利用者の減少や燃料費の高騰などで苦しい経営状況が続いている銭湯。新潟県内ではピーク時に約400軒あった銭湯はわずか16軒に…こうした状況の中、銭湯の魅力を広げ、楽しみながら応援する取り組みを取材した。

利用者減る銭湯 「湯朱印帳」で再び活気を!

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ランニングが趣味の渡辺真一さん(53)。この日、ランニングで向かった先は銭湯。

渡辺真一さん:
「銭湯ランニング」といって、走ったあとの銭湯は最高

渡辺真一さん
渡辺真一さん

そんな渡辺さんには、銭湯で楽しみにしていることがもう一つある。

渡辺真一さん:
これは「湯朱印帳」といって、新潟県の銭湯を巡るスタンプラリー

県内の銭湯に設置されたハンコを押していく「湯朱印帳」は、集めるとプレゼントも。この取り組みの背景には、銭湯の苦しい現状があった。

ハンコを集めるとプレゼントがもらえる
ハンコを集めるとプレゼントがもらえる

県 公衆浴場業生活衛生同業組合 坂井雅博 理事:
ピーク時、新潟県内には約400軒の銭湯があったが、現在は16軒。各家庭に風呂が普及して、利用者減が大きい

この湯朱印帳は、活気を取り戻す狙いがある。

県 公衆浴場業生活衛生同業組合 坂井雅博 理事:
スタンプラリーは家に風呂があっても、月に数回は「銭湯に行きたい」と思う人を増やす

ウイルス禍でスケジュール空白… 湯朱印帳づくりに専念!

この日、組合に来たのは、お笑い芸人の大野まさやさん(37)。

2017年から「にいがた銭湯大使」として銭湯を盛り上げる活動をしていて、スタンプラリーを計画した組合に湯朱印帳を発案した。

大野まさやさん(左)
大野まさやさん(左)

大野まさやさん:
「御朱印」にかけて。今、神社巡りもブームになっていると思う。そのパロディーじゃないけど、「湯朱印」ということでやらせてもらっている

新潟のお笑い集団NAMARAに所属し、「ジャックポット」としてコンビで活動する大野さん。湯朱印帳を発案したのは、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年だった。

大野まさやさん:
新型コロナウイルスの流行でスケジュールがなくなった。これは「湯朱印帳に専念しろ」ということだなと思って、毎日ハンコを作るところから始めた

緊急事態宣言でスケジュールが空白に。その時間で湯朱印帳に使うゴム印を全て手作りした。

大野まさやさん:
もくもくとハンコを作っていたおかげで、余計なことを考えずに済んだ

看板ネコがいる新潟市東区の「小松湯」。大野さんが作ったゴム印には、ネコの肉球が彫られている。

大野まさやさん:
僕が思う「この銭湯のイチオシだよ」というものをデザインしている

看板ネコがいる小松湯(新潟市東区)は「肉球」デザイン
看板ネコがいる小松湯(新潟市東区)は「肉球」デザイン

銭湯業界 苦境に立たされるも「ファンが力くれる」

2022年、2回目が始まった湯朱印帳だが…

大野まさやさん:
小松湯(新潟市江南区)は2022年8月にご主人が亡くなって休業してしまった

後継者がいないため休業となり、湯朱印が押せない銭湯も。

休業となった小松湯(新潟市江南区)のハンコ
休業となった小松湯(新潟市江南区)のハンコ

大野まさやさん:
これをどう乗り越えていくかというところを銭湯だけに押しつけてしまっても難しいところはある。まずは銭湯の風呂に入りに行ってもらい、どんなところかを知るきっかけに湯朱印帳がなるといい。その中で応援したいという人が少しずつ増えていったらいい

新潟市中央区にある「みどり湯」。組合の理事・坂井雅博さんが経営している。

みどり湯 坂井雅博さん:
燃料費は2022年の同じ月より、倍近くになっている

ガスで湯を沸かしている「みどり湯」では、燃料費の高騰が経営を圧迫。

みどり湯 坂井雅博さん:
銭湯業は存続の危機

利用者の減少に後継者不足、さらには燃料費の高騰と逆風にさらされている。

大野まさやさん:
銭湯ファンとしては、銭湯に行くということが一番の応援だと思う。銭湯はすごく都合の良い場所。嫌なことは忘れられるし、良いことはより良く感じさせてくれる

みどり湯 坂井雅博さん:
銭湯のファンが力をくれる。励みになる。組合の人にも「ファンがいるからやめないで、頑張ろうよ」と言える

まだまだ続く寒い日にホット一息!銭湯に温かい時間が流れる。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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