経済成長が著しい東南アジアとの交流促進を目指す新潟県。水際対策が緩和されたことを受け、2023年1月、新潟県の花角知事がシンガポールを訪問した。農産品の海外輸出やインバウンド獲得に向け、海外訪問で見えた今後の展望と課題に迫る。

花角知事 多民族国家・シンガポールを訪問

経済的な交流を深めようと、2023年1月、東南アジアを巡った花角知事や県内企業などの訪問団。タイやベトナムに続いて訪れたのは、シンガポールだ。

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記者リポート:
多くの国籍の人が集まるシンガポール。街を歩いていると、様々な文化が受け入れられている様子が見受けられます。また、新型コロナウイルスへの対応もだいぶ規制が緩和されていて、大きなビジネスチャンスが期待されています

様々な文化が集まるシンガポール
様々な文化が集まるシンガポール

多民族国家として知られるシンガポール。年間を通して気温が30℃前後のため、1月でも半袖の人が多い一方で、突然スコールが襲うこともある。

新鮮さを売りに!販路拡大目指す県産米

花角知事たちが最初に訪れたのは、空港の敷地内にある複合施設だ。施設内には、ラーメン・とんかつなどの店もあり、シンガポールにおける日本食の人気の高さがうかがえる。

一方、中華料理店で箸袋に書かれていたのは、「日本一のコメ・新潟米」の文字だった。

県食品流通課 渡辺慎一 課長:
箸は我々がプロモーション用で提供しているもの。食べる人が見て、新潟を知ってもらう

県産米の販路拡大を目指している県。この中華料理店では、2023年10月から「魚沼産コシヒカリ」や「ゆきん子舞」を使った料理を提供している。訪問団には、県産米を使った前菜とチャーハンが提供された。

大光銀行 古出哲彦 会長:
新潟にいる一人としては、非常にありがたいなと思う

五泉市 田邊正幸 市長:
新潟米も単に白米で食べるのではなくて、こういった物をアレンジして食べるというのは、今後の料理方法にあるのではないか

中華料理店の代表:
私たちにとって、新潟米はとても新鮮なもの。新潟が世界で最もおいしいコメを作ると信じている

流通するコメの全量を輸入に頼り、その多くが長粒米のシンガポール。県産米は、玄米で輸入したものを現地で精米することで、新鮮さを売りにしている。

訪問団は、日本米を輸出し、現地に精米所を持つ会社を視察した。

KUBOTA RICE INDUSTRY担当者:
シンガポールは亜熱帯なので、常にクーラーが効いている。その中で食事の料理が冷めやすい。逆に言うと、日本米のいいところは、冷めたときに本領を発揮できる。冷めてもおいしい

しかし、需要の拡大には課題もある。

KUBOTA RICE INDUSTRY担当者:
コメが良ければいいかというと、今度は炊き方が…

花角知事:
炊き方、そして食べ方もあるでしょうね。全く知識・文化のないところでそれを伝えていくことは、かなり骨が折れそうですね…

知事が現地の番組に出演!県産米をPR

一方、別の日系企業の小売店では、店頭で精米を実演。精米したての県産「こしいぶき」や、そのおにぎりを販売している。

食事のほとんどを外食で済ませる文化のシンガポールだが、新型コロナウイルス禍により家での食事が増えたことで、炊いたあと冷めてもおいしい日本米が注目されているという。

おにぎりも販売
おにぎりも販売

県産米の魅力を再確認する中、花角知事は現地のあるスタジオに入ると、はっぴを羽織った。

司会者:
皆さん、こんにちは!きょうは特別なゲストを呼んでいます

この日行われたのは、インターネット上で動画を配信しながら商品を販売する、ライブコマースの収録だ。現地で人気の番組に花角知事はゲストとして出演し、県産米の魅力をアピールした。

花角知事:
どうして新潟のコメがおいしいかご存じですか?

司会者:
なぜか?それは…、雪?

花角知事:
そうです!

シンガポールでは、コメ以外にも果物・野菜・菓子など、県内に関係する様々な物を販売している。特に県産のマイタケは、鍋料理の食材として現地の定番になりつつあるという。

一方、花角知事が注目していたのが冷凍枝豆。人気があるという台湾産の冷凍枝豆は、100gあたり約100円で販売され、さらに北海道産のものはその約3倍の値段がついていた。

花角知事:
新潟でも、枝豆の輸出を考えている地域があるので、後押ししていきたい

新潟の観光PRも認知度低く…

続いて花角知事が現地でアピールしたのは、新潟の観光だ。

旅行会社の説明会で登壇し、新潟の四季や文化を紹介すると、この日販売された新潟などを巡るツアーの1つは即完売した。しかし…

参加した客:
新潟は多くは知られていない。みんな北海道は知っているし、東北も知っているかもしれないけれど、新潟はほとんどいないと思う

海外における新潟の認知度には、まだ課題が残る。

交流拡大へ「ASEAN県人会」発足

こうした中、1月に発足したのがシンガポールやベトナムなど6カ国7都市の県人会で構成される「ASEAN県人会」だ。

設立総会には県も参加し、新潟とASEAN地域の交流拡大などに向けて連携していくことを確認した。

シンガポール県人会 野村繁雄 会長:
ASEAN地域では、それぞれの地域から、入れ替わり立ち替わり人が回っている。なおさら県人同士で意思を疎通させて付き合っていきたい。どんどん親睦を深めていきたい

ホーチミン県人会 渡邉豊 会長:
ASEAN県人会は応援団。とにかく新潟のみんなが元気になって、色んな新潟の経済社会とか教育社会とかに貢献できればいい

来年度の予算編成を本格化させ、新たな年度への準備を進める県。今回の訪問で得た知見を、どのように生かして行くのかが注目される。

花角知事:
これから予算編成も本格化するが、今回の訪問の成果を出せるように、活用できるように考えていきたいと思う

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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