繁殖期に入った野生のカラスが、人を襲う事例が相次いでいます。

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4月23日、「めざまし8」が訪れたのは、名古屋市を走る高速道路の高架下です。

高速道路の高架下
高速道路の高架下

歩行者が、2羽のカラスに次々と襲われていました。

カラスの繁殖期は例年4月から7月。この時期は、巣を守るために攻撃的になりやすいといわれています。

カラスの繁殖期は例年4月から7月 巣を守るため攻撃的になりやすいという
カラスの繁殖期は例年4月から7月 巣を守るため攻撃的になりやすいという

周囲を警戒するように、高い場所から見下ろすカラス。

歩行者が歩道橋を渡ると…。

歩道橋を渡る歩行者を襲う
歩道橋を渡る歩行者を襲う

急降下して、歩行者に襲いかかります。

女性の後頭部に蹴りを入れ、ひるんだ女性が手で頭を守りながら再び歩き出すと、さらに攻撃を繰り返します。

女性の後頭部に蹴り
女性の後頭部に蹴り
頭を守りながら逃げる女性に何度も襲いかかる
頭を守りながら逃げる女性に何度も襲いかかる

別の夫婦は、かぶっていた帽子の上からカラスに小突かれたと話します。

インタビュー中にも、別の女性を襲撃するカラス。老若男女手当たり次第に襲っています。

インタビューの後ろで、女性を襲うカラス
インタビューの後ろで、女性を襲うカラス

何かのサインなのか、カラスたちはクチバシで木の枝を折っては投げ、折っては投げと繰り返しています。

木の枝を折って放り投げるカラス
木の枝を折って放り投げるカラス

札幌カラス研究会・中村眞樹子 代表理事:
枝をポキポキ折ったり、葉っぱをちぎって落とすと。パラパラと上からものが降ってくる。(その状況は)かなりイライラしているので、それを見るとやばいなと。

こうした行動は、“襲う直前のサイン”だというのです。

人通りが多くなるにつれて、カラスの行動はエスカレート。

歩道橋だけではなく、歩道にいた人にも襲いかかる
歩道橋だけではなく、歩道にいた人にも襲いかかる

歩道橋につながる歩道にいた人に対しても、頭を蹴ろうとするような仕草を見せたかと思うと、ついにはカメラに向かって低空飛行で威嚇を始めました。

このようなカラスによる激しい攻撃に対抗する手段はあるのでしょうか?

札幌カラス研究会の中村眞樹子代表理事によると、「両腕を上げてバンザイのようなポーズ」をすることで、攻撃を防げる可能性があるといいます。

攻撃に対抗する手段は…
攻撃に対抗する手段は…

札幌カラス研究会・中村眞樹子 代表理事:
「腕を上げましょう」っていう。カラスの方が翼を広げた幅が広いので、手を上げている両腕のところに翼自体が引っかかって、(カラスが)ケガする可能性があるので、そこまでしてカラスも蹴りません。

両腕を上げると、旋回して逃げるカラス
両腕を上げると、旋回して逃げるカラス

実際に、カラスが襲ってくる現場で中村氏が両腕を上げると…襲ってきたカラスが急カーブを描き避けていきました。

巣作りで停電 対策しても別の場所で被害発生するケースも

カラスによる被害は、他にも。

電柱から回収されたカラスの巣 針金が電線に触れショートし、停電につながったか(富山市)
電柱から回収されたカラスの巣 針金が電線に触れショートし、停電につながったか(富山市)

富山市では4月15日、約1400戸の大規模な停電が発生。電柱に作られたカラスの巣に使われた「針金」が電線に触れ、ショートしたことが原因とみられています。

埼玉県越谷市では、南越谷駅の前にたむろしていたカラスに対し、市が対策を講じたところ、今度は越谷総合公園に大量のカラスが姿を現すようになりました。

駅前から公園に大量のカラスが姿を現すように
駅前から公園に大量のカラスが姿を現すように

公園管理者によると、少年野球チームの荷物が荒らされるなどの被害が頻発しているといいます。

ブルーシートに置かれた荷物をあさるカラス
ブルーシートに置かれた荷物をあさるカラス

長年、カラスを含む鳥類を研究する東京大学の樋口広芳名誉教授は…。

東京大学 樋口広芳名誉教授
東京大学 樋口広芳名誉教授

東京大学 樋口広芳名誉教授:
ねぐらというのは夕方、各方面から集まってきて寝る場所なんですね。カラスにとっては安全な場所であるわけです。駅前とかにねぐらがあると、フンが落ちてきて通行人にかかるとか、声がうるさいとかで非常に嫌がられる。しかし、カラスにとって非常に重要であるねぐらをダメにしてしまうと、他の場所に行く。10kmから十数km移動します。

「カラスにとって非常に重要である“ねぐら”をダメにしてしまうと他の場所に行く。10kmから十数km移動する」
「カラスにとって非常に重要である“ねぐら”をダメにしてしまうと他の場所に行く。10kmから十数km移動する」

隣接する自治体にも影響を及ぼす可能性があるカラス対策。

「めざまし8」に出演する橋下徹弁護士も、大阪市長時代に鳥獣被害について頭を悩ませたといいます。

橋下徹弁護士
橋下徹弁護士

橋下徹弁護士:
鳥獣被害については、僕も大阪市長の時に大変な思いというか、壁にぶつかったんですけど。簡単なのは、捕獲して殺処分なんですよ。でも、動物愛護などの流れからそれはできない。であれば、カラスの縄張りに入る人間の方が悪いと考えて、繁殖期にはそこに近づかないという方法をやろうと思ったのですが、都心部ではなかなかできないんです。
人間が立ち入ることのできないエリアが、いっぱいできてしまうので。そうなると結局、追い出しになるでしょ?でも、追い出しても違うところに移るんですよ。違うところにいけば、違うところの人が困るわけですね。

取材スタッフに襲いかかるカラス
取材スタッフに襲いかかるカラス

人との共存を図ろうとしたものの、実現には至らなかったと話す橋下氏。

橋下徹弁護士:
僕は結局、市長の時できなかったんですが、近接の自治体と協議しながら、カラスの居場所をコントロールする。分散して、ここでみんなでそれぞれの負担を分かち合いながら、分散させようということができなかったのですが、鳥獣、特にカラスのねぐらとかを人間がコントロールしながら、管理していくことってできるんですか?

電柱に作られたカラスの巣
電柱に作られたカラスの巣

東京大学 樋口広芳名誉教授:
管理するのはなかなか難しいです。人間の迷惑にならないような所にねぐらをとるとか、移す場所、移動してもらう場所というのを調べて、どこにそれがあるのか。どのように誘導したら良いのかということを考える必要があると思います。カラスの生態を調べていけば、移動範囲や移動経路などがわかるので、基礎的な情報を集めるということが、まず第一に必要なのではないかなと思います。

(「めざまし8」4月24日放送)