2022年10月、ある場所でラーメンの販売がスタート。1日30食限定の絶品ラーメン。味わえるその意外な場所とは? 
一体なぜ販売を始めたのか、取材した。

“絶品ラーメン” 味わえる意外な場所

寒い中、おいしそうにラーメンをすするお客さんたち…一体どこで食べているかというと…なんと、お寺!

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京都府宇治市にある「宝蔵院(ほうぞういん)」。1669年に建立された、由緒正しいお寺だ。

その脇にテントを建て、ラーメンを調理している。2022年の10月から、週3日で販売を始めたこのラーメン。1日30食限定で、値段は1杯600円。

ここで提供するラーメンは、近所の豆腐店から毎朝仕入れる豆乳を使った「豆乳みそ味カルボナーラ風」。メニューはこれ1つだ。

記者リポート:
めちゃくちゃ濃厚です、豆乳のクリーミーさと、みそのまろやかさが相まってカルボナーラみたいです、温まります

なぜお寺でラーメン?

宝蔵院 盛井幸道住職:
ラーメンをきっかけにここに足を運んでいただいて、知っていただく入口として、ラーメンを提供できればどうかなということで始めたわけですね

少しでも多くの人にお寺のことを知ってもらいたいと、寺に出入りしていたボランティアの手を借りてラーメン店をオープンすること。

お釈迦様をあらわす五色の具材

この“お寺ラーメン”は、お寺だけに、殺生は避けてチャーシューなどの動物性の食材は一切入れていなく、さらに…

宝蔵院 盛井幸道住職:
5種類のトッピングをしておりますけれども、これはお釈迦さまの体を表すような色がございまして、その五色

髪をあらわす青は「ワカメ」、身体をあらわす黄色は「トウモロコシ」、血液をあらわす赤は「糸トウガラシ」、歯をあらわす白は「白きくらげ」、袈裟をあらわす黒は「メンマ」。

 このように、仏教においてお釈迦様をあらわす五色を具材で表現している。

ラーメンを食べた人たちが“お寺ラーメン”をSNSなどで話題にしたことから注目されることに…

イタリア人女性:
おいしい、おいしい、めっちゃおいしい

京田辺市から来た男性客:
神聖な雰囲気がしますね。すごくパワーをもらえるような感じです

兵庫県から来た家族:
なかなかできない経験ですね、日本中探してもそうないんじゃないですか

お経を印刷「版木」6万枚を収蔵

ラーメンをきっかけに、お寺にやってきた人たちに住職がぜひ立ち寄ってほしいというのが…収蔵庫。

宝蔵院 盛井幸道住職:
ここが収蔵庫入り口ですね

収蔵庫の中には、お経を紙に印刷するため、文字を反対向きにして彫った「版木」がずらり!

およそ350年前、この寺を建立した鉄眼禅師(てつげんぜんじ)が17年もの歳月をかけて作ったもの。数はおよそ6万枚あり、そのうち5万枚近くが国の重要文化財に指定されている。

宝蔵院 盛井幸道住職:
これは実際の版木なんです。この版木を、ここに墨を塗りまして、紙をかぶせてしてバレンで押さえて、そして刷り上がったのがこの形で出てくるわけですね

 印刷されたお経は、2000以上の寺から注文があり、大いに役立ったということだ。

版木にある「高(たかい)」という字に紙をあて、バレンでこすってみると…刷りあがったものに、何やら見覚えのある書体の「高」が浮かんだ。そう、これが「明朝体」のルーツになった書体だ。

さらに、子どもの頃、読書感想文で書いた原稿用紙を版木にあてると縦20行、横20行、ぴったり重なった。

宝蔵院 盛井幸道住職:
20字の20行、真ん中に整理番号とかがあります。原稿用紙のルーツとも言われているわけです

宝蔵院 盛井幸道住職:
ラーメンを求めてお越しになる方が一人でも増えて、このお寺をより良く知っていただければ。そこにラーメンとしての期待をかけているところですね

寺のことを知ってもらいたいと始めた“お寺ラーメン”。お腹を満たすとともに、歴史に触れてみてはどうか。

 (関西テレビ「報道ランナー」2023年1月30日放送)

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