映画やドラマなどのシーンにある大迫力の爆破やカーアクション。静岡県裾野市には、この体験ができるオープンスタジオがある。「爆破の聖地」として、映画やドラマの撮影の誘致に、さらには観光客を呼び込み、まちのにぎわいづくりにつなげようという取り組みが始まっている。
“爆破の聖地”に観光客を

富士の麓、静岡県裾野市にある開放型のスタジオ「オールラウンドV裾野」。
2023年3月、このスタジオで開かれたのは体験会が開かれたのは、戦隊ヒーローや特撮映画の演出で欠かせない爆破シーンやカーアクションの体験会だ。

体験会には静岡県内外から約30人が参加した。なかには旅行代理店や観光バス事業者などの参加もあった。
カーアクションの乗車体験に大興奮

タカハシレーシング・高橋 勝大 社長:
スタントとして絡んで、転んだり跳ねたりぶつかったりは僕の時代から増えました。我慢強い、忍耐強い商売です

講師を務めたのは、国内屈指のスタントチーム「タカハシレーシング」の社長・高橋勝大さん。この道では知らない人はいない、スタント歴60年のレジェンドだ。スタントマンとはどんな仕事か、経験を語った。

そして、この日のメインイベントはもちろん「カーアクション乗車体験」。
参加者は車に乗り込み、ヘルメットと、首を守るネックガードを装着する。シートベルトで体を座席に密着させたら、いざスタートだ。

急ハンドルで車が傾いたり、バックで急発進したり。さらには、車同士が衝突寸前ギリギリの位置で停車。

まるで映画の世界に入り込んだような大迫力のアクションを体験した参加者たち。
京都から夜行バスで来たという参加者は、「抑えてあるので安心なんだけど、飛ばされるような感じでした。来た価値がありました」と満足した様子で、神奈川からの参加者も、「とにかく派手ですごい楽しかった。あと3回くらいは来たい」と興奮気味に話していた。
まちをあげてPR

この体験会を企画したのは、「富士すそのフィルム・コミッション」。市内でのロケが円滑に行われるためにロケ地の提案や、地権者との交渉、エキストラの手配などをしてロケを支援する市の公的機関だ。
体験会は、爆破の聖地が裾野市にあることをPRしようと初めて企画された。

裾野市情報発信課・加元 青波 さん:
京都や神奈川、市内在住じゃない方も来てくれて裾野市を宣伝することもできたのでよかったと思います

裾野市は2015年頃から本格的にロケの誘致を始めた。
首都圏から近いことや、市が公共施設の活用にも積極的なことからロケ地として人気があり、2021年度は大河ドラマやバラエティー番組など30作品の撮影で使用された。

裾野市情報発信課・加元 青波 さん:
爆破やカーアクションは本来広い土地じゃないとできないと思うので、こういう土地があるのは利点かなと思います
ぎわいづくりの“起爆剤”に

市をあげてにぎわいを作ろうとするこの取り組み。
周辺の観光関係者からも「一般的ではなくてマニア向けツアーの商品づくりもしようかなと感じています」と歓迎と期待の声が寄せられていた。

市は今後、ロケ地での爆破体験などのイベントを、旅行ツアーとして商品化したり、ふるさと納税の返礼品にしたりすることで、新たなファンを作りたいとしている。

裾野市情報発信課・加元 青波 さん:
旅行プランを立てたり、ふるさと納税で登録できたりすれば、いろいろな方に来てもらい、裾野市以外の方にも参加してもらって裾野市の魅力を知ってもらういい機会になると思う

ロケ地の活用が、裾野市の魅力を多くの人に伝わる、大きな起爆剤となるかもしれない。
(テレビ静岡)