2025年に国内初開催となる聴覚障がい者によるスポーツの祭典「デフリンピック」。中でも金メダルが期待されているのが、静岡県三島市の佐藤正樹選手だ。佐藤選手にとって柔道は「人生を変えてくれた存在」。不撓不屈の精神で世界一を目指す。
デフリンピック国内開催決定が転機に

静岡県三島市在住の29歳、佐藤正樹選手。聴覚障がい者の柔道「デフ柔道」の日本代表で、2年後の東京デフリンピックでは金メダルが期待されている。

佐藤 正樹 選手:
2025年のデフリンピックで金メダルを絶対取るという気持ちで、日々意識を持って準備しています

山梨県で生まれ、両耳の障がいがわかったのが3歳のころ。柔道は5歳から打ち込んできた。
就職を機に静岡に来てからも競技は続けてきた佐藤選手に、転機が訪れる。聴覚障がい者によるスポーツの祭典「デフリンピック」。その日本初開催が決まったことだ。

佐藤 正樹 選手:
2025年の東京デフリンピックで世界一になるために、あえて環境を変えました
地道なトレーニングで“粘り強い柔道”

競技に専念するため、現在所属する社会人チームにアスリート雇用で転職し、柔道漬けの日々を送ると、2021年の世界選手権では銀メダル獲得。着実に力をつけてきた。

そんな佐藤選手を高みへと押し上げた要因は「技のキレ」にある。一瞬にして得意技を繰り出す瞬発力に加えて、最大の持ち味が粘り強さだ。
佐藤 正樹 選手:
ねばり強い柔道というのは、技をかけたときに1回入ったら最後までかけきる

技を“かけきる”ためにはフィジカルの強さが欠かせない。ベンチプレスのマックスは120kg。自分の体重の2倍はある重さを上げ、地道なトレーニングで鍛え上げてきた。
柔道が「人生を変えてくれた」

佐藤 正樹 選手:
トレーニングってきついですね。きついけどデフリンピックで世界一になりたいから、きついことを逃げずにやると覚悟してやっています

覚悟を持って一つの目標に努力を続けている佐藤選手。彼が持つ強さは、柔道との出会いから生まれた。

佐藤 正樹 選手:
柔道場にはじめて親が連れて行ってくれたときに、補聴器を外したまま連れていかれたんですね。そうしたら先生に「堂々と補聴器をつけてきなさい」と言われて。両親もその先生が言ったことを受け止めて、その次から補聴器をつけて連れて行ってくれました。僕や両親にとって柔道は「人生を変えてくれた存在」です
不撓不屈の精神で

そんな柔道に恩返しをするために強くなるだけでなく、地域で柔道教室を行うなど普及活動にも努めている。
2年後、日本初開催のデフリンピックでは結果はもちろん、これまで歩んできた道を示すために、不撓不屈の精神で戦い続ける。

佐藤 正樹 選手:
大舞台に立つまでの苦労や乗り越えたことを見てくれたら、皆立っていることを誇りに思えるので、ぜひその部分、過程も見てほしいなと思います
(テレビ静岡)