G7広島サミット開催まで、あと50日を切った。被爆地・ヒロシマで開かれるサミットで核兵器をめぐる議論は前進するのか。ロシアによる核兵器使用のリスクが一層高まる中、広島で開催される意義について考える。

核保有国のうち4カ国の首脳が広島に

G7広島サミットは5月19日~21日まで3日間の日程で、広島市で開催される。

開催の50日前にあたる3月30日のOAより
開催の50日前にあたる3月30日のOAより
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一方で、ロシアによるウクライナ侵攻は解決の兆しがないまま1年以上が過ぎ、激しい戦闘が続いている。核兵器が使用される懸念は拭えない。「SIPRI YEARBOOK 2022」によると、世界の核兵器保有数は2022年1月時点で、アメリカが5428、ロシアが5977。アメリカとロシアで実に全世界の9割を占める。続く中国は350、世界全体では1万2705もの核兵器が存在する。

G7参加国であるイギリスとフランスも核保有国に名前を連ねている。さらに岸田首相は、核保有国のインドのモディ首相も拡大会合に招待。G7広島サミットでは核保有国のうち4カ国の首脳が広島の地に立つ機会となる。そのため、ウクライナ情勢が厳しい中ではあるが核兵器をめぐる問題への前進に期待がかかっている。
広島で開催する意義について、核兵器をめぐる問題に詳しい広島大学平和センターの川野徳幸センター長に話を聞いた。

広島大学 平和センター・川野徳幸 センター長:
今度のG7は、世界に向けて「広島で何があったのか」を伝えるいい機会だと思います。それをある意味、G7の柱の1つとしてぜひ考えてほしい。それが声明に盛り込まれるということであれば、広島抜きには議論できないでしょう。
広島が求めてきたのは基本的には核なき世界。同時に絶対非戦だったわけです。戦争はいけない。それを、私たちは歴史の教訓から得てきたし、経験してきた。その上に広島がある。そう考えれば、被爆地でG7を開催する意義は大変大きいと思います

ウクライナ侵攻を終わらせる役割も

G7広島サミットの成果に期待が高まる一方、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領はウクライナの隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備すると表明した。

これには広島からも非難の声が上がっている。

広島県・湯崎英彦 知事:
何度も核兵器の脅しということを示唆していて、今回さらにベラルーシに戦術核兵器の配備を決めたというのは核兵器使用のリスクを一層高めるものではないかと考えていて、容認し難い

ロシアがベラルーシへ戦略核兵器を配備することで、再び核兵器が世界へ拡散するのではないかという懸念も広がっている。広島大学平和センターの川野センター長は「核兵器の拡散防止のためにも、まずウクライナでの戦争を終わらせること。サミットの役割は大きい」としている。

広島大学 平和センター・川野徳幸 センター長:
ウクライナ侵攻が始まってもう1年以上が経つ。じゃあ、私たちは何をしなければならないのか、何に対して傾注すべきなのか、ということをそろそろ本気で考えなければいけない。こうしている間に多くの人が亡くなっている。どのように彼らを同じテーブルに着かせて停戦へ向けて話し合う場を用意するのか、G7に大きく期待したいです

開催日が1日1日と近づくにつれ、G7広島サミットへの期待は膨らんでいる。「核なき世界」へ歩みを進めてほしいという多くの人々の願いは、届くのだろうか。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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