みんなはお酒を飲む際、どんな飲み方をしているだろうか?

冬から春にかけては、何かとお酒の場も増えがちだ。

酒ジャーナリストの葉石かおりさんと肝臓専門医の浅部伸一さんが監修を務め、アルコールによる弊害、ベストなお酒との付き合い方について解説する『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』(扶桑社)。

お酒が好きだからこそしてしまいがちな、6つの体に悪い飲み方について一部抜粋・再編集して紹介する。

悪酔いや二日酔いをしないためにも、体によくない飲み方を知っておきたい。

危険な飲み方1:一気飲み

お酒を一気飲みすると、短時間で血中のアルコール濃度が上がり、肝臓がアルコールの処理を行う限界量を超える可能性があります。

(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)
(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)
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急激に血中のアルコール濃度が上がることで、アルコール処理が間に合わず、昏睡状態になったり、急性アルコール中毒などを引き起こしたりして、場合によっては死に至る危険性も高まります。

そのため、のどごしを味わうための一気飲みは、要注意です。

危険な飲み方2:ちゃんぽん

最初はビールで乾杯をしたのに、次はハイボール、最後は日本酒などついつい、いくつもの種類のお酒をちゃんぽんしてしまうことがあります。

(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)
(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)

しかし、ちゃんぽんはかなり危険なお酒の飲み方です。アルコール度数の異なるものを数種類飲むと、自分の飲んだアルコール総量がわからなくなってしまうからです。

すると、いつの間にか体のアルコール処理能力を超える酒量を飲んでしまうことになり、悪酔いや二日酔いを招きかねないのです。

危険な飲み方3:寝酒

「飲み会の後に飲み足りないから、寝る前にもう少し…」「今日はちょっと寝つきが悪いから…」

そんな事を考えて睡眠直前にお酒を飲む人がいますが、アルコールは寝入りばなの睡眠を深くするだけで、実は睡眠の質を下げてしまっています。

(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)
(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)

また、寝酒に頼った誘眠作用は3~7日すると、効力が薄れてくるため、日に日に酒量がどんどん増えてしまいがちになります。

さらに、寝酒は睡眠障害の原因にもなり、うつ病発症のリスクも高めてしまう危険性さえあるのです。

危険な飲み方4:空腹で飲む

「今夜は宴会!たくさん食べて飲むぞ~」と朝から何も食べずに、飲み会に挑む人がいます。

しかし、空腹状態でいきなりお酒を飲むと、胃腸にアルコールがとどまる時間が短くなり、悪酔いを招きやすくなります。

(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)
(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)

また、空きっ腹に炭酸系のお酒を飲むと、血中のアルコール濃度が急激に上がり、酔いがまわりやすくなります。

そのため、飲酒前は、少しでも胃に何か固形物を入れてから飲むようにしましょう。飲酒前の食べ物を少しだけにしたい方は、チーズやヨーグルトがおすすめです。

危険な飲み方5:吐くまで飲む

楽しくお酒を飲んでいたのに、急に吐き気を催すのは、血中のアルコール濃度の急上昇を体が察知したことによる、自己防衛反応です。

(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)
(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)

そのため、吐くことを我慢するのはやめ、吐きたいときには、人に迷惑をかけないように吐きましょう。

しかし、指をのどに入れて強引に吐く行為は、食道を傷める原因となるため危険です。そもそも嘔吐を招くほどの大量飲酒をすること自体が、体にはよくない飲み方なのです。

危険な飲み方6:飲酒後のお風呂

飲み会のあと帰宅して酔ってしまったので、「お風呂で汗をかいてお酒を抜くぞ!」と、飲酒後に入浴する人がいます。

(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)
(『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』より)

アルコールは、一時的に血圧を下げる作用があるため、飲酒に加えて寒い時期の入浴は、ヒートショック(気温変化による血圧の急低下)のリスクが高まります。

どうしても汗を流したい場合は、ぬるめのシャワーをサッと浴びるだけにしましょう。

また、お酒を抜こうと、サウナに入る人もいます。これも脱水症状を誘発する危険な行為なので、おすすめできません。

以上が6つの危険な体によくない飲み方です。一つでも行ってしまっているものがある場合は、すぐにやめましょう。

『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』(扶桑社)監修・葉石かおり、浅部伸一
『酒飲み医師が教える 体によいお酒の飲み方』(扶桑社)監修・葉石かおり、浅部伸一

葉石かおり (はいし・かおり)
エッセイスト・酒ジャーナリスト
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事長
1966年、東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て、現職に。「酒と健康」「酒と料理のペアリング」を核に、執筆・講演活動を行う。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外で日本酒の伝道師SAKE EXPERTを育成する。著書に累計17万部を超える『酒好き医師が教える最高の飲み方』『酒好き医師が教えるもっと!最高の飲み方』『名医が教える飲酒の科学』(すべて日経BP)など多数ある。

浅部伸一 (あさべ・しんいち)
肝臓専門医
1990年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、虎の門病院消化器科、国立がん研究センターなどを経て、肝炎免疫研究のためアメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に留学。2010年より自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科に勤務。現在はアッヴィ合同会社に所属している。

<イラスト/楢崎義信>

葉石かおり
葉石かおり

エッセイスト・酒ジャーナリスト
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事長
1966年、東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て、現職に。「酒と健康」「酒と料理のペアリング」を核に、執筆・講演活動を行う。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外で日本酒の伝道師SAKE EXPERTを育成する。著書に累計17万部を超える『酒好き医師が教える最高の飲み方』『酒好き医師が教えるもっと!最高の飲み方』『名医が教える飲酒の科学』(すべて日経BP)など多数ある

浅部伸一
浅部伸一

肝臓専門医
1990年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、虎の門病院消化器科、国立がん研究センターなどを経て、肝炎免疫研究のためアメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に留学。2010年より自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科に勤務。現在はアッヴィ合同会社に所属している