WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の準決勝と決勝で先発マスクをかぶった、福井・大野市出身の捕手・中村悠平選手。地元では祖母・美智子さんが孫の活躍を応援しようとしていたが…ある“地域の事情”でテレビが映らず試合が見られない事態に。それを救ったのは地域住民の“ファインプレー”だった。

「ケーブルテレビが入らないやで…」

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本は大会史上初、野球王国アメリカとの頂上決戦を制し、14年ぶりに世界一を奪還した。

福井・大野市出身の捕手・中村悠平選手
福井・大野市出身の捕手・中村悠平選手
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21日の準決勝で、侍ジャパンはメキシコ相手に劇的な逆転勝利を飾った。中村選手は9番キャッチャーで先発出場していた。

「七間朝市」が始まった
「七間朝市」が始まった

この日、中村選手の地元・大野市では、農家の人たちが新鮮な野菜など路上で販売する「七間朝市(しちけんあさいち)」が始まった。冬の期間は大雪で中止となるため、朝市の始まりは地元に春を告げる恒例の風景となっている。

中村選手の祖母、美智子さん
中村選手の祖母、美智子さん

朝市の初日、買い物客と会話しながら生花などを販売していたのは、中村選手の祖母・美智子さん(84)だ。孫が歴史的な一戦に出場していたが、ある“地域の事情”で試合を見ることができなかった。

「ケーブルテレビが入らないもんやで…」
「ケーブルテレビが入らないもんやで…」

中村選手の祖母・美智子さん:
きょう気になる…。でも、ケーブルテレビが入らないもんやで…

福井にある民放は2局で、21日に準決勝を生放送したのは、それ以外の民間テレビ局だった。ケーブルテレビに加入していれば生中継を見ることができたが、美智子さんは加入していない。そのため試合は見られなかったのだ。それでも「体を大事にして、ケガしないように」と、遠くアメリカで激闘を繰り広げる孫を気遣った。

おばあちゃんを救ったのは

準決勝で中村選手は、先発した令和の怪物・佐々木朗希を巧みにリード。メキシコ打線を立ち上がり0点に抑えた。3回に中村選手の初打席がまわってきた。するとその打席を前に、七間朝市にも動きが。

美智子さんの救世主はこちらのカフェ
美智子さんの救世主はこちらのカフェ

美智子さんの近くのカフェでは、試合中継を見ることができた。そのカフェが機転を利かせて、屋外の美智子さんにも試合が見られるよう、店舗の玄関を開けっぱなしにしてくれたのだ。後日取材で分かったことは、このカフェの店主、実は中村選手の大ファンだった。

「ありがたいわぁ。こうやってみせてくれて」
「ありがたいわぁ。こうやってみせてくれて」

地域住民の優しい“ファインプレー”に「ありがたいわぁ。こうやってみせてくれて」と喜んだ。

カフェのテレビで試合を見守る
カフェのテレビで試合を見守る

この打席は残念ながらセカンドライナーでアウトとなった。

中村選手の祖母・美智子さん:
さっきの打席はあかなんだ(ダメだった)。受けられた(フライになった)。打ったのは打ったんやけどの

侍ジャパンに熱いエールが!
侍ジャパンに熱いエールが!

近所の人も美智子さんの姿を見つけ、「日本は強い!勝利して決勝にいってもらわないと」と声援を送った。「みんなに声をかけてもらえるのが本当にありがたい」と顔がほころんだ。

中村悠平選手は大活躍!

試合を観ながら、美智子さんは中村選手の少年時代を振り返った。

大野市で開いた野球教室の指導風景
大野市で開いた野球教室の指導風景

中村選手の祖母・美智子さん:
小さい時からお父さんとキャッチボールしてたけど、こんなに上手になるとは夢にも思わなかった。子どもの頃にはおんぶして、田んぼの仕事をしたんやで。ここまで成長してくれて本当によかった

中村選手は決勝でも、ダルビッシュ有投手や大谷翔平選手など日本の豪華投手陣を好リード。縁の下の力持ちとして、3度目の世界一に貢献した。

中村選手凱旋の様子
中村選手凱旋の様子

大野では何度も野球教室を開くなど、地元を愛する中村悠平選手。家族や地元の声援が、歴史的偉業を後押ししたのかもしれない。

(福井テレビ)

福井テレビ
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