2022年12月の長野市の消費者物価指数を見ると、「光熱・水道」は前年同月比で20.2%上昇、生鮮食品を除く食料も7.9%上昇している。物価高から暮らしを守るにはどうすればいいか。家庭でできる工夫・節約を長く実践してきた長野市の女性グループに聞いた。

9割が物価上昇を実感

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長野経済研究所の去年10月の消費動向調査によると、9割の人が物価の上昇を感じ、支出が増えたという人もおよそ6割に上った。街でも聞いてみた。

20代会社員:
食費が上がって苦しい、お給料上がっていないので。電気代も上がって、いいことがない

10代高校生:
ラーメン店が高くなった。1000円でも食べられない店が増えてきた

では、どのような工夫をしているのだろうか。

30代会社経営:
余計なものを買わないように小分けにして買うとか。本当に必要か考えるように

20代会社員:
アプリで(家計簿)つけています。どれくらい使ったかを意識するようになった

30代夫婦:
月額の食費を決めてあって、その中から使うようにしている。使いすぎないように

雑誌「婦人之友」の愛読者に聞く

支出をいかに抑えるかで多くの人が苦心している。そこで、節約を長年、実践してきた皆さんの意見を聞いてみた。

雑誌「婦人之友」の愛読者でつくる「長野友の会」のメンバー
雑誌「婦人之友」の愛読者でつくる「長野友の会」のメンバー

長野友の会 家計リーダー・内山啓子さん:
年末に車検があるので、予算は赤字かな。病気をしないように節約を心がけて暮らしたい

こちらは主婦層向けの雑誌「婦人之友」の愛読者でつくる「長野友の会」のメンバー。衣食住に関するさまざまな知識を学んでいて、この日は去年1年間の家計簿のまとめと、今年1年の「方針」を発表し合った。

友の会のメンバー(70代):
電気・ガスがすごい値上がりになったから、(予算に対して)赤字になりました…

友の会のメンバー(60代):
(食費は)毎年多めだったけど、ギリギリまで抑えた

メンバーの皆さんも物価高には苦労していたが、家計の状況をきちんと把握していた。

家計簿をつける

実は全員、「家計簿」をつけている。これが節約の第一歩だ。

家計簿歴30年(60代):
つけるようになると、自分がいかに食品などを無駄にしていたかというのが表れてくる

家計簿歴30年以上(70代):
ただただ節約するだけじゃなくて、使うところには使う。安心なんですよね。行く道を照らしてくれているのが家計簿

予算を立てる

家計簿をつける上で、大事なのが「予算」を立てること。
学生時代から家計簿をつけている内山啓子さん(75)の家計簿を見せてもらうと…。

光熱費や住居費など費目ごとに1カ月の予算を決めていた。

総収入から税金や社会保険料、預貯金などを差し引いた額が、日々の暮らしに使える「純生活費」。その中で食費・光熱費など「費目」ごとに予算を立てると必要なものが明確になり、余計な買い物を抑えられるそうだ。

夫と2人暮らしの内山さん。値上げを受けて光熱費は去年より1000円ほど足すなどして年間の予算を立てた。

長野友の会 家計リーダー・内山啓子さん:
予算を決めておけば、安心して使えるということですね。家族で話し合って、希望とか予定がわかれば、これぐらいのお金を使おうと(決められる)

今はスマホで簡単につけられる家計簿アプリもあり、内山さんはまず「買い物した物を記録すること」から始めてみてはと話す。

長野友の会 家計リーダー・内山啓子さん:
記帳することによって「このくらい上がっている、だったらここを節約しよう」とか出てくる。(家計簿で)家計を見直して、生活をどうしていこうか見直しができることが一番いい

長野友の会 家計リーダー・内山啓子さん
長野友の会 家計リーダー・内山啓子さん

食材の購入は計画的に

続いて、メンバーの馬場美代子さん(69)が実践している節約術を紹介してもらった。この日、買ってきた食材は野菜や肉、魚、乳製品など。

長野友の会・馬場美代子さん
長野友の会・馬場美代子さん

長野友の会・馬場美代子さん:
夫と2人暮らしなので3日分くらい

馬場さんは買い物を最小限にする工夫をしている。

こちらは馬場さんが作った食材に関する表。厚生労働省の資料を基に夫婦2人の1日当たりの「摂取目安量」を出し、そこから、1回あたりに買う量や予算を決める。

例えば、青菜の場合、夫婦2人の1日の目安は120グラム。1回の買い物で2束を買い、1カ月あたり1500円以内にしている。表に従って買い物をすれば無駄な出費が避けられるそうだ。

長野友の会・馬場美代子さん:
必要なものだけ先に買うと、目に見えて(かごの中が)たくさんだなとわかる。これは買えないなというのがはっきりしてくる。(予算の)枠がないと本当に好きなだけ買っているかもしれない

保存して使い切る

食材を使い切るための工夫も。

ネギやコマツナは、洗った後に切り分けて袋に入れる。こうすると鮮度も保て、すぐに調理もできる。

ブロッコリーやホウレンソウなど傷みやすいものは、ゆでてから容器に。腐らせて無駄にすることが減るそうだ。

長野友の会・馬場美代子さん:
せっかく買った大事なものなので、新鮮なうちに無駄なくいただけるようにしたい。食べられる状態にしておけば、私ばかりじゃなく、家族も出して食べるのでいいと思う

調理の工夫で光熱費を節約

調理の工夫も。カボチャの煮物は、5分ほど煮立たせたら、火を止めて保温用の布「鍋帽子」をかぶせる。

すると―

長野友の会・馬場美代子さん:
夕飯のころにはしっかり火が通って食べられる。光熱費の節約になっていると思う

冷蔵庫の整理 置く場所を決める

最後に冷蔵庫の工夫。

長野友の会・馬場美代子さん:
上はお菓子とかパン類、ここは漬物類。できるだけ置き場所を決めて使うと、自分で何があるかは一目でわかる

置く場所を決めておくと、残りの量が把握しやすく、買い足しの目安になる。

冷凍庫は―

長野友の会・馬場美代子さん:
重ねてしまうと何があるかわからなくなってしまうので。一目でわかるように名前をつけることと、大きさをそろえる

何が入っているかわかりやすくすること。これも食材を使い切るためのポイントだ。

「ひと手間」の積み重ね

家計簿や食材の下処理は手間がかかるため、おっくうになりがち。でも物価高が進む今、生活を守るには、そうした積み重ねが大事なようだ。

長野友の会・馬場美代子さん:
やってみると大したことはない。ひと手間のようですけど、意外と時間はそんなにかからないので、ちょっと思いついた時に始めてみてほしい

(長野放送)

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