京都の保津川下りの舟が転覆し、船頭2人が死亡した事故から1週間。本格的なシーズンを前に、川下りの安全対策に取り組む現場を取材した。
保津川下り転覆事故 現場に献花台
京都有数の観光地で起きた痛ましい事故から一週間。乗り場の前には亡くなった2人への花が手向けられていた。

3月28日、京都府亀岡市で保津川下りの舟が転覆し、乗客や船頭あわせて29人が川に投げ出され、船頭の田中三郎さん(51)と関雅有さん(40)が死亡した。
およそ20年に渡り、船頭を務めてきた関さん。

献花台を訪れた友人は“約束”を果たすことができなかったと悔む。
亡くなった関さんの友人:
年取って、乗れんようになるまでに来てねと話していたので。叶わなくなりましたけど

これから本番を迎える“川の観光”。安全を確保する取り組みが各地で続いている。
近畿運輸局 和歌山支局勝浦海事事務所 職員:
落水者を想定したような事故の訓練、実施されていますでしょうか
事故を受け、この日近畿運輸局の安全確認を受けた、いかだ下りの事業者。日本で唯一、丸太を組んだいかだで川下りが楽しめる和歌山県北山村の観光いかだ下りには、年間、7000人もの観光客が訪れる。

北山村にとっても重要な観光資源だからこそ、安全対策には力を入れてきた。乗客といかだ師全員は国の承認を受けた救命胴衣を必ず着用。
無線機は各組1台を必ず備え、いかだ同士や事務所との連絡を取り合っている。

さらに…
北山村観光協会・三浦俊夫事務局長:
中間地点よりかは下流にある、要はこの支流を見るカメラなんですよね
川の途中などに複数の固定カメラを設置し、いかだが無事に通過しているかや河川の状態も確認するなど国のガイドライン以上の対策を徹底している。

北山村観光協会・三浦俊夫事務局長:
安全運航に努めていますのでぜひ体験しに来ていただければと思います
保津川では急流で操船ミスから転覆事故につながったとみられていて、ガイドラインで求められている無線の設置も進めている最中だったということだ。

同じ事故をくり返さないためにどこまでの安全対策が必要なのか。国の運輸安全委員会などが調査を進めている。
(2023年4月4日 関西テレビ「newsランナー」放送)