コロナ禍の3年間、2023年3月に卒業を迎えた子どもたちにとっては、学校生活のすべてをマスクで過ごしてきた。

コロナ禍で過ごした3年間…「卒業アルバム」政策の舞台裏

そうした中でも学校生活の思い出を残してあげたい。卒業アルバム制作の舞台裏を取材した。

卒業生 :
重っ!無理だわ!

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2月27日、卒業式を2日後に控えた北海道・小樽市の小樽潮陵高校。

最後の登校日に生徒が運んでいたのは自分たちの卒業アルバムだ。渡されるとすぐにページをめくりはじめる。

3年間の高校生活。よみがえる思い出に教室が湧きたつ。中にはちょっと恥ずかしい写真も…。

卒業生:
潮陵祭が終わってお祭りに行った時に、辛いポテトを食べさせられた写真

楽しい思い出が詰まった卒業アルバム。しかし、どうしても目立つのがマスク姿の写真だ。

コロナ禍の3年間が影を落としている。

卒業生:
1年生の時は学校祭も無く、2年生の時も縮小。3年生の時はできたけど、例年通りではなかった

卒業生:
マスクがあっても色々と楽しめたので良かったと思います。他の世代とは違う、俺らにしかできない体験ができたのが良かったと思う

小樽潮陵高校の2023年の卒業アルバムは全部で約50ページ。クラス別の集合写真や生徒225人のポートレート。

学校祭や体育祭。そしてクラスの日常風景が収められている。

小樽潮陵高等学校・加沢雅裕校長:
今年の卒業アルバム。3年生が玄関前に集まり写っている

Q:これはマスクをしていないんですね?
小樽潮陵高等学校・加沢雅裕校長:
外で写した写真なので、密になっていないので、全員でマスクを外して写そうと指導したんだと思う

生徒が"スマホ"で撮った写真やプリクラも…

アルバムの撮影と編集を約20年にわたり担当しているのは地元の写真店の岡田嘉廣さん。

2023年のアルバムづくりには大きな苦労があったという。

新映堂・岡田嘉廣さん:
何月何日にA組の写真を撮りますと予定をたてていても、1人2人3人と欠けてしまうと、中止になって次回に回す事になった。決まったスケジュールで作業ができないことが大変でした

岡田さんも気軽に校内に入る事もできない。

学校生活のページには岡田さんの写真だけでなく、生徒がスマホで撮った写真も使われている。

ということで中にはこんな写真も!

卒業生:
どこどこ?これだ!プリクラです! 

みんなで撮った写真を、プリクラやスマホで変顔にした写真まであるのだ!

新映堂・岡田嘉廣さん:
(卒業アルバムには)思い出を呼びさます一端の役割があると思うんです。それがマスクだけの生活でという、そんなアルバムにしたくないという思いで作業をしていた

"マスク着用"の学校生活…「できる工夫を最大限にして頑張っていた」

感染が拡大期していた時期に行われていたのが分散登校。クラスの半数が自宅でリモート授業を受けるなど、教室の様子も一変した。

さらに様々な行事が中止。入学式や学校祭では親も校内に入れず、生徒だけで行った。

そうした中で学校は思い出作りに力を入れてきた。

そのひとつが2年生時の見学旅行だ。
1度は延期となったが、宿泊先を関西から長崎に変更するなどして2カ月後に開催にこぎつけた。

小樽潮陵高等学校・加沢雅裕校長:
本当に行けるかどうか危惧をしましたね。1度は延期したのですが、その次延期をするのは、かなり受験勉強への準備を含めてかなり難しいだろうと

感染が落ち着いてきた時期をねらって行った見学旅行。 

マスク姿は多いものの、元気いっぱいに体を伸ばし、楽しさと喜びで瞳を輝かせた写真がたくさん掲載されている。

そして3月1日…。

卒業生:
学校生活に慣れ始めた矢先の緊急事態宣言による学校閉鎖は、私たちの不安をさらに大きくしました

原則マスクを着用せずに行うとされた今回の卒業式。家族の出席も2人まで許されることになった。

小樽潮陵高等学校・加沢雅裕校長:
(今年の卒業生たちは)できる工夫を最大限してがんばっているんだろうと見ていた。そういうたくましさがある。精神的には、この子たちは将来すごい力を発揮するのではないか

卒業生の家族:
窮屈な思いもしていたと思うんですけれど、皆で協力してがんばってこられたんだと思います

卒業生:
これからマスクの無い生活が始まっていくかもしれないので、新たなステージの生活をマスク無しで生きていきたいと思います

未来へ!前を向いた若者たちが学び舎を巣立って行った。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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