北海道札幌市から車で1時間ほどで行ける小樽市。

 マチの歴史をたどりながらグルメや絶景を満喫できる旅を紹介する。

 旅の舞台は小樽市。

 異国情緒あふれる街並みは多くの観光客を惹きつけ、2025年、日本遺産にも認定されたばかりだ。

多くの観光客を惹きつける「小樽」
多くの観光客を惹きつける「小樽」
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 一緒に旅をするのは、その魅力を知り尽くす三浦正嗣さん。

 「そもそも日本遺産って何ですか?」(糸口真子アナウンサー)

 「地域にある有形・無形の文化財。それらを一つのストーリーとしてパッケージ化したもの。観光のシンボルとなっている小樽運河、周辺の倉庫群。これらが、かつて消滅の危機に瀕した歴史があった事実はご存知でしょうか」(小樽市日本遺産地域プロデューサー 三浦正嗣さん)

 「知らないです」(糸口アナウンサー)

 「きょうは知られざる歴史について、小樽の街を歩きながら紹介していきたいと思います」(三浦さん)

 日本遺産に認定された背景をひもとく旅に出かける。

小樽市日本遺産地域プロデューサー 三浦正嗣さん
小樽市日本遺産地域プロデューサー 三浦正嗣さん

日本遺産の構成文化財の一つである色内銀行街

 最初に案内されたのは、小樽運河から歩いて5分ほどのエリアだ。

 「一見すると普通の道じゃないですか。ここにどういった歴史があるんですか」(糸口アナウンサー)

 「ここも日本遺産の構成文化財の一つである色内銀行街と呼ばれるエリアなんです。当時の小樽がどれだけ栄えていたか分かる場所なんです」(三浦さん)

色内銀行街
色内銀行街

 明治以降、石炭が輸送されるようになった小樽港。

 北海道の物流拠点として1923年には小樽運河が完成、商社や銀行も次々と進出し「北海道の心臓」と呼ばれるほど栄えた。

 「ここから見えるだけでも旧三菱銀行・小樽支店、旧第一銀行・小樽支店、あちらには旧北海道拓殖銀行・小樽支店。最盛期には25もの銀行が活躍する経済の街になっていたんです」(三浦さん)

当時の小樽港(提供:小樽市日本遺産推進協議会)
当時の小樽港(提供:小樽市日本遺産推進協議会)

日本銀行旧小樽支店

 色内銀行街の中、訪ねたのは日本銀行旧小樽支店である。

 「お~、天井高い!歴史があるっていうのが分かりますね」(糸口アナウンサー)

 「建築費用もですね、なんと、日本銀行の東京の本店、大阪支店についで3番目の多額な建築費用をかけられて建てられたのが、小樽支店だったんです」(三浦さん)

日本銀行旧小樽支店
日本銀行旧小樽支店

 旧小樽支店は、いまは、金融資料館に。
 
 銀行員になりきって写真撮影を楽しんだり「1億円の重さ」を体験できるコーナーもある。

館内では写真撮影を楽しめる
館内では写真撮影を楽しめる

 「1億円があったら現実的に考えて、5000万円を貯金、5000万円を使う。車を買ってヨーロッパ周遊の旅行に行きます」(糸口アナウンサー)

 「僕はまず、住宅ローンを全部返済しようかなと」(三浦さん)

 「えっ、持ち上がらない。おもたっ」(糸口アナウンサー)

「1億円の重さ」を体験
「1億円の重さ」を体験

運河沿いに立ち並ぶ旧小樽倉庫群

 次に訪れたのは運河沿いに立ち並ぶ旧小樽倉庫群。

 栄華と衰退の歴史を感じられる場所だ。

 「まるで日本じゃないかのような異国情緒が溢れるような景色ですよね」(糸口アナウンサー)

 「ただこういった倉庫群とか小樽運河も時代の移り変わりで使われなくなってしまって。運河も埋め立てて道路にする計画であるとか。実際に周辺にあった石造の倉庫群も取り壊しが進んでいったんです」(三浦さん)

旧小樽倉庫群
旧小樽倉庫群

 戦後、エネルギー転換による石炭から石油への移行で、小樽運河はその役割を終えた。

 埋め立て計画も持ちあがる中、街並みを保存しようと市民らが立ち上がり一部保存されて現在の姿となった。

エネルギー転換により役割を終えた小樽運河(資料)
エネルギー転換により役割を終えた小樽運河(資料)

 その保存活動のひとつが「ポートフェスティバル・イン・オタル」と呼ばれる音楽祭である。

 異国情緒あふれる街並みに魅力を感じた小樽の若者たちが企画した。

 手作りの音楽祭にもかかわらず来場者は2日間で10万人にも上ったのだ。

「ポートフェスティバル・イン・オタル」(資料)
「ポートフェスティバル・イン・オタル」(資料)

旧倉庫群の裏手には洋食店が

 旧倉庫群の裏手にある可愛らしい洋食店。

 市民が奮闘した時代に愛された料理の味がいまに継承されている。

旧倉庫群裏手にある洋食店
旧倉庫群裏手にある洋食店

 「パエリアですか」(糸口アナウンサー)

 「パエリアです」(洋食屋マンジャーレTAKINAMI 瀧波剛さん)

 海産物がぎっしりのった見た目にも美しいパエリアだ。

海産物がぎっしりのったパエリア
海産物がぎっしりのったパエリア

 「小樽のポートフェスティバルで作っていた「100人パエリア」がとても人気があって評判をいただきました」(瀧波さん)

 当時、人気を集めたのが巨大な鍋で100人前を一気に炊き上げる「100人パエリア」だ。

100人パエリア(提供:石と鉄)
100人パエリア(提供:石と鉄)

 「(巨大鍋)え~、大きい。一緒に並んでも大きいのが分かりますよ」(糸口アナウンサー)

 「(ポートフェスティバルが)最後の年は4回炊きました」(瀧波さん)

 瀧波さんは100人パエリアを考案したひとり。

 いまも店のメイン料理としてパエリアを提供し続けている。

「100人パエリア」で使った巨大な鍋
「100人パエリア」で使った巨大な鍋

 海産物の旨味がしみ込んだそのお味は?

 「おいしい。噛むごとにお米の中からホタテだったりアサリといった海産物が沢山入ってくるから旨味がどんどん出てきますよ」(糸口アナウンサー)

 「やっぱり自分でお店を開くときには、パエリアを継続して提供していきたいなっていう想いがありましたから。ほぼ同じ感じで作るようにしています」(瀧波さん)

海産物の旨味がしみ込んだパエリア
海産物の旨味がしみ込んだパエリア

夜景で有名な天狗山

 旅の終着地点は、夜景で有名な天狗山。

 特別な体験ができるという。

天狗山
天狗山

 「気球だ!すごい」(糸口アナウンサー)

 「係留熱気球体験といって、地上と気球をロープで固定した体験を行っています」(mate 橋口健児代表)

 小樽の街並みを一望しに空中散歩へ。

 空高く舞い上がる。

気球にのって空中散歩へ
気球にのって空中散歩へ

 「すごい、どんどん地面が遠くなっていく。非日常ですよ。目の前には、小樽の街並みが見えます」(糸口アナウンサー)

 小樽港を一望できる天狗山からの眺めは、日本遺産の構成文化財にもなっている。

 「歴史を知ってから見る小樽の街並みは一風変わって素敵ですね」(糸口アナウンサー)

 市民の思いが紡いだ、「小樽という日本遺産」。

 あなたもこの夏、歩いてみては?

小樽港を一望できる天狗山からの眺め
小樽港を一望できる天狗山からの眺め
北海道文化放送
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