襟足をきっちり刈り上げた髪型…大阪の清風高校で義務付けられている「清風カット」。この髪型をめぐって、「人権侵害だ」とする「勧告」が出される事態になっている。

厳しい校則「清風カット」違反すると退学に…

大阪・天王寺区にある私立清風高校。

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ここに通う生徒たちの髪形は全員“刈り上げ”だ。

実は校則で「裾と耳もと全体を刈り上げる」ことや「前髪は眉毛にかからない長さ」にすることが決められていて「清風カット」と呼ばれている。

頭髪検査で不合格になると“教師がハサミで切る”こともあり、 “守れないと退学”の可能性もある厳しいルールだ。

2022年4月、一部の生徒がこの校則と運用が「人権侵害にあたる」として弁護士会に人権救済を申し立てた。

以前、学校側は取材に対して次のように回答している

【清風学園は】
「頭髪規定を理解し入学しているはずで、仏教の戒律を守るという精神から髪型を決めている。一部の生徒の声で変えるわけにはいかない」

そして3月23日、人権救済の申し立てを受けた大阪弁護士会が調査結果を発表した。

弁護士会は「私立には私学教育の自由があり、入学時にも周知されている。丸刈りのように個人の美的意識を認めないほどの強制ではない」などとして、校則自体の違法性は否定した。

しかし、校則の運用については「改善の必要がある」として学校側に「勧告」することを決めた。

 その理由として「教師によって合否の判定に違いがあること」「教師が生徒の前髪を触って検査することやハサミで切ること」は、「社会通念上の指導の範囲を超えているから」だということだ。

大阪弁護士会・足立毅副会長:
本来は学校内で解決すべき話で、弁護士会に対して人権救済を求めるというのは特異な例だと思う。(生徒が)そうするしかなかったという環境が今の学校の中にあるんだろうと

申し立てをした生徒の代理人によると、生徒たちは、この「勧告」によって学園生活がより良くなることを望むと話しているということだ。

生徒の代理人:
子供たちは憲法違反かどうかというそんな難しいことを考えているわけではないんですけども、「本当にこの校則は必要なのか」というところの議論したいと

 勧告を受け、学校側は、「真摯に受け止めて、誠実な対応を検討したい」とコメントしている。

みなさんはどう考えるか?清風高校の生徒らが人権侵害だと訴えている頭髪規定。

「清風カット」は…
▼髪の裾と耳もと全体を刈り上げること
▼前髪は眉毛にかからない長さにすること

と、学校の校則で義務付けていて、守れないときは退学になる。

そもそも"校則・ルール"を知った上で入学したのでは…

しかし、そもそも、この「清風カット」が義務付けられていることを分かって入学したのではないかという声もある。

実は、入学試験の面接の中で、受験生(生徒)だけではなくて保護者にも説明しているということで、こうした校則(「清風カット」義務付けや守れないと退学すること)があるけどいいですか?という項目にも同意して入学しているそうだ。清風高校は私立の仏教系の学校で「見るべきものが見え、聞くべき音が聞こえる」ように目と耳をふさぐことがないよう髪型を指導しているそう。

大阪弁護士会も「頭髪規定は周知されている。私学教育の自由に鑑み、違憲とまでは言えない」という見解だ。

ただ、大阪弁護士会は「教師によって合格・不合格の判定に違いがあり、検査が不平等」、そして、「教師が髪を切るなど指導の範囲を超えている」ことを問題としている。このため大阪弁護士会は、頭髪規定そのものは違憲ではないとしながらもその「運用を見直す」よう勧告している。

今後に向けて、生徒たちは「学校から生徒にアンケートを取るなど話し合って議論する機会がほしい」ということを求めている。

学校側も「勧告内容は真摯に受け止め、誠実な対応を検討したい」とコメントしていて、生徒と学校側の今後の建設的な議論が期待される。

(関西テレビ「報道ランナー」2023年3月23日放送)

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