リニアの現在地は…建設促進へ岸田首相が示す強い意欲 静岡県は新幹線の停車頻度増加?【静岡発】 テレビ静岡 2023年1月15日 日曜 午前10:30 政府がリニアの建設促進に強い意欲を見せ、「新幹線の停車頻度の増加」について取りまとめをする方針を示している。膠着した状況を打開できることになるのか、静岡県内を走る新幹線の現状とリニアの現在地を追った。 岸田首相が建設促進に意欲 この記事の画像(15枚) 年頭の記者会見で、岸田首相は「全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい」と建設促進にむけた強い意欲をかたった。 合わせて示したのが「静岡県内での新幹線の調査」だ。 岸田 文雄 首相: リニア開業後の東海道新幹線における静岡県内の駅等の停車頻度の増加について、本年夏をめどに一定の取りまとめを行い、関係者に丁寧な説明を行っていきたいと思います 乗車人員を比較すると… 東海道新幹線は「のぞみ中心」のダイヤが組まれている。例えば、東京駅を午後5時台に出発する列車は、計17本。のぞみが「12本」、ひかりが「2本」、こだまが「3本」だ。 ひかりが2本あっても、静岡県内の駅に止まるのは「1本」だけ。もう1本は通過してしまう。こうした状況の背景には「乗車人員」がある。 新幹線の乗車人員(JR東海調べ) 1日の乗車人員は、東京駅が10万4451人、名古屋が7万3747人、新大阪が8万4467人。 これに対して、静岡県内は三島が1万5319人、静岡が2万1207人、浜松が1万3731人だ。また、熱海駅は4825人、新富士駅4874人、掛川駅は4379人。 静岡県内6つの駅を合わせても、新大阪や名古屋、それに東京には及ばない。 ただ、大都市を結ぶ輸送力の担い手が「のぞみ」から「リニア」に代われば、県内に止まる「ひかり」「こだま」の本数が増えると予想されている。 静岡市長は歓迎 停車頻度がどれくらい増えるのか、国は夏をめどに「調査・シミュレーション」を進める方針を示している。 静岡県内で乗車人員の一番多い静岡駅周辺で聞いてみると、「乗る人は便利だと思うけど。乗る人が多くなる訳ではなくて、空きが多くなる」といった意見もあれば、「子供ができて、交通機関を使っていろいろなところに行きたいので、うれしい気持ちはあります」と様々な声があった。 静岡市の田辺市長は「停車本数の増加は、以前からJRに要望していた」と、国の調査開始を歓迎する考えを示した。 静岡市・田辺市長「大変なメリット」 静岡市・田辺 信宏 市長: 歓迎します。実質的に私たちにとって、新幹線ひかりの停車が増えるということは大変メリットがあります 首相より前に国交相も言及 リニアの建設で7都県のうち唯一始まっていない静岡工区の工事。大井川の水問題、南アルプスの自然保護の問題が残されている。 そんな静岡県のメリットについての言及は、年頭の岸田首相よりも前、年末に斉藤国交相がしていた。 斉藤国交相「利便性の向上に」 斉藤 鉄夫 国交相: 私の個人の考え方ですが、「こだま」や「ひかり」に乗ると新大阪-名古屋間の駅に停車した時に、一旦停車すると通過する「のぞみ」を待つのに5分ぐらい停車するというのが頻繁にあります。そういうことが無くなる。時間短縮効果も、利便性の向上にあるのではないかと 川勝知事「リニアは存亡の危機」 同じ日に、この発言を聞いた川勝知事は…。 川勝知事「リニアは存亡の危機」 静岡県・川勝 平太 知事: 斉藤大臣が言われたように、リニアが開通した暁にはダイヤが変わる。どのように変わるか夢物語を言う前に、いまリニアが直面している問題。私は、いまリニアは“存亡の危機”にあると思っております 「存亡の危機」としながらも、川勝知事は「日本の高い技術を生かすこと」「世界に示すため」リニアの建設には意味があるとも話した。 一方で、くり返される深刻な電力不足を挙げ、コロナ禍でテレワークが浸透したいま「リニアの必要性を示した上で、静岡県のメリットを説明すべき」と主張している。 川勝 平太 知事: 電力消費は厳しい。オンラインでも仕事ができるとなると「リニアは要るのか」と言われた時にどう答えられるのか。それをちゃんと答えて、かつ電力消費も大丈夫だと。そうした説明体系ができて、リニアができた時の静岡県のメリットとならないといけない。いま余りにも現状が変わりました 川勝知事は首相に質問・要望書の提出へ 神奈川工区を視察する川勝知事(2022年9月) さらに川勝知事は、今後行われる国の調査について、岸田首相に文書を送る考えを示した。 内容は「名古屋までの開業」「大阪までの開業」2つのケースの想定を求める要望や、財政面・車両基地に関する質問などだ。 静岡県内の新幹線は何本増えるのか、時間短縮はどれだけ進むのか。国は関係者へのヒアリングや分析、科学的な手法を重ね、さまざまなシミュレーションをしたいとしており、こうした調査もリニア整備の一環としている。 斉藤 鉄夫 国交相: このリニア中央新幹線について御理解をいただく上で、できるだけ情報を持っていただく。いろいろな事実について知っていただく。その上で御理解をいただく。こちらも丁寧に説明していくことは必要な事ではないかと思っています 状況の打開・進展に重要な1年に 有識者でつくる国の会議と県の会議が、どのような見解を示すのか。JRと、静岡県民・大井川流域の住民との対話はどこまで進むのか。 新しい年の始まりに、強い意欲を見せた国。膠着した状況の打開・議論の進展に、重要な1年となりそうだ。 (テレビ静岡) テレビ静岡 静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。 【よく一緒に読まれている記事】 「100m 11・65秒」陸上界期待のスプリンターは「速く走る方法」学ぶ“陸上一家”の女子高生【静岡発】 テレビ静岡の他の記事 労働者の祭典メーデー「収入を増やし生活の安定を」労働者が賃上げ訴え 都道府県 2025年5月1日 ゴールデンウィークのおでかけにオススメ!進化続ける”道の駅”の数々 近場で大満足できるスポットを紹介 ライフ 2025年5月1日 備蓄米はどこに?高止まり続く米価格 16週連続の値上がりで再び過去最高更新 一方で野菜価格は落ち着き取り戻す 麺類やパンの売り上げは例年と比べて増加 経済 2025年5月1日 交番勤務をしていた頃に被害者宅を把握 職務で知り得た情報を悪用し下着を盗んだ元警察官の初公判 起訴内容を全面的に認める 社会 2025年5月1日 一覧ページへ