中国の旧正月「春節」まであと少しだが、大混雑はすでに始まっている。コロナ禍での“民族大移動”に、テーマパークでは返金トラブルが発生。ビザ発給停止問題では日中間でビジネスを行う人にも影響が出ている。

「春節」目前“民族大移動”で大混雑

北京市内の鉄道駅。旧正月である春節まで10日あるが、すでに大混雑が始まっていた。

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帰省客が大移動することで、新型コロナの感染拡大も懸念される光景だ。

帰省する乗客:
(帰省による)感染リスクは避けられないと思うので、気にしていない。

FNN取材班が乗車したのは、北京と上海を約4時間で結ぶ高速鉄道。日本の新幹線に当たる乗り物だ。

ほぼ満員の車内では、ほとんどの乗客がマスクを着用していた。

なかには、医療用のマスクやフェイスシールドをしている人もいた。

列車の中には、売店があり、温かいお弁当などを購入することができる。

取材班は、途中にある山東省・済南西駅で下車。往来が自由になったことで再会できた家族の喜ぶ光景が見られた。

一方、感染を恐れてか、防護服を着ている人も見られた。

テーマパークで返金トラブル

感染拡大が収まらない中での春節は、首都・北京にとどまる人も多そうだ。

ユニバーサルスタジオ北京では、春節用のイベントが行われており、多くの客が楽しんでいた。

そうした中、一番人気というアトラクションで1月10日にトラブルが発生した。

「返金しろ!」「返金しろ!」

中国のSNSに投稿された動画には、アトラクションが故障したため、スタッフに「返金しろ」と客が迫る様子がとらえられていた。

現在は通常通りの営業に戻っているが、客からは不安の声なども聞かれた。

訪れた人:
家族にコロナにかかってない人がいるので、春節の外出は気をつけなきゃ。

ビザ問題に翻弄される日中間のビジネス

一方、日本人のビザ発給停止問題は解決の糸口が見えない。

中国政府は1月11日、新たに日本と韓国に対し、中国を経由して他国に向かう際に認められてきたビザ免除措置を停止すると発表。

さらには、秦剛外相が香港メディアの取材に、新型コロナの水際対策を強化した日本と韓国を名指しで批判した。

一方、岸田総理は……。

岸田首相:
(中国は)新型コロナウイルス対策とは一見、関係がないと思われる制限を一方的に行った。極めて遺憾である。

ビザ問題で日中政府の応酬が繰り広げられる中、翻弄されるのは、日中間でビジネスを行う人々だ。

出張前にビザが停止になった・北野貴史さん:
おそらく“ビザ発行はもうしないだろう”ということで、社内では様子見にしている。

中国側からの要請を受け、2月から、3年ぶりの中国出張を予定していた北野さんは、大きなショックを受けていた。

出張前にビザが停止になった・北野貴史さん:
(中国の)お客さんも悲しがっている。(お互いの)ビジネスに対する気持ちが離れていくことが一番不安です。

現在の状況について、日本政府の関係者からは「我慢比べになっている」との声も出ている。


(「イット!」1月12日放送より)