今年は春の味覚・山菜の収穫も、早くもシーズンイン。長野県の南信・阿智村では“山菜の王様”とも呼ばれるタラの芽のつみ取り体験を取材した。また、北信・長野市では山菜採り名人に同行し収穫、その後、“山のごちそう”を料理してもらった。
タラの芽、ワラビ、ツクシ 摘み立てを天ぷらに

山菜の王様とも呼ばれるタラの芽。2023年4月8日、長野県阿智村で山菜の「摘み取り体験」が行われた。
街歩きガイドのグループなどが初めて企画したもので、東京や愛知の4組8人が参加した。

体験ツアーの関係者が管理する、いわば山菜の「畑」。今年は例年より1週間ほど早く成長した。
参加者は他にワラビやツクシなども収穫。

そのあとは、摘み立ての山菜を天ぷらに。
参加者は「採ったばかりの山菜を食べるのは初めて」、「やわらかくて、くせがなくておいしい」などと話し、ツアーを満喫している様子だ。

こまんば街歩きガイドツアー・芹沢恵美さん:
山菜をお腹いっぱい食べるのが夢だったという方は、自分で採って、天ぷらにできて、お腹いっぱいになってすごく喜んでくださって、やって良かったなと思いました
暖かい南信は早くもシーズン本番だ。
名人に同行
では、北信地域はどうなのだろうか?

山菜採り名人・赤池健さん(70):
仕事を忘れ、のんびりと採っていると、こんなに幸せなことはないですよ
「名人」・赤池健さんの収穫に同行させてもらった。入ったのは長野市郊外の山だ。
赤池さんは地元食材にこだわった飲食店を経営。店の料理に使われる山菜やキノコは、ほぼ自ら調達したものだ。
イタドリは酸味があるというが
山に入っておよそ5分ー。
山菜採り名人・赤池健さん:
これはイタドリという山菜。貴重な酸味のある山菜

イタドリ(虎杖)は茎を食べることが多いそうだが、葉も天ぷらでおいしく食べられるそうだ。
カンゾウは三つ星のおいしさ

続いて見つかったのはカンゾウ(萱草)。春先の山菜の代表格だ。
山菜採り名人・赤池健さん:
春先の山菜としては、三つ星のおいしい山菜。くせがなくてどういう料理にも合う。野菜と一緒の感覚で使っていただけます
かわいらしい花が咲いた山菜も収穫。
花も食べられる山菜

「カキドオシ」に「タチツボスミレ」。これらは花の部分も食べられる。
山菜採り名人・赤池健さん:
こういう花も採ってサラダに散らすと、かわいい「摘み草サラダ」ができます
例年より早い成長
次々と採れる山菜。赤池さんによると、成長は例年より1週間ほど早いということだ。
山菜採り名人・赤池健さん:
(山菜の成長が)ちょっと早いですね。(例年は)4月20日すぎあたりからが本番。どんどんといろいろな山菜が出てきて、採りきれなくなります

険しい斜面を登った先で見つかったのは、ニワトコの木。
ブロッコリーのような花のつぼみ部分をつみ取り天ぷらにする。

こちらはコゴミに似たジュウモンジシダ。
山菜採り名人・赤池健さん:
コゴミは肌がすべすべしてますけど、これは毛むくじゃらというか、葉っぱを広げると、一番下の部分が長くなっている。開くとちょうど十文字になるからジュウモンジシダ

スイバ(酸葉)はその名の通り、酸味があるのが特徴だ。
2時間ほど里山を歩き、8種類の山菜を収穫した。
「山の幸の豊かさ知って」

赤池さんの店で収穫した山菜を調理してもらった。
山菜がふんだんに使われた「草鍋」だ。(信州黄金シャモの草鍋 1人前3000円)
収穫したカンゾウ(萱草)もー。

(記者リポート)
食感がとてもいいですし、味はくせがなく、とてもおいしいです
店ではこの時期、山菜のコース料理を提供している。

前菜は「とり団子のスイバ巻き」や、「ジュウモンジシダの粉節和え」など。
見た目もかわいらしい「春の摘み草サラダ」には、カキドオシやタチツボスミレの花が盛られている。
そして、ニワトコのつぼみの天ぷらだ。

(記者リポート)
食感はサクサクしていて、味は山菜ならではのうま味があって、とてもおいしいです(※食べ過ぎには注意)
株式会社やま・赤池健社長:
県外の方は山の幸を非常に喜ばれますので、盛りだくさんに出して、楽しんでいただいている

北信の山菜シーズンはまだまだこれから。4月中旬以降はタラの芽やコシアブラなどが採れそうだ。
株式会社やま・赤池健社長:
4、5、6月は一番のピーク。100%天然で素朴だけど野生豊かな、そういう食はなかなか食べる機会がないと思うので、日本の山の幸の豊かさを改めて知っていただければと思う
(長野放送)