2月3日は節分。宮司と「福っ娘」が街中をめぐり、福を届ける「出張豆まき」を行う神社が、長崎・松浦市にある。新型コロナの感染拡大を受けて、模索を続ける節分祭に密着した。
2年ぶりに復活! 今福神社の「節分祭」
長崎県の北部に位置する松浦市今福町の今福神社。「節分祭」は合格祈願祭も兼ねていて、地元の今福中学校の3年生も参加した。
この記事の画像(14枚)今福神社・早田伸次宮司:
季節の分かれ目といって、本当は節分は年に4回ある。冬から春になるときの節分だけが一つ大きく取り上げられるようになった。なぜかというと、みなさんご存じ、豆まきをするから。きれいさっぱり今までの災いをはらって、きれいな気持ちで春を迎えましょうという行事です
新型コロナの影響で自粛していた豆まきも2年ぶりに復活。ようやく本来の形に戻った。春を呼ぶ使者「福っ娘」役の今福中学校2年の田中伽奈さん(14※取材当時)が豆をまき福を授けた。
福っ娘役 今福中学校・田中伽奈さん:
みんなに幸せになってほしいなという思いを込めたい
今福神社・早田伸次宮司:
3年分のねじを巻き戻すではないが、もう一回、祭りおこしと町おこしは一緒だと思っている。これを期に、また元気にやろうかなと思っている
「次の明るい時代のきっかけに」
早田宮司によると、今福町はピーク時には1万2,000人ほどが暮らしていたが、現在は2,500人。人口減少と高齢化が進んでいる。
今福神社・早田伸次宮司:
本当に長崎は、人口減少で祭りとかが縮小して、揚げ句の果てにはなくなろうとしているところもたくさんある、正念場を迎えている。ここで我々が一生懸命頑張ることで、次の時代の明るい時代のきっかけになればという気がする
「福」を待つ人のもとへ…“出張豆まき”
今福神社に行くには、急な階段をのぼる必要がある。そこで早田宮司が考えたのが…。
――今からどこに行かれるんですか?
今福神社・早田伸次宮司:
「出張豆まき」に行きたいと思います
約20年前に始めた「出張豆まき」では、宮司と福っ娘が街中をめぐり、福を届ける。
宮司と福っ娘:
皆さん幸せにこの一年過ごしましょう!鬼は外、福は内
地元の人:
色々行事をしないとダメです。こんな小さな町でも最高です
地元の人:
神社が遠いからこういうところでやってもらったら、もう20年続いているから、皆さん来て健康になってもらったら私たちも助かる
まわるのは商店や食堂、製菓店の3カ所だ。それぞれの場所で多くの人が「福」を待つ。
地元の人:
いいことがあると思います多分、わからんけど。きょうはいっぱい拾った! ありがとうございます
店員:
今年も安泰かな。コロナ禍でお客さんも減っている中、こうしてしてもらえるのはありがたい。伝統というのは良いですね、続けてもらうと
この日は、予定にはなかった「飛び込み」も!
宮司と福っ娘:
今福のために頑張っていきましょう。たくさんの福がきますように、体に気をつけて頑張ってください。福は内、鬼は外、福は内、福は内
福っ娘役・今福中学校 田中伽奈さん:
こういう文化は、後世にも残していかないといけない文化だと思っているので、引き続きこういう神事に関われていけたらいい
今福神社・早田伸次宮司:
最初に始めたときは、2~3人の寂しいお祭りだった。20年かかって浸透してきた。大きくすることよりも続けることを目標としているので、頑張って続けていきたい
人口の減少と高齢化で伝統行事を取り巻く環境が厳しさを増す中、厄除けや家内安全を祈る「節分祭」が、街の人たちに笑顔を届けた。
(テレビ長崎)