おいしいコーヒーの決め手は水。その水を、空気から作るカフェがオープンした。

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25日に東京・渋谷にオープンしたおしゃれなカフェ「AIR DRIP COFFEE(エアドリップコーヒー)」。

この店では、おいしいコーヒーの決め手の1つとなる「水」に特徴がある。

今湊敬樹キャスター:
こちらのお水、実は、空気からできているんです。

この店で使用している「空気製水機」では、取り込んだ空気の汚れをエアフィルターで取り除き、熱交換器で空気を冷やして水滴にする。

その水を、浄水フィルターやミネラルフィルターなどを通し、さらにきれいにしてミネラルをプラス。 

そうすることで、安全でおいしい水を作ることができるという。

今湊敬樹キャスター:
こちらの“空気から作られた水”、いただきます。すっきりしていておいしいです。水道水で時々感じる、鉄っぽい雑味みたいなのが全くなくて、ごくごく飲めます。

「AIR DRIP COFFEE」は、水資源の豊富な日本で、なぜ空気から水を作ったのか。

アクアム・河﨑悠有代表取締役:
災害時はもちろん、停電・断水時でも蓄電池とかを合わせることできれいな水を確保できますし、人口が増えていく中で水資源自体が不足していっているので、そういった水資源不足に対して、自分が飲む水を自分で作る。そういったソリューションになると思っています。

提供する際には、紙製のカップとフタに、間伐材から作った竹のストローを使用し、人だけではなく、環境に優しい取り組みも行っている。

アクアム・河﨑悠有代表取締役:
電気さえあればどこでもきれいな水が作れるので、きれいな水が飲めない地域や海外、本当に水が不足している地域で、おいしい水とコーヒーを提供していきたい。

「水源は空気」。

「空気から作られたおいしい水」のコーヒーで、スイーツも一層おいしく
「空気から作られたおいしい水」のコーヒーで、スイーツも一層おいしく

「AIR DRIP COFFEE」は、場所を選ばず作ることができる水で、水の大切さを発信し、多くの人の生活を支えていくことを目指している。

水道水を安全に飲める国は世界に15カ国

「Live News α」では、一橋ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
空気から作った水でいれるコーヒー、いかがですか。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
空気中の湿気から飲料水を作る方法は、現在もっとも重要かつ革新的な水抽出ソリューションの1つです。

日本では水道水を安全に飲めることは当たり前ですが、「国土全体において水道水を安全に飲める国」は世界にたった15カ国しかないといわれています。

工業化や生活水準の向上は、水の需要を押し上げており、今後10年以内に、世界人口の2人に1人は、安全な水を飲めない地域に住むとされています。

今回の試みは、世界で深刻化する飲料水の枯渇に対する一つの答えになるかもしれませんね。

堤 礼実 キャスター:
この空気製水器を、広げていくためのポイントはどこにあるのでしょうか。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
誰かにとって「いいこと」だと分かっていても、それが自分にとっても「いいこと」でないと、なかなか広まりません。

今回の取り組みは「おいしいコーヒーが飲める」という、自分にとっても「いいこと」があります。

世界的な飲料水の枯渇問題を、日本で自分事として捉えるのは少し難しいかもしれません。

しかし、おいしいスペシャルティコーヒーを飲んで下さいという、直接的なベネフィットを先に打ち出すことで、ユーザー価値の提供に成功しています。

消費者はおいしいコーヒーを味わいつつ、社会問題についても考えたり・貢献することで、重層的な価値を得ることができます。

”安全でおいしい水”知る日本の説得力

堤 礼実 キャスター:
命の源である飲料水の課題の解決のためにも、「空気からつくった水」が新しい選択肢として定着するといいですね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
製品の品質に信用を与えることは、イノベーションの普及において大切なことです。

安全な水・おいしい水を日々飲んでいる日本人が、「空気から作られた水はおいしい」と評価すると、その信頼性を高めることができます。

空気製水機の競争が今後、グローバルレベルで激しくなる可能性もありますが、日本での評価は、差別化や優位性の鍵となるかもしれません。

堤 礼実 キャスター:
こういった取り組みによって、世界が抱える水問題について関心を持つきっかけにもなりますし、この空気中の水分を飲料水に変えるという技術が、災害時などにも広く活用出来るようになれば良いなと思います。

(「Live News α」4月24日放送分より)