子供が熱を出したりすると、保育園を休まなければならない。共働きの夫婦にとって、そんな時に助かるのが「病児保育」だ。しかしコロナ禍で、社会が大きく変わったことである影響を受けていた。そんな病児保育施設の今を取材した。

コロナ禍の影響受けた「病児保育施設」

これは保育園児が1人あたり年間何日、病気で休むかを調べたグラフ。1歳児では、平均で12日も休んでいるそうだ。

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そんな時に助かるのが病児保育。病児保育とは、子供が熱を出すなどして保育園に行けなくなった際、園の代わりに子供を預かること。

石川県金沢市にある病児保育室「こりすの里」。

横井小児科内科医院に併設されている。

病児保育室こりすの里 横井透院長:
子どもたちは病気でも発育・発達していく。病児保育室でそういうお子さんたちを預かって、子どもたちに応じた保育をきちんとして、子どもたちの発育・発達を保障していきたいっていうのが根底にあります。

「病児保育があるおかげで仕事に行ける」県内に23カ所ある病児保育室

県内にある病児保育室は23カ所あり、こりすの里のように医療機関に併設されている所、こども園などに併設されている所の大きく2つに分けられる。

こりすの里は小児科に併設されているため、朝、子どもを連れてきてその場で診察。

新型コロナウイルス以外の病気ならインフルエンザやおたふく風邪などでも状況を見て預けることができる。

横井院長:
コロナだったらお家で見てもらう。発熱児は今のところ全員、コロナの検査をしてから入室って形になっています。

また施設には看護師が常駐していて、保育士も子ども2人に対し、1人の割合で対応にあたる。

こりすの里の看護師:
働くお母さんたちにとっては預ける所が無い人もいるじゃないですか。近所にいなかったりとか。そういう人たちには助かるかなって。

主な手続きは初回の登録だけ。料金は食事込みで1日、2000円。

こりすの里では2つの部屋で、0歳児から小学6年生まで最大10人まで預かることができる。

そんな病児保育について街の人に聞いてみると…

母親:
これから働こうと思っていて、周りのお母さんに聞くと優しい先生たちに見てもらえてありがたいって伺っているので利用出来たら良いなと思っています。

母親:
病児保育があるおかげで仕事に行ける。長男の時は特によく熱を出す子だったので。また、仕事が始まったら他に頼れる所が無いので熱を出したりしたらお世話になろうと思っています。

出来高制の病児保育室…コロナ禍で閉床した所も

働く親にとってはありがたい病児保育室。しかし今、そんな病児保育にも新型コロナが影を落としていた。

全国病児保育協議会 杉野茂人会長:
預かる子どもがいない施設も出てきた。病児保育施設は出来高制。だから預からなかったら全然お金が入ってこない。経営が成り立たなくて閉床しているところも数多く出ているという報告を受けている。

在宅ワークなどが増えた事で子供が病気になっても施設を使わない親が増加。それに伴い利用者が減少し、運営が成り立たない施設が出てきたのだ。

横井院長:
昔からどうしても赤字体質っていうかな…赤字からギリギリでやっている所がほとんどだと思います。診療所の収入から回していくしかないんですが、それでも病児保育室をやる意義はあると思っています。

こうした中、金沢市はコロナ禍となった2021年度から独自の補助金を拡充した。

金沢市保育幼稚園課 野村卓弘主査:
コロナ前は約7000人程度の利用があったが、コロナ禍になり多少利用は減ってきたところ、経営が安定しない所があると思います。そういった所に力を入れ補助をさせて頂いている。

実際に利用している親は…

こりすの里利用者:
急に熱が出た時に安心して預けられるのでとても助かっています。近くに祖父母がいるわけではないので、施設が無くなっちゃうと仕事を休むしかないかなって、今より働きにくくなるかなと思います。

5類に引き下げられても世の中の状況・情勢を見て判断

5月に新型コロナが5類に引き下げられた場合、施設への影響は?

横井院長:
国の対応がまだ見えていないので何とも言えないですが、とにかく学校だけは来るなという形になれば、預からなきゃいけないかなと思っています。新型コロナが5類に引き下がったら、その辺がどういう形か分からない。インフルエンザと同じように診ていく形になるかもしれません。そこはまだ対応は未定です。

全国病児保育協議会 杉野茂人会長:
検査でコロナ陽性になった子どもをお預かりするってことは恐らくまだ始まらない。もう少し世の中の状況・情勢を見て判断することになるかと思います。

働く親に代わり子どもの未来を守る病児保育室。石川県内では幸い、新型コロナの影響でなくなった病児保育の施設は無かったが、一時的に閉鎖したところはあると言うことだ。苦しい現状にも負けず、地域に寄り添う医療をこれからも目指していく。

(石川テレビ)

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