かつて日本一の人口を誇った新潟県。しかし、現在は人口減少に歯止めがかかっていない。そこで、県が力を入れているのが「企業の誘致活動」。全国で誘致合戦が過熱する中、2022年度に過去最多の誘致数を達成した活動の裏側と今後の課題を取材した。

人口減少解決へ“企業誘致”に力

都内にあるIT企業のオフィス。

ここで行われていたのは、新潟の魅力のプレゼン。その目的は、県内への企業拠点の誘致だ。

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新潟県 東京事務所 誘致グループ 橘昌尚 所長代理:
ちなみに視察制度は、まだ使っていないですかね?

支援制度などを説明するのは、新潟県東京事務所の職員。

こちらの企業は、自社開発のアプリについて、自治体と連携して実証実験を行うため、新たに拠点を置く地域を探していた。

ABI 社長室 事業企画担当 大倉庸さん:
新潟県庁の職員の方とかが、ここまで熱意を持ってお話していただける。そこも含めて新潟県の制度なのかなと。魅力的な制度だと思う

新潟を飛び出し、都内に構える県の東京事務所。国との連絡調整のほか、関東圏の企業の誘致活動などを行っている。

こうした中、IT関連企業の誘致数は新型コロナウイルス感染症の拡大でリモートワークが普及した2020年度に急増し、2022年度は16社と、過去最多となった。

2023年度も補助金など誘致企業への支援を拡充する方針だが、なぜ県は誘致に力を入れているのだろうか。

かつては日本一の人口も…

新潟県 産業立地課 渡辺憲一 課長:
県の課題で、人口減少がどんどん進んでいる

明治時代には日本一の人口を誇っていた新潟県だが、2022年、県内から県外へ転出した人は2万8626人と、転入者数を5000人以上上回る「転出超過」に。人口減少に歯止めがかかっていない。

そこで、県は若い世代にも人気のIT企業を誘致することで、働き・住む場所として新潟が選ばれるようにしたい考えだ。

新潟県 産業立地課 渡辺憲一 課長:
県内には大学・専門学校が非常に多くある。その受け皿が、まだまだ足りないんだろうと。そこをなんとか解決していきたいと考えている

IT企業進出がUターンの受け皿に

東京に本社を持つIT企業「shabell」も2022年、新潟駅前にサテライトオフィスを開設した。

shabell 近藤友紀COO:
ありがたいことに、当時担当されていた県東京事務所の方がとてもよくしてくださって、「shabellさんの事業だったら、この人とつながったほうがいい」とか、「この制度を活用したほうが上手くいく」という感じで、うまく私たちも波に乗ることができた

新潟への進出を機に入社したのは、東京から実家のある新潟へUターンした子育て中の女性2人。

shabell 中村綾夏さん:
新型コロナ禍での子育ての限界を感じていた。東京でキラキラしている働き方への憧れとか、なんとなくある中で、県外とか関東のほうに出ちゃうと思うけど、そこらへんの働き方は変わらない。プラス新潟のほうが住みやすい

新潟の自然豊かな環境に加え、リモートワークなどの可能なIT企業という業態が、子育てと仕事の両立に適していると2人は話す。

shabell 今成佳奈子さん:
通勤が楽になった。シンプルかもしれないが、混雑の中で子どもを連れて、満員電車の中に揺られてというのもない

shabell 中村綾夏さん:
私の関東にいる友達もきっと戻ってきたい。子育てをする環境を選ぶうえでは

企業の進出がUターンの受け皿にもなる一方、ベンチャー企業などの場合、地元の大手企業の影響が根強い地方への進出には課題もある。

shabell 近藤友紀COO:
東京でなんとか食べていけている状態の企業が新潟に来ると、たぶん自力を試される。優良企業とイノベーションを起こすような場・競争する場だったりとか、色んな産業・働き方・企業がチャンスがあるように見せていくように、全体でそこを再設計していけるような支援がここから先は必要かなと思う

こうした現状から、誘致までの道のりも簡単ではない。

「IT企業と言えば新潟県」ワクワクする場へ

新潟県東京事務所の横山勉さん。

新潟県 東京事務所 誘致グループ 横山勉さん:
県のほうも色々と制度が変わったりする。そうすると、新しい情報を参考までにお届けしたりとか、そういうことは定期的にやっている

この日は、以前から進出に興味を示している企業へ近況の確認などに訪れた。しかし…

新潟県 東京事務所 誘致グループ 横山勉さん:
新事業を立ち上げたいということだけど、なかなかやっぱり、良いネタがまだ見つかっていないと。そんなに、すんなりポーンといくというのは、本当になかなかない

これまで様々な企業を誘致してきた横山さん。中でも、4月に新潟での事業を開始する企業は、誘致までに約6年かかった。

新潟県 東京事務所 誘致グループ 横山勉さん:
結果として、「決めました」と言われたときはうれしい。スタートアップというか、若い企業は本当にしっかりと根付いていただきたい

地道な苦労も伴う企業誘致。活動を通して県が目指す新潟の未来は…

新潟県 産業立地課 渡辺憲一 課長:
「IT企業といったら新潟県」というイメージができるような、「新潟がワクワクするような場所だよ」と捉えられるように頑張っていきたい

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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