2021年、千葉県の通学路で、下校中の小学生の列に大型トラックが突っ込み5人が死傷。全国的に通学路の安全対策が進められるきっかけとなった。
鹿児島県内の通学路の実情はどうなっているのか?

県で確認された危険な通学路は1397カ所

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スピード落とせの表示に、路肩に立つポールと人が歩く場所を示す緑の舗装。鹿児島市の本城小学校の通学路。児童の安全を確保しようと、鹿児島県が2022年に整備した。

左:整備前 右:整備後
左:整備前 右:整備後

整備される前の写真と見比べると対策が施されたのがわかった。
きっかけは2021年6月に千葉・八街市で起きた事故だった。大型トラックが下校中の小学生の列に突っ込み2人が死亡、3人が重傷を負った。

事故のあと、政府は通学路の点検を各都道府県に通知。その結果、鹿児島県内では危険とされる通学路が1,397カ所確認された。2022年3月末時点で安全対策が済んだ場所はそのうち6割で、残る4割の約600カ所は対策がまだ施されていない。

途中から歩道がなくなり、児童と車の距離が近くなる
途中から歩道がなくなり、児童と車の距離が近くなる

安楽遥記者:
鹿児島市中山の通学路です。ここまでは歩道がありますが、この先は歩道がなく歩く児童と車の距離が近くなっています

鹿児島市・中山小学校のこの通学路で必要な対策は、歩道の設置。道路を管理する県は歩道の設置を進めているが、土地の取得などに時間を要し整備のめどは立っていない。

近くの住民:
歩行者からしても運転手からしても危なくて怖いですね

近くの住民:
歩道をつけてもらいたいのがこの地区民の願いだと思う

対策済みでも住民から心配の声

さらに、対策済みとされた通学路でも課題は残っている。

鹿児島市・坂元台小学校の通学路。ここは児童が歩くスペースとして路肩にカラー舗装が施された。県は対策済みとしているが、道幅の狭さは変わらず、住民からは心配の声が聞かれます。

近くの住民:
子どもが路肩ギリギリで車との間をずっと下っている。非常に危険な道路

近くの住民:
車が止まってくれるから子どもが歩けるような状態で、子どもが車を気にしないで歩けるような状態ではない

政府の目標は、2023年度中に安全対策を終えることだが、行政と住民の間では安全の捉え方にもギャップがあり、危険な通学路の解消にはまだまだ課題がありそう。

(鹿児島テレビ)