プロサッカー選手になる夢をあきらめたものの、大好きな歌で静岡県内のスポーツを盛り上げようと奮闘する中学教師がいる。選手としてピッチに立つことはできなかったが、歌手としてピッチに立つことに今は楽しさや喜びを感じているという。歌手を目指すきっかけを作ってくれたのは、母校の先輩・EXILEのAKIRAさんだった。
中学校教師が無償で歌手活動

ダンスアンドボーカルグループのmulum(ウル)。静岡県内のプロスポーツを応援するため、3年前に結成された。

美和 孝汰 さん:
常に誰かのためにとか何かのために歌う、あるいは楽曲を作るっていうことが大事だと思っているんですね

ボーカルの美和孝汰さん。浜松市の中学校で社会科の教師をしながら歌手活動を行っている。
2022年はプロフットサルチーム・アグレミーナ浜松の応援歌を手がけた。教師という立場もあって、楽曲の提供やイベント出演はすべて無償で行っている。
mulumでは作詞を担当する孝汰さん。言葉を紡ぐうえで大切にしていることがある。

美和 孝汰 さん:
今までの経験のなかで自分が頂いた言葉をオリジナルに変えていくこと含めて、自分の言葉で必ず作詞するっていうのは常に考えていますね
挫折の転機に幸運な出会い

5歳でサッカーを始め、名門・磐田東高校に入学。部員は当時100人を超え、技術の高い仲間を前に、プロサッカー選手への夢はあきらめざるを得なかった。
美和 孝汰さん:
諦めちゃいけないっていう話を散々今も生徒にしているんですけど、あるじゃないですか。自分の中で「あ、無理だわ」って。そう思ったのを覚えてますね。高2から高3の時に
そんな挫折の中で、幸運にもある出会いがあった。

美和孝汰さん:
EXILEのAKIRAさんが母校ということで磐田東に訪問されて、歌が得意なので踊ってもらっていいですか、っていうリクエストを図々しく。たまたまそれがテレビ番組でオンエアされて
試合に出してもらえない、監督に認められない。そんな10代の孝汰さんにAKIRAさんは寄り添い、自分を救ってくれたと話す。

美和 孝汰さん:
誰かのために何かのために頑張っていくとか、何かを貫いていくことで、おのずとそれが自分に返ってくるっていう言葉を頂いたんですよね。AKIRAさんに頂いたその言葉で誰かのために、何かのために歌っていきたいなという思いが芽生えた瞬間だったと思います
歌手としてピッチに

3月4日、mulumは藤枝MYFCの試合のハーフタイムショーでパフォーマンスを披露した。初のスタジアムという大舞台。披露したのは「GO WAY GOAL」という応援歌だ。
美和さんはあきらめた夢を違う形でかなえられたと話す。

美和孝汰さん:
ずっとプロになりたいなサッカー選手になりたいなって生きてきて、けどなれずに違う道に進みました。しかし、こういう形で、自分がやりたい歌で、Jリーグの舞台に立たせていただくっていうのはものすごくきょうはワクワクしましたね
子供たちの夢を応援

教師という仕事を通じて、最近はスポーツ選手だけでなく子供たちの夢を応援することにも力を入れている。
美和孝汰さん:
子供たちからもらった生の声をぜひ作詞で表現して、「自分も中学生の時そう思っていた」「今そう思っている」と共感を呼ぶか歌詞がその人たちのエネルギーになっていくと思うので、そういう曲作りにチャレンジしていきたいなと
美和さんの夢はこれからも続いていく。
(テレビ静岡)