4月に入り北海道ではクマの目撃が増えている。4月14日には、札幌市中央区でクマの親子とみられる動物が目撃された。現場は札幌の高級住宅街。動物園のすぐそばで、学校の通学路にも近い場所だった。また道東の厚岸町では犬の散歩中の女性が襲われケガをするケースも…出没を繰り返すクマとどう向き合っていけばよいのだろうか。もしもあなたがクマと遭遇したら…。
何度も現れるクマ…埋めていた"シカの死がい"に強い執着
3月12日、札幌市南区の山林に出没したクマ。
この記事の画像(8枚)クマの出没を受けハンターが"花火"で追い払った後、斜面を調べると、エサとみられるシカの死骸が埋められていた。
市が死がいを回収し、監視カメラを設置したところ、シカの臭いを頼りにエサを探し求めるクマの様子が撮影された。
獲物への執着心の高さを示すケースとなった。
車の行く手をふさぐヒグマ 逃げる男女を追いかけ突進
4月1日、道南の八雲町で、車に向かって突進してくるクマの姿が撮影された。
道路上にいたクマは車に気付くと、まるで進行方向をふさぐようにゆっくりと近づいてきた。
ドライバーがあわてて車をバックさせると突然、突進。
クマはその後ほかの車に気を取られ、車に乗っていた男女は無事だった。
撮影者の男性は「身の危険を感じた。初めてのことでどうしたらいいかわからなかったが、今考えると遠くからクラクションを鳴らすなどした方が良かったかも」と話している。
犬の散歩中の女性 ヒグマに襲撃され頭や太ももに大ケガ
4月1日午前、厚岸町太田の農道で、犬の散歩をしていた女性がクマに襲われ、頭や足などに大ケガをし、ドクターヘリで搬送された。連れていた2匹の犬は無事だった。
厚岸町周辺では牛を次々と襲うクマ "OSO18"による被害が相次いでいるが、町によると、女性が襲われた現場はこれまでOSO18が出没した場所からは遠く、違う個体の可能性が高いということだ。
道によると、人身事故以降も継続してパトロールを行っているということだが、女性を襲ったクマの行方は分かっていない。
女性がクマに襲われた事態を重く見た道は、厚岸町を対象に「ヒグマ注意報」を出した。ヒグマ注意報を出すのは2023年度になって初めてだ。
3月以降、相次ぐクマの目撃。活動活発化の理由について、酪農学園大学の佐藤喜和教授は「冬眠を終えて活動を開始したクマが多い。今年は雪解けが早かったことが影響しているのだろう」と分析する。
『トド』を食べるヒグマ…箱ワナにかかり"駆除" 砂浜に埋めた死がいに執着
4月3日、留萌地方の小平町で、クマ1頭が箱ワナにかかっているのが見つかり、駆除された。
箱ワナは、クマの目撃情報を受けて町が設置していたもので、クマの体長は1.5メートルほどあったということだ。
砂浜にはトドの死骸が埋まっていて、クマが砂を掘り返し食べる姿が目撃されていた。
どうするヒグマ対策 行政の対応は?
クマの出没が相次ぐなか札幌市は「ヒグマ対策技術者人材育成のための捕獲」として、春のパトロールを4月18日まで行った。
また4月21日には、札幌市南区の人里近くに出没を繰り返していたクマ1頭を駆除した。
一方、北海道は、厚岸町エリアに「ヒグマ注意報」を出すとともに、道内全域を対象に5月31までを「春のヒグマ注意特別期間」に設定し、下記のようなヒグマ対策をとるよう呼び掛けている。
【ヒグマに出遭わないための基本的ルール】
■野山に入る前には、市町村などのヒグマ出没情報を確認する
■単独行動は避け、複数で行動する
■鈴や笛など音の出るものを鳴らす
■ヒグマのフンや足跡を見たら、すぐに引き返す、など
(北海道文化放送)