毎日、東京・豊洲市場から仕入れる新鮮なネタの江戸前寿司。そのイクラやウニの軍艦巻きに使われる「のり」に、大きな異変が起きている。

“穴が開いたのり”

寿司職人:
“穴が開いたのり”が来るのが怖いです。

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寿司職人も悲鳴を上げる、“穴が開いたのり”とはいったい何なのか。

取材班は、日本一の養殖のり産地・佐賀県沖の有明海へ。最盛期を迎えているはずの漁場で目撃したのは、目を疑うような異変だった。

黒いはずののりが、黄色に変色。生育が十分に進まず、品質が低下する「色落ち」の被害だ。

のり漁師:
これはダメですね。製品にならない。具合が悪くなりますね、この色……。

有明海では、プランクトンの大量発生が招いた赤潮により、のりの生育に必要な栄養が不足したとみられている。

のり漁業者:
もう最悪です。43年間のり漁業をして一番最悪。

のり漁業者:
深刻な状態、死活問題になっている。プランクトンが発生して、終息しない海の状態。

「不作」で価格高騰…“質”にも影響

のりの不作は、海水温の上昇などにより、日本各地で起きている。

全国の生産量は、近年60億枚台で推移していたが、2022年度は50億枚を割り、過去最少となるおそれがあるという。

のりの大凶作により、取引価格は高騰を続けている。明治時代から続く都内の老舗すし店「おつな寿司」では、香り豊かでうまみもたっぷりの有明海産のりを使用しているが、1カ月で2500枚使うため、仕入れ額は13万円ほども上昇したという。

おつな寿司・6代目 近藤克哉さん:
一番高いときで、2割くらい(仕入れの)値段が上がりました。お土産でも、巻物はすごい数が出ますので、のりの値上げはすごく影響が大きい。

頭を悩ますのは、価格の高騰だけではない。

おつな寿司・6代目 近藤克哉さん:
のりに小さな穴が開いてるような感じになり、巻いたときに、ご飯の湿気を吸ったのりが、そこから裂けてくる。そうすると、商品として使えなくなってしまう。

不作の影響で、一部ののりに小さな穴が開き、太巻き作りに苦労しているという。恵方巻きの注文が殺到する節分の日を前に、不安は高まるばかりだ。

(「イット!」1月17日放送より)