新生活が始まる春は「片付け」のチャンス。ただ、苦手な人も多いはず。そこで、専門家に手順やコツを聞いた。ポイントは使用頻度ごとに「1軍・2軍・3軍」に仕分ける。また、よく使うものは出し入れしやすい「ゴールデンゾーン」に収納することとアドバイスする。

育児に追われ手が回らない… 

街で「片付け」について聞くと、「面倒くさい」、「子どもの細かいものが多くて、どう整理していいか」、「育児に追われ手が回らない」など苦手な人が多いようだ。

育児に追われ片付けに手が回らない山田さん(仮名・提供画像)
育児に追われ片付けに手が回らない山田さん(仮名・提供画像)
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中野市に住む主婦の山田さん(仮名)も片付けが苦手な一人。

育児休業中 主婦・山田さん(仮名・30代):
3人小さい子どもがいて、子どもの面倒が最優先になっちゃうので、家事とか片付けとかは

新居に越してきて4年。キッチンは一見、片付いているようだが…。

育児休業中 主婦・山田さん(仮名・30代):
ここはもう無法地帯です、調味料のストック系とか入ってて。乾物系も爆発してて

SNSで見た「ケースで仕切る」というアイデアを実践しているが、いざという時に物が見つからず探す手間がかかっているそうだ。

片付けや収納をアドバイスする会社に依頼

育児に追われ、片付けに手が回らない日々。そこで、片付けや収納をアドバイスする会社「トトノエ堂」に、特に困っていた「キッチン」の片付けを依頼した。

トトノエ堂のスタッフ
トトノエ堂のスタッフ

トトノエ堂・大島千恵子さん:
(今から何を?)全部出す場所を確保しています。キッチンの中のものを全部出して分けていくんですけど、できるだけ広いスペースを確保しています

ポイント1「全部出す」

全部出して並べる
全部出して並べる

「何がどれくらい入っているのか」を把握することが「片付け」の第一歩。収納していたものを全て並べてみる。

続いては…

ポイント2「1軍、2軍、3軍に仕分け」

仕分けカード
仕分けカード

トトノエ堂・大島千恵子さん:
どんなものか分けたものがわかるように、カードを置きながら分けていきます。処分するものだったり、譲るもの、「1軍・2軍・3軍、用途別」に分かれています

1軍はよく使うもの、2軍はたまに使うもの、と使用頻度ごとに仕分け。

「1軍、2軍、3軍」と使用頻度ごと仕分け
「1軍、2軍、3軍」と使用頻度ごと仕分け

トトノエ堂・大島千恵子さん:
使いやすい場所に、使っているものを配置できるようになるので、分けることはすごく大事

「食材系」を仕分けると、賞味期限切れが続々と…。

賞味期限切れが続々と
賞味期限切れが続々と

トトノエ堂・大島千恵子さん:
ごちゃってなっていると、いつの間にか切れていたとなってしまいますので、分けておくことが賞味期限切れを防ぐには大事なことになる

把握することは「無駄買い防止」にもつながる。

ポイント3「収納位置」

仕分けをしたら、いよいよ収納だ。

使用頻度の高いものは「ゴールデーンゾーン」に
使用頻度の高いものは「ゴールデーンゾーン」に

トトノエ堂・大島千恵子さん:
「ゴールデンゾーン」を意識したり、動線上、使いやすい場所に配置することを意識して

腰あたりから目の高さまでが、出し入れしやすい「ゴールデンゾーン」。使用頻度の高いものを優先して収納する。「ゴールデンゾーン」は「高さ」だけではなく、「横」も意識する。

ゴールデンゾーンは横にも意識
ゴールデンゾーンは横にも意識

トトノエ堂・大島千恵子さん:
例えば、入り口から入って手前の方が取り出しやすいよねとか。コンロに近い方は鍋とかフライパンとか、シンクに近い方はざるとかボールとか、動線を見ながら配置します

スタッフ:
食洗器の洗剤が、食洗器に近い所でワンアクションで取りたいなと思いまして、最初はこっちに入っていたんですけど1回、上の引き出しをどけてから開けなくてはいけないので、2アクションになっちゃう。毎日のことなので一つでも手間を減らした方が使いやすい

紙袋を使う、ラベリングする

紙袋を使うと高さなど調整でき汚れたらそのまま処分できる
紙袋を使うと高さなど調整でき汚れたらそのまま処分できる

物をしまう際、100円ショップなどで買える「ファイルフォルダ」やかごを使うと見やすくなるが、新たに買い足すと、かえって物が増えてしまうことに。

そこでお勧めなのが紙袋だ。

スタッフ:
みんな袋好きで、家に大量にあると思うんです。紙袋のいいところは、高さを自由に変えられるし、汚れたらこのまま処分できる

配置したら収納したものが一目でわかるよう、入っている物や使う時期などを書いて「ラベリング」する。

春は片付けのチャンス

トトノエ堂・大島千恵子さん
トトノエ堂・大島千恵子さん

「全部出す・仕分ける」を家じゅうで行うのはなかなか大変だが、その絶好の機会となるのが「引っ越し」だ。

トトノエ堂・大島千恵子さん:
まさに家を住み替える、引っ越しをする方はすごく大チャンスです。まず箱に詰める時、使用頻度で分けていただいたり、置く場所が決まっていたら種類別は必ず分けてほしいと思います。分けている時に手放すか悩むものがあれば、「悩む」と箱に入れれば引っ越し後スムーズ

引っ越しはなくても新学期、新年度に入る春は片付けのチャンス。

キッチン以外のポイントも聞いた。

「リビング・ダイニング」定位置を決める

リビングは個人のかごなど用意し、定位置を決める
リビングは個人のかごなど用意し、定位置を決める

トトノエ堂・大島千恵子さん:
家族がみんな集まる場所なので、家族それぞれのものが集まる場所。できれば自分の部屋に持ち帰ってもらいたいんですが、それでも集まってしまうものは、個人のかごなどを用意して「ここに入るだけ」と、いっぱいになったら整理してもらうのが有効

定位置を決め、誰もがその位置に戻せるようにすることもポイントだ。

「クローゼット」は詰め込まず、見やすく

クローゼットはハンガーやオープンラックを使う
クローゼットはハンガーやオープンラックを使う

クローゼットは衣装ケースなどに服を詰めこむのではなく、ハンガーやオープンラックを使う。

トトノエ堂・大島千恵子さん:
見やすくしたことで、似たようなものを買うことを防ぐ。毎日のコーディネートも楽しくなります

「玄関」それぞれが使いやすい場所に

下駄箱は大人子ども高さなど分ける
下駄箱は大人子ども高さなど分ける

玄関も意識するのは、ゴールデンゾーン。

トトノエ堂・大島千恵子さん:
例えば、お父さんは上のちょっと高いところ、お子さんは下の方へと分ける

片付けでストレス軽減、買いすぎ防止

片付け終了
片付け終了

作業開始からおよそ6時間、山田さんのキッチンの片付けが完了した。

洗剤や袋が詰め込まれていたシンク下は、スペースが余るほどすっきり。雑然としていたつり戸棚も、何がしまってあるか一目でわかるようになった。

片付いた収納を見て驚く
片付いた収納を見て驚く

キッチンの片付けを依頼・山田さん(仮名・主婦):
すごい、きれいに収まっています。全然変わっています、ほとんど変わっています。ちゃんと使う所のそばに全部しまってくださったのがよく分かる

トトノエ堂・大島千恵子さん:
(片付けは)引き出し一つを全部出してというのでもいいので、日々使いやすくなるので、時間の短縮になったり、自分自身の家事をやっていてストレスが軽減されたり、不要なものや買いすぎがなくなることにつながっていきます

全部出して、仕分けをして、使いやすく・見やすく収納。春の新生活に実践してみてはいかがだろうか。

(長野放送)

長野放送
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