全国の自治体で唯一「鬼」の字が入る愛媛・鬼北町では今、町ににぎわいを作ろうというプロジェクトが進められ、新たなスポットが生まれている。大人だけではなく、高校生の居場所になるような“あかり”もともり始めている。

4年前から町づくり進む

鬼北の町を案内してくれるのは、北海道から移住してきた地域おこし協力隊の川井康悦さん(43)。

川井康悦さん:
ここは近永地区といいまして、駅のある中心的なところなんですけど、そこを中心に「賑わい創出プロジェクト」っていうのをやっています

地域おこし協力隊の川井康悦さんが鬼北の町を案内
地域おこし協力隊の川井康悦さんが鬼北の町を案内
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4年前に始まったこのプロジェクトでは、鬼北町の中心・JR近永駅や商店街周辺に、にぎわいを取り戻そうという町づくりが進められている。

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
ちょっと!すごいのが…これ、鬼!

川井康悦さん:
鬼ですね

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
立体感もある

これは、地元の人たちやアーティストらが手がけた“ウォールアート”。町内9カ所に描かれているこの鬼たちも、にぎわいづくりのひとつだ。

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
立派な建物ですね、古民家。あちらに黄色いのれんが

川井康悦さん:
「Warmth」という名前の建物になります

目印は特産のユズののれん。こちらもプロジェクトの一環として2022年6月にオープンしたコワーキングスペース「Warmth」。

ユズののれんが目印
ユズののれんが目印

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
中は印象が全然違いますね

外観とはちがうスタイリッシュな空間が広がる
外観とはちがうスタイリッシュな空間が広がる

川井康悦さん:
ちょっと近代的な

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
スタイリッシュでおしゃれな空間

Warmth管理人・早川優子さん:
元々ここは造り酒屋で、築160年くらいと聞いています。飾られているカゴや棚は全部、鬼北町内で昭和初期に使われていたものを集めた。

Warmth管理人・早川優子さん:
このカゴも昭和初期ごろのもので「昭和25年80円」と書かれていて。ただ、これが80円なのか、中に入っていたものが80円なのかわからないけど

古道具好きという早川さんが室内に飾った地域のお宝も見どころのひとつ。そんなWarmthには、ホッと落ち着く和室やベッドルームもある。

Warmth管理人・早川優子さん:
こちらから2階になります

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
わっ!たんすの階段があります

Warmth管理人・早川優子さん:
これは唯一、このおうちの方に残していただいた「階段たんす」。新しい空間ではあるんですけど、地域の全世代の人が懐かしい空間作りをしたいなと思います

地元・鬼北町でのカフェ開店を目指しUターン

早川さんが紹介したい方がいるという。

Warmth管理人・早川優子さん:
コーヒー屋さんを目指している山下さんです

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
早川さんとのつながりは?

山下雅代さん:
つながりは…突然ですよね

Warmth管理人・早川優子さん:
ここに突然来て「コーヒー屋をやりたいんです!」って来てくれたのが山下さんです

愛媛県内の高校を卒業後、大阪のホテルで働いていた山下雅代さん(28)。先輩の勧めで飲んだコーヒーのおいしさに魅了され、喫茶店に転職。自分のカフェを開くため、地元・鬼北町に戻ってきた。

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
わっ、すっごいいい香り

山下雅代さん:
香り、すごいですよね。(この豆に)出会ったのは確か21歳くらい。えっ、これがコーヒーかってくらいびっくりしました。すごいおいしくて感動しました

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
飲むだけじゃなくて、自分でいれたいなって思うようになったんですね

山下雅代さん:
そうですね…すみません、コーヒーに集中しすぎて話ができない

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
大丈夫です。むしろ何かいろいろ言って、ごめんなさい(笑)

山下さんが心を込めていれてくれたコーヒーの味は…。

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
おいしい。すっきりしてますね、飲みやすい。嫌な苦みが全然なくて、少し酸味があるからすっきり

山下さんは2022年12月、このWarmthで無料の試飲会を開き、初めてお客さんにコーヒーを提供するなど、夢への一歩を踏み出した。

山下雅代さん:
コーヒーを通して、人と人がつながる場所ができたらいいなと思っています

川井さんの移住のきっかけは「塾」

川井康悦さん:
次に見てほしいのが、こちらの建物。これが僕の鬼北町に来た理由になるんですけど

移住のきっかけ、というこの場所は…。

高校生:
あけましておめでとう。髪切ったんですか?

スタッフ:
切りました

やってきたのは、地元・北宇和高校の生徒たち。
ここは、鬼北町が運営する公営塾。こちらもプロジェクトで誕生した、その名も「お鬼楽(きらく)塾」。

「お鬼楽(おきらく)塾」
「お鬼楽(おきらく)塾」

元々、川井さんは通信制高校の生徒が通うサポート校の講師で、この公営塾のスタートに合わせて鬼北町にやってきた。

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
何年生ですか?

男子高校生:
3年生です、受験生。(この塾は)めっちゃいいと思います。人数少ないからたくさん教えてもらえるし

女子高校生:
毎日来てます

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
どうですか?ここ

女子高校生:
めちゃくちゃありがたい。家だと集中できない

「高校生の居場所になれば」

黙々と勉強する生徒たち。一見、普通の塾だが、教室の隣には、くつろいでいる高校生の姿が。

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
この部屋もよく使います?

女子高校生:
すごい使います。疲れたとき、勉強嫌だなって思ったときにここに来て

この部屋は“勉強しちゃ駄目”な休憩室。なんと、ワンドリンク無料のサービスもある。

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
いいね

女子高校生:
めっちゃいいです

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
家の部屋みたいにくつろいでたよね

女子高校生:
ときどき寝転んだりとか

塾の名前の通り、“おきらくに”。

川井康悦さん:
高校生の居場所みたいな。勉強もするけど、それ以外に鬼北町の中で高校生が来られる場所がいい。そのうち地域の方も巻き込んで、一緒に何かできればいい

町に新たなにぎわいを。鬼北の町には今、いろんな“あかり”がともり始めている。

(テレビ愛媛)

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