宮崎・高鍋町と川南町の町境に位置する県立農業大学校。農業大学校としては全国2位の面積を誇る広大なキャンパスで、103人の学生たちが農学や畜産学を学んでいる。宮崎の農業の未来を担う学生たちを取材した。

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繁殖農家を目指す“牛好き”学生たち

畜産学科で酪農を専攻する横山絢子さん、そして肉用牛専攻の佐藤摩裟斗さんは、子牛を育てて販売する繁殖農家を目指している。

畜産学科で酪農を専攻する横山絢子さん
畜産学科で酪農を専攻する横山絢子さん
肉用牛専攻の佐藤摩裟斗さん
肉用牛専攻の佐藤摩裟斗さん

肉用牛専攻1年・佐藤摩裟斗さん:
(農大は)牛のことだけではなくて、こういう機械のことも学べるので、すごく将来のためになると思います

畜産学科では、学生たちが自主的に考えながら牛の世話をしている。このうち、肉用牛専攻では98頭を飼育し、肉用牛の餌の管理や繁殖・肥育経営などについて学んでいる。

肉用牛専攻1年・佐藤摩裟斗さん:
自分たちで牛を育ててみて、あらためて牛の生産は面白いなと思ったし、あらためて牛を好きになりました

そして、酪農専攻では乳牛27頭を飼育している。
牛の管理に加えて、朝と夕方に搾乳を行い、採れた牛乳は市場に流通している。

酪農専攻1年・横山絢子さん:
酪農の魅力は牛が人懐っこいことが一番ですけど、かわいいところとおいしい牛乳を作ってくれるところです

牛は、学生たちが愛情を込めて育てている。しかし、かつて農大では、家畜の姿が消えたことがあった。

「口蹄疫」の悲しみを忘れず…

県の会見(2010年5月):
県立農業大学校に今回、ヤギが2頭入っています。本県で初めての事例でございます

2010年に発生した家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」は農大内でも確認され、当時飼育していた牛218頭とヤギ2頭が殺処分された。

口蹄疫の発生当時 県立農業大学校(2010年)
口蹄疫の発生当時 県立農業大学校(2010年)

畜産学科2年・上村雄大さん:
口蹄疫のつらく悲しい経験と、全国からいただいた支援に対する感謝の気持ちを忘れることなく、これからもしっかり記憶にとどめ、後輩たちにこの記憶を引き継いでいきます

つらく悲しい経験を未来の牛づくりにつなげる

あれから2023年で13年になる。農大では教訓を忘れないよう、毎年、慰霊祭を開き、当時の感染状況や防疫対策について講義を行ってきた。

2022年に行われた慰霊祭の様子
2022年に行われた慰霊祭の様子

肉用牛専攻1年・佐藤摩裟斗さん:
当時の人たちはつらい思いをしたと思うし、そんな中でここまで再開して、今これだけ牛がいるのは、先代の人の努力と思いが強かったからだと思う。ここで学びながら、将来、優良な牛を生産していきたい

酪農専攻1年・横山絢子さん:
どんどん若い人がいい牛をつくって世代交代していって、昔の人の育て方の考えを入れつつ、若い人たちなりの育て方を合わせて、より良い牛づくりができたらいい。自分が率先していけたらと思います

先輩たちが経験した口蹄疫と、そこからの復興。宮崎の畜産の未来を担うため、学生たちは、きょうも牛一頭一頭と向き合う。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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