統一地方選挙の前半戦となる福井県の知事選挙は4月9日、投開票される。与野党相乗りの現職と共産党の新人が一騎打ちを繰り広げている。それぞれの選挙活動に密着し、掲げる選挙公約や人柄を取材した。
立候補したのは届け出順に、無所属現職で自民党、公明党、立憲民主党が推薦する杉本達治氏(60)と、共産党新人の金元幸枝氏(65)となった。
杉本候補 北陸新幹線の開業を起爆剤に
無所属・現職 杉本達治候補:
北陸新幹線を起点にして福井県に新しい風が吹く、福井ブームがやってきます。その大きな風をしっかり受けて、福井を次のステージに上げていかなければならない

杉本氏は1986年、現在の総務省にあたる自治省に入庁した。福井県庁には総務部長と副知事のあわせて6年間勤務した経験がある。

前回4年前の知事選では、県議会の最大会派「自民党福井県議会」の議員の一部が、当時の現職の支持に回り保守分裂の選挙となった。「福井に新しい風を吹き込む」と訴え、初当選を果たした。

2022年12月、「県民主役の県政」、「徹底現場主義」など就任以来取り組んできた政策をさらに推し進めたいと、県議会で出馬を表明した。

杉本氏は、2024年に迫る北陸新幹線の県内開業をコロナ禍で疲弊した県内経済の起爆剤とすることや、終着駅・敦賀より西の線路整備について、沿線自治体を取りまとめ一日も早い認可、着工を目指すと訴えている。

また、保育料無償化の拡充など福井を子育て支援日本一の県にすることや、若者や女性が活躍できる社会の実現に向けて、行政が全力で後押しすると力を込める。
無所属・現職 杉本達治氏:
北陸新幹線の県内開業まであと1年と迫ってきました。これから多くのお客さまに来ていただく。また、産業を価値づくり産業に変える。女性活躍、さらには子育て支援、嶺南地域の振興などといったことをしっかり訴えていく。農は国の、福井の基なりということで産業全体を明るくしていきたいと考えている
金元候補「県民の暮らしを最優先」
共産党・新人 金元幸枝候補:
県民の命と暮らしを守る県政に変えるための選挙だと思って頑張るので、皆さまの大きなご支援をよろしくお願いします

共産党新人の金元幸枝氏は、福井大学教育学部を卒業後、共産党県委員会の幹部を歴任し、現在は書記長を務めている。選挙に初めて出馬したのは31歳の時。これまでに衆議院選挙に11回、知事選挙に2回挑戦した。

金元氏は、県の予算が北陸新幹線などの大型公共事業に偏っていると指摘。物価高が続く中、県民の暮らしを最優先にすると強調し、学校給食の無償化や高校卒業までの医療費無償化などを実現するとしている。原発については最大限活用するという政府の方針を批判し、再生可能エネルギーへの転換を求めている。

北陸新幹線については、敦賀より西の整備計画をいったん凍結し、身近な公共交通の整備を進めるとしている。政府による防衛費の増額、それにともなう増税の方針に反対し、「話し合いや互いの国の良さを知ることで、平和な未来をつくりたい」と訴えている。

共産党・新人 金元幸枝候補:
県民の暮らしを守る。物価高、電気料金の値上げで、みんな悲鳴をあげている。県の予算は新幹線などの大型公共事業に偏っているので、暮らしや福祉への予算を増やす。岸田政権がやろうとしている5年間で43兆円の大軍拡、大増税を止める。県民の暮らしのために予算をよこせと言いたいと思っている

福井県知事選挙は4月9日、投開票となる。
(福井テレビ)