「子どもの声がうるさい」と一部住民の苦情をきっかけに廃止された長野市の青木島遊園地。廃止決定まで多くの地元住民に知らされないまま手続きが進んだことなどに疑問の声が上がった。市の進め方について有識者を交えた検証が始まった。

市の対応が住民の不信招く

長野市青木島町の一画。更地となっている。

3年ほど前までは元気な子どもの声が響いていた。 

かつて、ここにあったのは「青木島遊園地」。 

「子どもの声がうるさい」との一部住民の苦情をきっかけに最終的には廃止された。 

しかし、廃止に至る過程で、市の対応が住民の不信を招いた。

長野市青木島町の一角 いまは更地に(2024年3月14日撮影)
長野市青木島町の一角 いまは更地に(2024年3月14日撮影)
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廃止決定は住民に知らされず…

廃止をめぐる経過―。

公園は2004年に設置されたが、すぐに一部住民から「うるさい」と苦情が寄せられる。 

市も対策を施したが、2021年、利用していた隣の児童センターに住民が直接、静かにするよう要請。 

児童センターは利用を中止した。 

その後、地区の区長会は利用が減ったことを受けて「廃止やむなし」とし、市が一度廃止の方針を決めた。 

この最初の廃止の決定は多くの地元住民に知らされていない状況だった。 

その後、一部報道もあって地元で廃止を疑問視する声が上がった。

廃止を巡る経過
廃止を巡る経過

市長が「再検討」表明も…

2023年2月、ようやく開かれた地元説明会で、荻原健司市長は「再検討」を表明する。

しかしー

公園は借地で、既に地権者が後利用を決めており、2023年3月、市長が再び「廃止」を表明した。

地権者の計画を把握していた市の担当者が、市長に説明していれば「再検討の表明」はなかったのではという疑問の声が上がった。 

当時、荻原市長は、 「重要な決定に当たり、住民の皆さまの意見の聴取、お知らせの仕方にも課題が残った。反省すべきところは反省して今後に生かしたい」と、述べていた。

長野市・荻原健司市長(2023年3月)
長野市・荻原健司市長(2023年3月)

住民との合意形成のプロセスに問題

市は廃止に至る過程の検証を進めていて3月14日、住民との合意形成やコンプライアンスに詳しい有識者を招いた。 

委員会は冒頭を除き非公開だったが、有識者からも住民との合意形成のプロセスに問題があったなどの意見が出されたという。 

次回以降、具体的な問題点を整理する。2024年の夏をめどに報告書をまとめる方針だ。

委員会(2024年3月14日)
委員会(2024年3月14日)

市「ご心配かける結果に」

委員会後に長野市総務部の反町健次長が取材に応じ、 「廃止について、行政としてはそれまでの手続きを踏まえて対応したが、ご心配をかける結果になった。果たして、当時の手続きが正しかったか見ていきたい。市の施策に対して住民の理解得られるような手順で進められるよう考えていきたい」と話した。

公園の廃止で隣の児童センターは青木島小学校に移されることになり、現在、工事が進んでいる。

青木島小学校
青木島小学校

(長野放送)

長野放送
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