ウクライナに「必勝しゃもじ」は適切なのか

広島県の宮島にある土産物店にずらりと並ぶ「しゃもじ」。

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国会で野党が追及したのは、岸田首相がウクライナのゼレンスキー大統領に渡した「必勝しゃもじ」だ。

立憲民主・石垣のりこ議員:(参院予算委)
広島の名産「しゃもじ」。必勝の文字が入ったしゃもじをゼレンスキー大統領に差し上げたということなんですけれども、まずは事実確認として、これは事実でしょうか?

「必勝しゃもじ」は2021年の自民党総裁選で岸田陣営の事務所にも飾られていた。

岸田首相の地元、広島の宮島では定番のお土産で、しゃもじで「飯を取る」ことから「勝利をめしとる」という語呂合わせになっている。

この岸田首相の土産について、野党は戦場で多くの人が亡くなっていると指摘し、不適切だと批判した。

立憲民主・石垣のりこ議員:(参院予算委)
選挙とかスポーツ競技ではありませんので、日本がやるべきはやはり、いかに和平を行うかであって、「必勝」というのは、あまりにも不適切ではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか?

岸田首相:(参院予算委)
ウクライナの方々は祖国や自由を守るために戦っておられます。我が国としてウクライナ支援をしっかり行っていきたいと考えております

後援会土産に使えないはずのサミットロゴが…

野党が問題視した岸田首相のお土産は他にも…

それは、3月19日に広島で開かれた岸田首相の後援会会合で出席者に配られたお土産。

まんじゅうに岸田首相の似顔絵と5月に開催されるG7広島サミットのロゴがプリントされている。

サミットのロゴについて、外務省は「政治活動を目的とした使用はしないこと」と規定している。

立憲民主・小沼 巧議員:(参院予算委)
ダメだと書いてあるのに、なんでやっちゃうんだということが大きな疑問なんでありますよ。潔く非を認めていただきたいと思うんですが、ご見解いかがでしょうか?

岸田首相:(参院予算委)
地元にとってもこのサミットは大変重要なサミットである。「機運醸成に資する」こういった思いで申請をさせていただいた

野党の追及に岸田首相は「サミットの機運醸成のためである」と重ねて説明し、問題ないとの認識を強調した。

言葉のプロの見解は

イット!ではコメンテーターで明治大学文学部教授の齋藤孝さんに話を聞いた。

榎並大二郎キャスター
国会で追及されていた「必勝しゃもじ」の手土産、斉藤先生はどう見ますか?

明治大学文学部・齋藤孝教授
微妙ですよね。首相の地元の手土産なんですけれども、「しゃもじ」って贈られた方は、そもそも何の意味なのか分からないし、「必勝」というのは、ちょっと好戦的な感じがしてしまうと思うんですね。今回は普通の戦争ではなくて、ロシアに一方的に侵略されてきた。その侵略を「排除」するということですから、いわゆる「勝つ」「負ける」というよりは、「排除」というニュアンスで言うと、「必勝」というのは、この文脈からするとズレているのかなと思いますね

榎並大二郎キャスター
一番大事なのは岸田首相の意図したところが、ちゃんとゼレンスキー大統領に伝わっているかということですね?

明治大学文学部・齋藤孝教授
そうですよね。千羽鶴なら伝わるなと思いますね

(イット! 3月24日放送より)