有明海のノリが記録的な不作となる可能性が出ている。雨が少なく、海の栄養塩が少なかったことなどが影響し、1月8日に入札を終えた秋芽網ノリは、販売枚数・額ともに昨シーズンの半分にとどまった。

冷凍での挽回に期待がかかるが、海の状況は改善されているとは言えず、漁業者からは不安の声があがっている。

枚数、額ともに昨シーズンの半分

1月8日、佐賀市で開かれた秋芽網ノリの最終入札会。4,200万枚余りが出品されたが、2022年と比べ、厳しい状況だ。

県有明海漁協 深川辰己参事:
(秋芽網ノリの)枚数は昨年の50%くらい。金額は46~47%になるかと思う

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今シーズンの秋芽網ノリは販売枚数、販売額ともに昨シーズンの半分程度という結果に。雨が少なく、海の栄養塩が少なかったことなどから、ノリ養殖に大きな影響が出た。

3日で黄色に…深刻な“色落ち”

挽回に期待がかかるのが、現在張り込まれている冷凍網ノリだが、漁業者は…

南川副支所のノリ漁師 田中志昌さん:
見通しないですね、もう。頑張ってとりますよ。とれるところは頑張ってとるんですけど、生活ギリギリされるか、されないかというくらい

県内最大のノリの産地・佐賀市の南川副支所の漁師、田中志昌さんと竹下勝治さんは、1月2日に張り込んだばかりのノリの状況に、衝撃を受けたという。

南川副支所のノリ漁師 田中志昌さん:
たった3日くらいしか経っていないのに、一瞬で黄色くなって。どうにもされない

プランクトンの増殖による赤潮が多く発生した沖合では、深刻なノリの色落ち被害が出た。比較的栄養塩が多い河口付近と比べると、色の違いは一目瞭然だ。

田中良宜記者:
ノリの色落ちが相当ひどい様子が見受けられます。辺り一面のノリが黄色く見えます

海の状況は改善されているとは言えず、色落ちは、沖合の広い範囲で確認されている。

南川副支所のノリ漁師 竹下勝治さん:
今まで漁期後半だったら(色落ちが)あるけど、今年は秋芽網ノリからあっているんで。製品化できるかどうか、先はわかりません

有明海に広がる異変に大きな不安

こうした状況は、1つの漁場だけではなく、有明海全体に広がっている。

芦刈支所のノリ漁師 土井勝朝さん:
これはダメ。多分製品にならない。具合が悪くなる、この色

小城市の芦刈支所のノリ漁師、土井勝朝さんは、養殖が解禁された当初から色落ちが始まったことに、これまでにない不安を感じている。

芦刈支所のノリ漁師 土井勝朝さん:
秋芽も冷凍も(ダメ)というのは、20数年してきて初めて。今年はどっちもだし、質の良いノリもとれないし、数もとれない

中には、海の状況が改善されるのを待つため、ノリ網の張り込みを見送っている漁業者も。土井さんは、今シーズンの結果がノリ漁業全体に大きな影響を与えるのではと懸念している。

芦刈支所のノリ漁師 土井勝朝さん:
もう今年だけとわかっていたらまだしも、来年も再来年もずっとこの海況が続いたら、さすがにノリ漁師は大変だと思う。この状況だったら、あきらめる人も出てくるのも当然かな

“恵みの雨”を祈る漁業者

県有明海漁協は今後、雨が降ることで海の栄養塩が回復することを期待している。

県有明海漁協 深川辰己参事:
今のところ打つ手がない。1月14日に雨を期待しているので、そこで好転が見られれば。まだ漁業者の方は全然あきらめていない。事務局のほうもハッパをかけている

(サガテレビ)

サガテレビ
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