北陸新幹線の福井延伸まで残り1年余りとなった。その当面の終着駅は、福井県南部の敦賀駅だ。100年に一度の大変革とされ、駅周辺では急ピッチで“おもてなし”の準備が進んでいる。新鮮な海産物や海水浴などが楽しめる港町敦賀、地元の思いを取材した。

“北陸新幹線開業”に高まる期待

新幹線駅の高さは約37メートル、12階建てビルに匹敵する。現在整備が進められている新幹線駅の中では最も高い。そのため地元では“日本一”の新幹線駅として、この駅舎をPRする動きがある。

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建設工事が最終局面を迎える中、スマートフォンで駅を撮影する夫婦に出会った。東京から観光で訪れたという。

東京からの観光客:
カニを食べに。新幹線が間もなく来るというのを知っていたので立ち寄った。今の景色を撮影しておこうかなと

変化を続けているのは駅舎だけでない。駅から徒歩1分の場所には2022年9月、にぎわい・交流拠点となる「otta」がオープンした。中央には芝生広場が広がり、周辺には複数の飲食店や土産物店が軒を連ねる。

そのうちの1つ、新鮮な魚を使うハンバーガー店を訪れた。その名もズバリ「サカナノバーガー」だ。

カニが“ダブル”で味わえるバーガー

サカナノバーガー・渡邊一貴さん:
魚をもっと身近に感じてほしい。仲買業者をしていて、多種多様な魚を仕入れることができる。そのため新鮮な魚をお客さまに提供できる

この店のイチオシは「カニのダブルチーズバーガー」。注文して数分後、出てきたのは迫力満点の大きなバーガーだった。カニフライとカニサラダが入っていて、まさにカニづくし。

坂本剛史アナウンサー:
しっかりとカニの味がしておいしい。カニを楽しめる感じがする

渡邊さんは「駅弁の代わりにバーガーを味わってほしい」と話し、「おいしい食を求めて、ぜひ敦賀に来てほしい」と呼びかけた。

営業続けて「43年」 “生き証人”が語る「敦賀」

敦賀駅近くで43年間、営業を続けている喫茶「パイン」を訪れた。マスターの斎藤隆良さんは昭和、平成、令和の敦賀を知る“生き証人”だ。

喫茶「パイン」・斎藤隆良さん:
夏は海水浴、冬はカニを食べに観光客が訪れていた。多い日は1日コーヒー250杯出した時もあった

敦賀は太古の昔から港町として栄えた。戦後には原子力発電所を誘致したことで、建設作業員らが大勢訪れ、まちは大いににぎわった。しかし2011年の東日本大震災で国に原子力政策が推進から「抑制」へと変化し、敦賀はかつての勢いを失った。

大切なのは「また来てもらえること」

そんな中、地元が期待するのが北陸新幹線の開業だ。100年に一度ともいわれる交通インフラの整備が行われ、大勢の観光客を呼び込むため官民が盛り上がりの機運を醸成するため努力を続けている。ただ斎藤さんは一概に喜んでだけもいられないと、危機感を募らせる。

喫茶「パイン」・斎藤隆良さん:
東京からは一番遠い終着駅になる。石川・金沢市から敦賀まで来るということはあまり考えられない。だから私自身はあまり期待できない。

大切なのはリピーターが何度も敦賀を訪れることだ。そのためにはハード整備だけでなく、人と人との触れ合いというソフト面の充実が大切だと強調した。

喫茶「パイン」・斎藤隆良さん:
敦賀にまた来てもらえるようなことをしていかないといけない。お客さんにおすすめの観光地を勧めるなど、なるべく会話するようにしている。“観光大使”だと自分は思っています

かつてのにぎわいをもう一度。北陸新幹線の当面の終着駅となる敦賀では、官民が知恵を出し合い、おもてなしの準備を進めている。               

(福井テレビ)

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