類以上はうちにはあるかなと思います。それぞれ全然違う成分が入っているので、それぞれの良さをちょっとずつ取ってきてブレンドしたりだとか。成分的にも深みが出ますし

ハーブティーの成分、そして深みが出るとは…。

前田一輝さん:
薬剤師の資格を持っておりまして、昔からちょっと植物が好きだっていうのはあったんですけど、薬剤師が作るハーブティー専門店を作りたくて、このような形でやらせていただきました

前田さんは、薬剤師の資格を持っています。

カモミールやローズヒップをはじめ、店にある100種類以上のハーブから、それぞれが持つ成分や効能を吟味して、薬剤師の前田さんがハーブティーとしてブレンドし、販売しています。

店の看板である5種類のハーブティーは、女性の悩みに合わせたものです。

「ビューティ」(約1週間分 820円)は、代謝を高めるともいわれるハイビスカスや、ビタミンCがレモンの20倍あるローズヒップなどを組み合わせた、美容が気になる人向けのハーブティーです。

リラックスしたい時には「プレシャスデイズ」(約1週間分 970円)。気持ちを落ち着かせる働きがあるベルベーヌやカモミールにペパーミントを加え、スッキリとした味わいの1杯です。

体を温める効果が期待できる「ジンジャーシナモン」(約1週間分 970円)も。シナモンと、ほんのりスパイシーなジンジャー、そしてステビアでほのかな甘みが広がります。

ハニーブッシュなどを使った「チューニング」(約1週間分 820円)は、生活習慣が乱れている人におすすめです。

「飲むサラダ」とも言われているマテを使った「ワークアウト」(約1週間分 970円)。

フェンネルがスパイシーな香りも添えます。

体の悩みをカウンセリングしハーブティーを調合

前田さんに体の悩みを相談している人がいました。

女性客A:
今、寒いので、体が温まる系のものをいただこうかなと思って。彼は薬剤師さんなので、相談して混ぜてもらっている感じです

女性客B:
「ちょっと眠れないです」とか、「イライラして落ち着きたい」っていうふうに相談すると、そのようなハーブを調合してくれます

体の悩みを相談し、その人だけのオリジナルハーブティーを調合してくれます。

前田一輝さん:
今日はどんな感じがよかったですか?

女性客C:
ちょっと寒い時期なんで、冷えにいいものに、美容にいいものをちょっと足してもらったらうれしいです

前田一輝さん:
ちょっと酸味とかも入っても?

女性客C:
酸味も大丈夫です

前田一輝さん:
甘酸っぱい感じで、ちょっとバラを入れさせていただいて、きっとかわいくなるかと

この女性客は体を温めることと、美容に良いものを飲みたいと要望していました。

前田さんは要望に合うハーブを選びます。まず選んだのがローズヒップ。

前田一輝さん:
ビタミンCがいっぱい入っていたりですとか、ほんのりとした甘みと酸味があります。ハイビスカスを一緒に加えると、こっちは結構酸っぱくて、一緒に取るとビタミンCの吸収が良くなったりとか。あと、こちらも面白いですけど、ヒースっていうかわいらしい(ハーブ)。これも、アルブチンっていう物質が入っています

Q.これは美容に?

前田一輝さん:
そうですね。美容に。あとはミネラルとかビタミンとかもいいかなと思いますし。こちらにジンジャーと…

Q.これは体を温める?

前田一輝さん:
そうですね。温かくなっていただいたく

Q.結構な種類

前田一輝さん:
結構、これはいっぱい入れようかなと思います

体を温めるジンジャーを中心に、ビタミンCや抗酸化に効果が期待できるものなど、美容に良い成分があるハーブ10種類を選びました。

前田一輝さん:
同じ成分が入っているものもあるんですけど、足しすぎると多くなり過ぎちゃうんで、入っている成分がうまくなるようにって考えながら、一応やってはいますけど

調合されたハーブは、ハイビスカスの甘酸っぱい香りが鼻をくすぐります。

ただ、肝心なのは、味や香りが客の好みに合うのかです。店では、その場で試飲できます。

前田一輝さん:
香りも楽しんでいただけたらうれしいなと。甘酸っぱくなっているんで

女性客C:
おいしいです。酸味もちょっとあるんですけど、ジンジャーの香りもある。辛みは抑えてありますし、甘い。ハーブティーって飲みにくいのとかあるじゃないですか。だけど、これはバランスがいいのですごく飲みやすい

前田一輝さん:
ハイビスカス系の酸味と、ジンジャーの辛みと、そこをベースにして、上に香りと味を乗せていくような化学式というか…、ちょっと思い浮かべながら、同じ同じっていうような感じで

オーダーメイドのブレンドは、約1カ月分で2,890円からです。

ハーブは組み合わせで、味や香り、成分も上乗せすることで深みが増していくといい、一般的な単体のハーブティーは売っていません。

きっかけは祖父から教わった薬草の知識

薬剤師の知識を生かしたハーブティー専門店。ハーブに興味を持つのには、3つの出来事がありました。

前田一輝さん:
祖父が、山の中で植物を取ってきて一緒に食べたりして、「これはこれに効くんだよ」っていうのを教えてくれて。小学校1年生くらいから、おじいさんが一緒にやろうって言って教えてくれました

ひとつ目は、前田さんのおじいさん。

植物に興味を持ち、学校の自由研究でも薬草を標本にしたほどだといいます。

そして…。

前田一輝さん:
母方の祖母が、ガンになってしまったことがあって。苦しんで、小さいながらにもすごく大変なことなんだなっていうのを思ったことがあって…。その薬草で、もしかしたらこれをやっていったら、そういうガンとか困っている人を助けられるんじゃないかなって、子供ながらに思った記憶が今でもあります

その思いを胸に、薬学部に進学。

薬の見識を深める中、外国の医療を学ぶため留学したとき、ある発見がありました。

前田一輝さん:
薬局に行くと、本当にクスリ棚の中にハーブが入っていて、胃が痛いですって言うと、ミントを出してくれたりとか、いろんなハーブを調合してくれたりとか、これがいいですよっていうのがあって

アメリカやヨーロッパでは、体調を整えるために、いわゆる「お薬」ではなく、まずハーブティーを飲む文化があることを知りました。

そして帰国後、ハーブティー専門店を開きました。

薬草の楽しさを教えてくれたおじいさん、子供ながらに、おばあさんを救いたかったという願い、そしてハーブティーで体を癒やす文化がブレンドされ、この店が生まれていました。

前田一輝さん:
やっと、この辺りで少しみなさんに知ってもらえるようになったので、名古屋とか東京とかも、みなさんもっとハーブを知ってもらって、最終的には海外にも逆に日本のものを向こうに持っていきたいなって気持ちも。こっちでやっていることを、向こうにも知ってもらいたい

店は火曜日定休で通信販売もあります。前田さんが1人で営業しているため、事前予約がおすすめだということです。

2023年1月23日放送
(東海テレビ)

東海テレビ
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