長野市の公園が廃止されることになった問題で2月11日、初の住民説明会が開かれた。「困惑や存続を求める声が多かった」などとし、荻原健司市長はこれまでの「廃止路線」から一転、存続も含めて再検討し最終判断する考えを示した。一方、隣の児童センターの利用者の保護者達は、今回の方針の見直しに「仮に存続となっても本当に自由に使えるのか」と複雑な心境を話した。
「あそばせてください」
11日、地元公民館で開かれた初の住民説明会。説明会の前、保護者に連れられた女の子が読み上げるつもりだというメッセージを見せてくれた。
(子どものメッセージ)
しちょうさんへ、わたしは、あのこうえんであそんでないので、あそばせてください
![子どものメッセージ](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/0/700mw/img_50f0710f7d42e3f8c3e8c5f244f65d1d55688.jpg)
住民説明会は青木島地区の住民を対象に開かれ約300人が参加した。
「子どもの声がうるさい」きっかけに
長野市の青木島遊園地。「子どもの声がうるさい」という一部住民の苦情をきっかけに市は2023年3月末で閉鎖する方針を示している。
公園は近くに児童センターや小学校などがあるが、住民がセンターに苦情を入れた2021年3月以降、ほとんど使われなくなっている。
![青木島遊園地(長野市)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/0/700mw/img_00dbf427dfc5549d641e834d80f19d1c125194.jpg)
しかし、「一部住民の声で廃止を決めていいのか」「子どものことを第一に考えてほしい」といった意見があり、地元住民の有志などが存続を求める要望書や署名を市に提出。差し止めの住民監査請求も出ている。
![署名活動(2022年12月)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/b/700mw/img_0b7e28b8c831bfbbaa99adb8e82174d6319227.jpg)
市の「廃止」決定の在り方に疑問の声
また、市が「廃止」とした決定の在り方にも疑問の声が上がっている。
担当課は2022年8月に文書を作り市長に利用実態などを報告した。 そこには「センターが5人以下で遊ばせてきた」などと書かれていたが、実際には20人から30人が遊んでいたという。 見回った職員などの情報を基に書かれたとみられ、事実とは異なる報告で「廃止」の方針が決まったことになる。
![長野市の報告書](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/5/700mw/img_753e67a7ff75b9bf9761e6ba7236bb57137672.jpg)
“困惑や廃止反対” 多数の声
こうした状況の中で開かれた住民説明会。非公開で行われ、市の説明のあと住民の声を聞いた。
(説明会での発言)
どうして隣に公園があって子どもたちも使いたいと言っているのに、こういう状況になっているのか?
(説明会での発言)
長野市はもっとも子育てがしにくい町というレッテルが貼られている。名誉挽回を図っていただく、そんな方向で考えてほしい
(説明会での発言)
これだけの住民がいるのだから、決定前にこういう会を催してもらいたかった
説明会は予定を30分オーバーして2時間ほどで終了。困惑や廃止反対の声がほとんどだったという。
![説明会での発言](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/a/700mw/img_ca0f6ceca0573db36e73d600610987ba92271.jpg)
参加した住民:
まだまだ私の周囲にも手を挙げていた人がいたけど、さしてもらえなかったという人もいた
参加した住民:
(納得はできた?)できない、経過が分かっただけで
参加した住民:
子どもがいる以上は存続させるべき
荻原市長「存続含め、私の責任で判断」
説明会に参加した荻原市長は…
長野市・荻原健司市長:
廃止なのか存続なのか含めて判断をしていきたい。市としては廃止を判断させてもらったが、本日の皆さんのお話を受け止めた中で、廃止のままでいくのはどうかなと。いろんな状況を考慮しながら私の責任のもとに判断をしていきたい
![長野市・荻原健司市長](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/1/700mw/img_21050c4de9982845ee5c57aeae07140044146.jpg)
市長は存続も含めて再検討し、最終判断する考えを示した。これまで廃止は変えないとしてきたが、方針を見直した。
また、12日は市の職員が公園の存続を求める住民有志の会などに廃止の決定に至る過程を説明した。存続・廃止に対する新たな説明はなかったという。
「存続となっても使えるのか?」
公園をこれまで一番使ってきたのが隣の児童センター。今回の方針の見直しに保護者たちは「仮に存続となっても本当に自由に使えるのか」と複雑な心境を話した。
![青木島遊園地に隣接する児童センター](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/f/700mw/img_0f7cc2428352011ffb3263d45ae9a27b182614.jpg)
(記者リポート)
長野市にある青木島遊園地です。周囲の児童センターや保育園から子どものにぎやかな声が聞こえますが、公園に子どもの姿はありません
青木島遊園地の隣にあるのが、放課後に子どもたちが集まる児童センター。これまで子どもたちの遊び場として遊園地を使ってきたが、住民の苦情が直接センターにあった2021年3月から外で遊ぶことをやめた。
市は春休みなどは近くの青木島小学校を使用することなどを検討していたが、今回、荻原市長は「存続も含め再検討する」と方針を見直した。
![青木島遊園地の周辺](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/d/5/700mw/img_d5fc7a35e62c7e98ef86d1b9eaf0517d1882402.jpg)
センターの館長はこの問題について「答えたくない」としている。
また、センターを利用する保護者も「存続となっても、また、問題が起きるのでは」と話している。
児童センターを利用する保護者:
残ったからといって遊べるようになるのかなと不安というか、そういう思いはある
児童センターを利用する保護者:
小学校の校庭とか開放してもらえるという話も聞いたので、遊ぶ場所には困らないかなと。あればあったで、存続なら存続でありがたい
![青木島遊園地(長野市)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/5/700mw/img_459bc85b68a4af649f37f12f993d7a91227487.jpg)
存続の場合、公園の維持管理は
一方、青木島遊園地の草刈りなどの管理はこれまでセンターが担っていたが、子どもが遊ばなくなったため取りやめている。
![青木島遊園地(長野市)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/a/700mw/img_fa3cdcb35de94136980a41b5cafc0712394787.jpg)
「地元住民有志の会」は仮に存続が決まった場合、公園の維持管理のための「愛護会」の活動を立ち上げ直すとしている。
(長野放送)