ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで行われた、YOASOBIの春休み特別ライブ。このライブで初披露された新曲「アドベンチャー」は、ある大学生の実話から生まれた。

YOASOBI新曲に込められた想い

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神戸大学に通う、3年生の菜葵さん(21)。

菜葵さん:
「こんなんじゃない」っていうワードが出てくると思うんですけど、毎回泣いちゃうんですね。まさに、もどかしさだったりが詰まってるのが最初の部分だと思っていて

去年、菜葵さんの目に留まったUSJの春休み企画。「学生時代のUSJでの思い出」を募集し、その中からYOASOBIが1つを選び、春のテーマソングを作るというものだ。

USJとYOASOBIが大好きな菜葵さんにとっては絶好のチャンス。「コロナ禍での大学生活」をテーマに、エピソードを書くことに決めた。

菜葵さん:
1年生の4月ですね、入学式も健康診断も、全部中止で、全部なくなりましたね

新型コロナの拡大が始まった2020年。菜葵さんは愛媛の実家を離れ、一人暮らしを始めましたが、大学生活は思い描いていたものとは全く違うスタートだった。

菜葵さん:
ステイホームの頃で人にも会えないし、やることもないし、大学のこと何もわかんないし。色んな友だちをつくって挑戦してみるところに憧れを抱いていたので、そもそも友達をつくるステップにさえ進めないのはもどかしい感じがしました

大学のキャンパスに行くことはなく、オンライン授業が続く日々。正式に対面授業が始まったのは、3年生になってからだった。

菜葵さん:
大学3年にはなったんですけど、いまだに校舎内で迷うことはあって。大きな講義で色んな人と知り合うとか、学食がめちゃくちゃ混んだりとか、コロナ禍前なら当たり前だった光景にも、「これが私たちが思い描いていたものの実態なんだ」という感じでした

大学の友達と初めて会った日。USJに遊びに行った日。エピソードには、我慢してきたからこそ実感できた「喜び」も一緒につづった。

全国各地からYOASOBIのもとに届いたエピソード。数ある中から選ばれたのが、菜葵さんのエピソードだった。

この日、菜葵さんは、サプライズでUSJのある場所に招かれた。

YOASOBI・Ayaseさん:
改めて原作ありがとうございます

待っていたのは大好きなYOASOBI。菜葵さんの思いが溢れた。

YOASOBI・ikuraさん:
エピソード読んだ人からすると本物だって感じですよね

YOASOBI・Ayaseさん:
(エピソードは)学生時代に思い描いていた生活ができなくて苦しいところから始まるんですけど、青春をまた取り戻していろんな思い出を作っていこうというポジティブさがいいなと、キラキラして映ったので

YOASOBI・ikuraさん:
私は大学2年生からこういうご時世になったので、同じ学年の友だちと会えずにリモートで顔も全然見ない生活を続けていて。ずっと寂しかったというか。自分が声を上げても仕方がないことというところもあって、でも前に進もうとするところが希望をもらいましたし、共感をして素晴らしい作品だなと思いました

実際に、USJに足を運びイメージを膨らませるYOASOBI。菜葵さんのエピソードをもとに曲を書き下ろし、USJとコラボした春のテーマソング「アドベンチャー」が誕生しました。

USJマーケティング本部・佐藤里南さん:
実際のゲストからのパークでの忘れられない最高の思い出を歌詞にしていただくことで、我慢の連続であった学生の皆さんにより共感してもらえるような内容になったのではないかと考えております。なかなか遊びにいくことができなかった学生の方に最高の思い出を作っていただきたい

そして行われたYOASOBIの特別ライブ。会場には、この日を待ちわびた学生たちが大勢集まっていた。

大学4年生:
1・2年生のころはなかなか県外に行ったりするのも家族のことを考えて行けなかったんですけど、今は規制もゆるくなってきて楽しめているなと

高校1年生:
リモート(授業)とか、どこかとどこかで繋がってはいるけどその場にいなかったので、全員で集まれるのが楽しみです

YOASOBIが活動を始めたのは2019年。活動期間のほとんどがコロナ禍だった。YOASOBIにとって観客が声を出せるライブは、実は今回が初めて。

YOASOBI・ikuraさん:
色々あったじゃない、この3年。私たちもライブで声聞かせてもらうことがずっとできなかったから、すごく感慨深くて、今にも泣いちゃいそうです。最後の曲はコラボ曲、「アドベンチャー」

【「アドベンチャー」より】
♪いつもの一日から抜け出して 目が覚めるような冒険の舞台へ
 回る地球儀を目印に さあ今会いに行こう 特別な一日に

高校3年生:
僕たちがコロナ世代ということもあって、一番の歌詞がぐっと来たり

【「アドベンチャー」より】
♪緑萌ゆる新しい季節に 一人見つめたブルーライト
 顔も知らない 友達にも満たないクラスメイト 想定外の暮らし
 こんなんじゃない

高校3年生:
リモート授業とかでなかなか友達と顔合わせることなくて、同じクラスになったことないんで、やっと遊べるようになって仲良くなった

専門学校2年生:
学校で授業が受けられるとなってから席が近くて(付き合った)っていう感じです。色々連れて行ってもらって大阪の事をたくさん教えてもらいました

【「アドベンチャー」より】
♪待ちに待った今日は特別な日 日常から少しはみ出して
 ほらシャッターを切って写し出せば どうしたって 零れるような笑顔ばかり

大学4年生:
「待ちに待った今日は特別な日」っていうのが今日まさにこの日のことで。2人で最後に(USJに)来たのが3年前でコロナが始まるくらいだったので、そのままいけてなかったので、やっと来られたねって

大学1年生:
高校時代に部活をやっていたので、部活が一気に活動できなくなったのを思い出して。それでも前向きに今日みたいな機会で元気をもらえたのでこれから頑張っていこうかなって

菜葵さん:
コロナ禍ってマイナスのことかなって思ってたりもしたけど、こうやって歌詞になってしまえば、その期間さえもある意味あって良かったなって思えてくるし、それがあるから今こうして楽しめるなとも思うので。大学生だからできること色々やって、楽しい思い出をいっぱい作りたいなと思います

様々な思いで過ごした3年間。学生たちにようやく春がやってくる。

(2023年3月15日 関西テレビ「報道ランナー」放送)

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