日本一小さな村である富山・舟橋村で、4月、子育て支援団体が運営する「駄菓子屋」が開店した。子どもたちが放課後に楽しく過ごせる場所にと、平日の午後にオープンするこの駄菓子屋が、子どもたちに寄り添う新たな「居場所」になっている。その様子を取材した。

子育て支援団体運営の「駄菓子屋」

富山市に隣接し、子育て世代の転入などで人口が増加傾向にある舟橋村の小学校近くにある舟橋会館のロビーで、4月から「だがしや さくらんぼ」がオープンした。

平日午後にオープンする「だがしや さくらんぼ」
平日午後にオープンする「だがしや さくらんぼ」
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売られているのは1つ5円から40円ほどの駄菓子で、「くじ引き」や「ゲーム」などのおもちゃも用意されている。連日、学校帰りに子どもたちが立ち寄って楽しく時間を過ごしている。

訪れた人:
子どもたちも交流できるし、ママたちも子どもを遊ばせながら話したりできる

子どもたちを見守るさくらんぼくらぶ・沙魚川恵子理事長(写真左)
子どもたちを見守るさくらんぼくらぶ・沙魚川恵子理事長(写真左)

村の子育て支援の団体「さくらんぼくらぶ」が放課後の「居場所」にと、この「だがしや さくらんぼ」を開いた。子どもたちを見守るのは理事長の沙魚川恵子さんだ。

さくらんぼくらぶ・沙魚川恵子理事長:
駄菓子屋のおばあちゃんになるのが夢だった

駄菓子屋開く回数増やしたいと村に相談
駄菓子屋開く回数増やしたいと村に相談

沙魚川さんはこれまでも週に一度、公園で駄菓子屋を開いていて、もっと回数を増やしたいと村に相談。村は舟橋会館活用の一環として児童館要素を取り入れた「みんなのあそびば」事業を展開することになり、村から委託される形で、新年度から平日、毎日開催できるようになった。

“放課後の居場所”にこだわる理由を語る沙魚川理事長
“放課後の居場所”にこだわる理由を語る沙魚川理事長

沙魚川さんが「放課後の子どもの居場所」にこだわるのには訳がある。

さくらんぼくらぶ・沙魚川恵子理事長:
(支援員として)学童保育施設に15年くらいいた。帰ってきたときの表情で、きょう何かあったなって(わかる)。子どもって、結構ため込んじゃったり、そのときだけで忘れちゃったり。でも絶対(心の中に)残ってるので、ちょっと荒れていたり。そういうときにちょっと言えたら、吐き出せたらというのはずっと思っていて。誰でも、大人も子どももそうだと思う

参加者からスタッフに…支援の輪広がる

村営の子育て支援センターも運営
村営の子育て支援センターも運営

沙魚川さんが立ち上げた「さくらんぼくらぶ」は、村営の子育て支援センター運営も委託されている。沙魚川さんが子育て支援に取り組むようになったのは、村に引っ越してきた約20年前で、親子が気軽に集まれる場所がなかったことから、ボランティアによる子育てサークルとして活動を始めた。

「やろうと思う人が集まれば」と“人の重要性”話す
「やろうと思う人が集まれば」と“人の重要性”話す

さくらんぼくらぶ・沙魚川恵子理事長:
本当は(もともと施設や制度などが)整っていれば、大変な思いをしなくて済む分もたくさんある。だけど、なければないで、なんとかなるのかな。やろうと思う人が集まれば

イベント参加者からさくらんぼくらぶスタッフになったケースも
イベント参加者からさくらんぼくらぶスタッフになったケースも

「さくらんぼくらぶ」が開く体操教室などのイベントには、1年間にのべ700組の親子が参加。中には沙魚川さんが声をかけ、参加者からスタッフになった人もいて、子育て支援に関わる人の輪が広がっていった。

「嫌なことがあれば言えるような…」

舟橋村では、子育て世代の転入などで人口に占める子ども割合が高く、子育て世帯向けの賃貸住宅が建設されるなど「子育て支援」が重要課題に掲げられている。こうした舟橋村の子育て環境の整備を長くボランティアとして地域で支えてきたのが「さくらんぼくらぶ」なのだ。

子どもたちの居場所として始まったこの「駄菓子屋」、将来は村の内外を問わず不登校に悩む子どもたちなどさまざまな人が集う場にしたいと、沙魚川さんは考えている。

“屋内の公園”に…今後の展望語る
“屋内の公園”に…今後の展望語る

さくらんぼくらぶ・沙魚川恵子理事長:
“屋内の公園”でありたい。好きな時に好きなことをして遊んで帰る。(部屋を借りて)扉を開けてこんにちは…というよりも、入ってきたらここで何かやっていて、大人が必ずいて、嫌なことがあったときにポロっと言えるようなそんな場所をつくりたい

どの世代にも、駄菓子は夢中になり心が安らぐところがある。いまの子どもたちにとっても、必要なものがそこにあるのかも知れない。その駄菓子をツールにした居場所「だがしや さくらんぼ」は平日午後2時ごろから開いている。

(富山テレビ)

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