2022年8月に、石川県の加賀地方を襲った記録的な豪雨から半年。被災地は日常を取り戻しつつあるが、いつ起きるか分からない災害への不安は拭いきれずにいる。
お金に代えられない命…子供を守る教訓

石川県小松市の河田保育園。ここには0歳から6歳までの105人が通っている。

この保育園は、半年前、豪雨災害に見舞われた。

2022年8月。石川県加賀地方を襲った集中豪雨。小松市では、わずか1日で8月に降る雨量の1.5倍以上が降り、河田保育園にも濁流が押し寄せた。

玄関先に入り込んだ水の高さはおよそ35センチ。近くの公民館を借りて保育することを余儀なくされた。

あれから半年…。保育園では、浸水を防ぐため新たな防護壁を導入した。
河田保育園 高清嗣理事長:
一番最初に水が入ってきたのは玄関。まずは玄関に一番最初に防護壁を作って、次に浸水する順番で止水板(防護壁)を設計している。


高さ50センチの壁で出入り口を塞げば、避難の時間稼ぎにも繋がるからだ。今回設けた防護壁は29カ所。

さらにこんなことも…
河田保育園 西洋子園長:
水害に遭っていくつか訂正した。
目の前の道路が冠水した場合など、具体的な行動計画を独自にマニュアル化した。


河田保育園 西洋子園長:
今回の雨で現場で判断することが大切ということを学んだので、レベル3では前の道路に水が迫ってきたら避難することに決めた。

1億円をかけて元通りに復旧した保育園。危機意識を高めることが子供たちを守ることに繋がる。

100年以上続く旅館で最も甚大な被害
一方、こちらは…

2023年2月4日、日帰り温泉が再開した小松市の赤穂谷温泉だ。旅館には再開を聞きつけた地元の人たちなどが訪れた。

赤穂谷温泉 田島康之店主:
久しぶりに「いらっしゃいませ」と言えて、心が温かくなって嬉しかった。賑やかな感じになって嬉しい。
ロビーには当時の写真が貼られ、被害にあった日から今日までが記されている。


地元の人:
ここや、今おるところ。うちの中や。今いるところ。

地元の人:
私は被害にあった時すぐ来た。泥だらけで本当にすごく悲惨だった。
2022年8月の豪雨で、1階はすべて濁流に飲み込まれた。

豪雨災害が起きた直後、石川テレビはこの温泉を取材していた。


田島店主:
ここに水位のラインがついているので、全部湖みたいになった。


100年あまり続いてきた旅館だが、これまで最も深刻な被害を受けた。

しかし、被害を聞きつけたボランティアが県の内外から集まり、泥をかき出したり、床を貼り替えたりして営業再開に向け汗を流した。その数、のべ2000人。


田島店主:
被災して最初は駄目かなと考えたりもしたけれど、周りが助けてくれて、とにかく半年をきりにして温泉だけでもオープンして活気づけていきたい。

日帰り入浴再開!「見違えたようにきれいに」
そして、豪雨から半年たった2月4日。日帰り入浴が再開された。

客:
こんな近くにこんないい場所があるのは最高。
客:
ちょうど良い熱さで気持ちいい。写真見てすごい泥だったけど、今見て見違えたようにきれいになった。

客:
お風呂入らせてもらった。ありがとうございました。気持ちよかったね。

しかし、旅館は全て元通りというわけではない。一部の建物は解体を余儀なくされ、客室はまだ床も張られていない。

川が溢れないようにするための工事計画がたっていないからだ。

田島店主:
うちだけでなく、この辺り一帯の町内もいっぱい被災した人がいて、皆さん川の問題がどうしても頭の中にあると思うんですが、ちゃんと解決して安心して皆さんが住めて、僕らも商売できる環境が整えば一番いい。


記録的な豪雨からおよそ半年。住民の多くは未だ不安を拭いきれないままでいる。

(石川テレビ)