「ネットで買った商品が届かない!」「アパートを解約したら高額費用を請求された!」「一括払いのはずがリボ払いになっていた!」私達の周りにある様々な「消費者トラブル」。

これらの解決を支援する情報を提供するため国民生活センターは4月3日、「消費者トラブルFAQサイト」を開設した。

(出典:国民生活センター)
(出典:国民生活センター)
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FAQとは「よくある質問とその回答」だ。

同サイトでは、言葉を入力するキーワード検索と、「不審なメールや電話・覚えのない請求や荷物」「ネットでの取引」などの項目を選んでいくカテゴリ検索がある。どちらからでもトラブル解決に役立つ情報や、相談窓口などの案内、関連するFAQなどが見られる仕組みだ。

12項目に分かれたカテゴリ検索、それぞれ選ぶと更に細かい項目が表示される。(4月14日時点 出典:国民生活センター)
12項目に分かれたカテゴリ検索、それぞれ選ぶと更に細かい項目が表示される。(4月14日時点 出典:国民生活センター)

現在は全部で189件の情報が登録されていて、最も閲覧が多いFAQは「突然パソコンから警告音 画面に『ウイルス感染』『電話ください』と表示された 対処方法を知りたい」というものだった(4月14日時点)。

ちなみにFAQの答えは次の通り。

回答
偽セキュリティ警告画面の疑いがあります。
お金を支払ったり、記載の電話番号に連絡せず、無視してください。

この回答のあとには、消費生活相談窓口の電話番号と、詳しい情報へのリンク、さらにアンケートも表示された。

(出典:国民生活センター)
(出典:国民生活センター)

電話だけでは全ての問い合わせを受けられない

同センターはFAQサイトの開設について、相談業務をDX化する一貫で、本格的なDX実施に先立つ実証実験だとしている。今回のFAQサイトは、消費者トラブルに遭った人が自分で解決方法を調べて解決する環境づくりに有効だという。

一方、今まで公開していたLINEのチャットボットサービスは3月末でサービスを終了した。

なぜLINEチャットボットをやめてFAQサイトを立ち上げるのか?サイト公開後はどんな反響があるのか? 国民生活センターの担当者に聞いた。


――そもそもFAQサイトを作ったのはなぜ?消費者生活センターなどへの相談は増えている?

問い合わせ件数は年報などにも出していますが全国で約90万件。この数字は頭打ちで増加しているわけではありません。ただし電話での窓口は時間も回線も限りがあるので、もしかしたら全て受け切れてない部分があるのではないかと思います。

また相談の中には、例えば「詐欺なので無視していいですよ」と、一言伝えるだけで解決するものもあります。ご自身で解決できるものは、きちんと情報を提供した上で、ご自身で解決することができる環境を作っていくことも重要だと考えています。これらを重視してFAQサイトを立ち上げました。


――夜間の窓口を作って欲しいという声が出ていた?

それは具体的には把握していませんが、やはりお困りごとというのは24時間365日、いつでも発生するものだろうと思っております。

LINEはちょっとお休みしてFAQに一本化

――LINEチャットボットをやめた理由は?利用者がそこまで多くはなかった?

それが全てということではありません。ただ、LINE上のチャットボットは、我々が伝えたい情報も一緒に発信していたため、回答のボリュームが非常に多い部分がありました。どちらかといえば、今トラブルを抱えている消費者にとっては、若干、欲しい情報が探しにくい状況になっていたのかもしれません。

また、今我々はこれから公開する予定の「次期システム」の構築に向けて動いており、そこに自己解決に役立つFAQを積もうとしています。そこで今回は実証実験という形でFAQを公開し、みなさんからいろんなデータをいただいて改良をしていきます。ですのでLINEチャットボットはちょっと休止して、FAQに一本化したのです。


――FAQサイトに書かれている情報は、LINEチャットボットとは違う?

そうですね、FAQのコンテンツは新たに用意しました。知りたい情報をシンプルにお届けする形になっていますが、もっと詳しい情報が知りたい方のために、国民生活センターが今まで用意して、LINEチャットボットでも紹介していた「消費者トラブル解説集」へのリンクも表示するようになっています。

新しく作ったFAQのコンテンツと、既存のコンテンツ両方を生かして作っています。

夜中や土日にアクセスして解決した声も

――FAQサイトに掲載された情報は、どのように選んだ?

まず相談されることが多い内容。そして先ほども申し上げた、情報を届けることによって自己解決につながる内容も多数用意しました。もちろん、すぐ窓口に相談して相談員が聞き取りをしたほうがいいものもご案内しています。


――広報活動はどのようにしているの?

まずはホームページでの周知。「お知らせ」への掲載と、トップページに「バナー」を設置しています。それから国民生活センターのSNS、FacebookとLINEとTwitterの3つで情報を掲載しました。あとは今後、国民生活センターで公表していく資料の末尾に掲載するなどしていきたいと思っているところです。

各地の消費生活センターにも周知しており、ゆくゆくは役所のチラシなどでもご覧いただけるのかなと思います。


――FAQサイトを公開した反響は?

最初のスタートとしては順調ではないかなと思います。ただ、今回掲載しているアンケート機能では役に立たなかったというご意見も、もちろん役に立ったというご意見もいただいているところです。

窓口が開いていない、例えば夜中や土日にもアクセスをいただき、その情報で解決したというアンケート内容もあったので、狙ったところは抑えられているのかなと思っております。

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)

担当者によると、FAQサイトを開設した実証実験は2年を予定しているが、今後の動向で変わる可能性もあるという。トラブルがないのが一番だが、できるだけ多くの人に活用されてトラブル解消につながるツールになってほしい。

(国民生活センター「消費者トラブルFAQサイト」はこちら

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。