4月から小学生になることを心待ちにしている子供もいる一方、中にはすぐに小学校になじめないという子供もいる。専門家は楽しい小学校生活が送れるようには「学校=勉強するところ」と意識させすぎないことが重要だという。

「友達と楽しく」学童保育での過ごし方

授業を終えた子供たち
授業を終えた子供たち
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静岡県下田市の下田小学校。3月3日昼過ぎ、放課後児童クラブいわゆる学童保育に授業を終えた子供たちが続々とやってきた。

下田小放課後児童クラブ
下田小放課後児童クラブ

下田小の放課後児童クラブは、1年生から6年生まであわせて56人が利用している。1カ月の料金は、おやつ代や教材費を含めて8000円。午後5時半まで利用でき、午後6時まで延長できる。

おやつを食べた後は学習の時間。それぞれに宿題や読書をして過ごし、その後は校庭や室内で好きな遊びをしながら、保護者の迎えを待つ。

支援員「保護者も頑張っているからここで頑張ろうねと」
支援員「保護者も頑張っているからここで頑張ろうねと」

下田小放課後児童クラブ 支援員・樋口 紀代美さん:
まだまだはじめの頃は、幼稚園や保育園のようなつもりでそのまま来ます。だから結構自由ですけど、だんだんと分かってもらわなければと。学校である程度抑えてきているので、ここで気持ちがはじけてかなり自由な気分でやっていますね。お母さんお父さんも頑張っているので、ここでも頑張ろうねという感じですね

宿題を終え元気よく遊ぶ子供たち
宿題を終え元気よく遊ぶ子供たち

支援員のサポートを受けながら、のびのびと過ごす子供たち。下田小の放課後児童クラブは、小学校と同じ敷地内にあるため、親にとっては通わせるのも安心だ。

保護者「子供が楽しんでくれて助かった」
保護者「子供が楽しんでくれて助かった」

子供を放課後児童クラブに通わせている保護者たちは、「はじめは不安がありました。学校へ行くこと、学童で友達と遊ぶことが楽しいと本人が思っているのがうれしいです」「長期休みの際に、子供たちも家に居たいという日もあってその辺は保育園とは違いましたが、子供が学童に行くことを嫌がらず楽しんでくれていて助かった」と話していた。

入学前に大切な心がけ

入学前に心がけること
入学前に心がけること

小学校や学童保育で楽しく過ごせる子供がいる一方で、なかには小学校になかなかなじめず、大きなストレスを感じてしまう子もいるという。

子供たちがスムーズに小学校で過ごせるようにするために入学前の今、どんなことを心がけておけばいいのか。特別支援教育などを専門とする常葉大学の赤塚准教授に聞いた。

赤塚准教授「学校=勉強する場所、と強調しすぎない」
赤塚准教授「学校=勉強する場所、と強調しすぎない」

常葉大学 保育学部・赤塚 めぐみ 准教授:
子供たちが、小学校にむかって今の時期にいろいろなことに頑張って取り組んでいると思います。その中でかなりの多くの場面で「小学生になるんだね。小学校に行ったらお勉強するんだよね」と、「小学校は勉強するところなんだよ」という意識づけがされていると思います。それは子供にとっては、ワクワクして期待に満ちあふれるとてもいい働きかけでもありますが、学校には行ってやっぱり勉強って大変だったと思ったときに、学校=勉強する場所、勉強することが自分はうまくいかないとなると、子供にとっては学校での居場所を見失ってしまうことがあります。そこをあまり強調しすぎないことは重要なのかなと考えています

学校は「友達や先生と会える場所」
学校は「友達や先生と会える場所」

赤塚准教授は「小学校は勉強をするところ」と言いすぎるのではなく、「友達や先生と会える場所」などと伝えておくことが有効だという。

手助けできる親子関係を

手助けできる親子関係を
手助けできる親子関係を

また、「困ったら助ける」ことを子供に伝え、積極的に手助けできるような親子の関係性を入学前から作っておくことが大切だと指摘している。

赤塚准教授「保護者の声かけが学習の機会に」
赤塚准教授「保護者の声かけが学習の機会に」

常葉大学 保育学部・赤塚 めぐみ 准教授:
幼児期は、言葉が発達していく過渡期にありますが、困っていることを自分でうまく説明できない子供たちも結構います。大人から「こんなことに困っているんじゃない?」とか「こんな風に感じて辛い思いをしたんじゃない?」など子供の気持ちを察して言葉にしてあげると、子供は「こんな風にお話しすると周りから気にかけてもらえて助けてもらえる」と学習の機会が得られるので、そんな声掛けをしていくといいかなと思います

親子で日ごろのコミュニケーションを
親子で日ごろのコミュニケーションを

まもなく迎える新生活。子供たちがスムーズに小学校で過ごせるよう日頃のコミュニケーションを大切にしながらすぐに相談できる関係を築いておくことが大切と言えそうだ。

“小1プロブレム”とも

小1プロブレム
小1プロブレム

保育園や幼稚園を卒園した後に、子供たちが小学校での生活や雰囲気になかなかなじめず、落ち着かない状態が続くことは「小1プロブレム」とも言われている。

入学前までは自由に遊んですごしていた子供たちが、急に45分間黙って座ったままで授業を受けたり、集団行動する生活に変わったり、環境が一変することが要因とされている。授業中に席を立って歩き回ったり、先生が話しているときに急に話し始めたりしてしまう子供もいるそうだ。

相談できる親子関係を
相談できる親子関係を

小学校での生活がスムーズに過ごせるようになるために赤塚准教授は「小学校=勉強するところ」といいすぎないこと。「困ったら相談して」相談できる親子の信頼関係を築くことが大切だと話している。

日常生活で学習につながる体験を
日常生活で学習につながる体験を

勉強についていけなくなることが心配で、就学前から勉強の予習を始めるということもあるかと思う、赤塚准教授によると無理矢理、嫌々取り組まないことが大切だそうだ。例えば、買い物に行ったときに個数を数えるなど日常生活の中で、学習につながるような体験を積ませてあげるほうがいいという。

親も子も一人では抱え込まず相談できる環境を整えておくことが大切になる。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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