20年以上にわたり活躍してきた佐賀県警のパトカーが、2022年11月に一線を退いた。ところが、引退が決まったあと全国からファンが撮影に訪れたという。九州では佐賀県にしかなく、マニア心をくすぐったパトカーの正体とは?

20年前に生産終了「セドリック」

佐賀県警察本部 交通指導課・於保貴志警部補:
一番多いのは関東からですね、100人はいかないが、何十人という方が来ていただいています

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佐賀県警察本部 交通指導課・満和也巡査長:
全国から多くの方に来ていただいて、それもとても驚きました

佐賀県警が2022年の11月までパトロールなどで使っていた日産「セドリック」のパトカー。この型のセドリックは、約20年前の2002年に生産が終了している。

このパトカーの初年度登録は1998年、約25年前で、その走行距離は12万km以上だ。

佐賀県警察本部 交通指導課・於保貴志警部補:
非常につくりが良いのでしょうね、頑丈で大きな故障もなくて、これまで警察官のいろんな方が利用してきたのですが、大切に使ってもらって、おかげさまで大きな故障もなく、今までもずっと運用できていた

「マニュアル」に「フェンダーミラー」

このパトカーは、現在主流のドアミラーではなく、車体のフロント部分につく“フェンダーミラー”、さらにミッションは“マニュアル”と、令和のこの時代には珍しい車だ。

現在30歳、このパトカーが配備されたとき、まだ小学生だった満和也巡査長は…。

佐賀県警察本部 交通指導課・満和也巡査長:
デザインが角張ったデザインで内装も渋くて、私としては格好いいなという印象ですね、昔の高級車と言われていただけあって、シートも柔らかくて乗っていて安定もしているので、良い車だなと思います

しかし、速度違反を取り締まるために搭載していたレーダーのシステムが電波法の改正によって使えなくなり、2022年11月をもってレーダーパトカーとしての役目を終えることに。

生産終了から20年以上たったセドリックが2022年までパトカーとして稼働していたことを、警察やパトカーのことに詳しいフォトジャーナリストの有村拓真さんは、次のように語る。

フォトジャーナリスト・有村拓真さん:
セドリックというのは、ベースがもう90年代初頭とか80年代とかからずっとつくっているやつなので、それが2022年までずっと現役だったっていうのは非常に珍しいケースではありますね

有村さんが「非常に珍しい」と言うセドリックのパトカー。なんと佐賀県警は、2022年まで3台のセドリックをパトカーとして使っていた。

九州では最後と言われるこのパトカーが全国のファンからにわかに注目を集めたのは、2022年6月のことだった。

引退知り全国から続々と撮影に

佐賀県警察本部 交通指導課・於保貴志警部補:
長年活躍してくれたこのセドリックのレーダーパトカーですね。その労をねぎらうというところでも、ツイッターを通して県民の皆さまに知ってもらおうということで投稿したところ、非常に多くの全国の方々、ファンの方から反響いただきまして

SNSで引退を知らせて以降、全国からファンが訪れ、その写真を撮影するなどしたという。

佐賀県警察本部 交通指導課・満和也巡査長:
北は北海道、南は九州まで全国から多くの方が来ていただいて、それもとても驚きましたし、私も対応したのですが、(来た人の)パトカーに対する思いも熱くて、それに驚いたっていうところですね

中には、関東から写真撮影に3回訪れた人もいたという。

佐賀県警察本部 交通指導課・於保貴志警部補:
1回(写真を)撮りに来られてですね、自分の撮った写真が気に食わなかったということで「もう1回撮らせてくれ」ということで、再度見えられた方もいらっしゃいます

中には、「加速する時に、リア(後部)が下がる姿を撮影させてほしい」とファンならではのリクエストをする人も。

配備された当時は32歳。交通機動隊として乗ることも多かった大塚敬介警部補は、その労をねぎらった。

佐賀県警察本部 交通機動隊・大塚敬介警部補:
配備された当時では、最新の速度測定装置が搭載されておりました。そういうことで、非常に取り扱いには緊張しながら扱ったのを覚えております。今まで県下の「交通事故防止のために活躍してくれてありがとう」、そして「お疲れさまでした」と伝えたいです

パトカーとしての役目は終えたものの、車検期間は2024年3月まで残っている。

佐賀県警察本部 交通指導課・於保貴志警部補:
レーダーパトカーという形での運用はできないのですが、なんらかの形で運用ができればと思っております

ーー今後県内を走る可能性は?

佐賀県警察本部 交通指導課・於保貴志警部補:
そうですね、可能性がないっていうことはないかなと思います

ほかにも珍しい“魔改造”パトカー

一方、県内にはこれ以外にも全国的に珍しい、いわゆる”魔改造”のパトカーがあるとジャーナリストの有村さんは言う。

フォトジャーナリスト・有村拓真さん:
“コンフォート”という車種なのですが、これは基本的にタクシーとしてつくられた車種。運転免許試験場の教習車として活躍していたものをパトカーに再利用された

世にも珍しいタクシーパトカーならぬ“コンフォートパトカー”は、唐津警察署と伊万里警察署で現役だ。そして魔改造はほかにも…。

鳥栖警察署の元々は県の公用車だったものを改造したプリウスや…。

機動隊の車を改造した佐賀市富士町の駐在所にあるランドクルーザーなど、県警のパトカーは全国のファンから注目を集めている。

県警察本部 交通指導課・多々良智郁警部:
パトカーへの関心と同様、県民の皆さまも交通安全と交通事故抑止に関心を持っていただき、引き続き、県内の事故を減らしていきたいと思いますので、よろしくお願いします

(サガテレビ)

サガテレビ
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