1月2日、3年ぶりに行われた新年一般参賀には、天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが初めて出席された。

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また、今回はコロナの感染拡大を防ぐため、初めて事前申込制を導入。10万人以上の応募から、当選した人のうち7312人が訪れた。

ただ、コロナ禍での一般参賀ということもあり、歓声やマスク着用を巡り、様々な葛藤が――。

現場を取材したフジテレビ社会部の宮内庁キャップ、宮崎千歳記者が詳しくお伝えする。

愛子さまの初出席に静かなどよめき

皇居で3年ぶりに行われた新年一般参賀。

愛子さまの姿が見えると、会場に静かなどよめきが…
愛子さまの姿が見えると、会場に静かなどよめきが…

宮殿長和殿のベランダに、両陛下、上皇ご夫妻、秋篠宮ご夫妻に続いて愛子さまの姿が見えると、静かなどよめきが起きました。

愛子さまは集まった人たちを見渡し、初めて見る景色を確かめられているようだった
愛子さまは集まった人たちを見渡し、初めて見る景色を確かめられているようだった

愛子さまは両陛下の隣に立つと会場に集まった人たちを見渡し、初めて見る景色を確かめられているようでした。

そして、皆さまで手を振る場面なのですが…。

まず陛下、そして皇后さま、続いて上皇さまが手を振られ…
まず陛下、そして皇后さま、続いて上皇さまが手を振られ…
次は秋篠宮ご夫妻が…
次は秋篠宮ご夫妻が…
その様子を目の端で確認してから愛子さまも…
その様子を目の端で確認してから愛子さまも…

まず陛下、そして皇后さまが手を振られた後、上皇さま、秋篠宮ご夫妻が手を振られたことを目の端で確認してからご自分も手を振られます。

実は、手を振る順番にも慣例のようなものがあり、お立場の順に手を振り始めることになっているんです。

そのため、愛子さまも慎重に手を振るタイミングを計られていたようです。

全部で6回登場されましたが、回を追うごとに場に慣れ、表情も柔らかくなりました。

側近は、「晴れやかな行事に初めて出席することを心待ちにされていたご様子」と話しています。

「皇居を感染場所にしてはいけない」陛下の強い思い

今回、3年ぶりの一般参賀は初めて事前の応募制となったわけですが、その背景には、「皇居を感染場所にしてはいけない」という陛下の強い思いがあったからです。

事前応募には全国の10万2377人から応募があり、抽選で1回あたりおよそ1600人、合計9606人が当選し、倍率は約10.7倍でした。

こちらは、2019年の新年一般参賀の時にベランダ側から撮った写真です。

今回は3年前と比べて、より1人1人の顔や姿がベランダからよく見えたそう
今回は3年前と比べて、より1人1人の顔や姿がベランダからよく見えたそう

今回はこの時より間隔を空けて立っていることから、より1人1人の顔や姿がよく見えたそうです。

両陛下も皇族方も、「今日は晴れていて、一般参賀が出来て良かったですね」と口々に話されていたそうです。

皆さんマスク越しではありましたが、とても嬉しそうな晴れやかな笑顔でした。

そして、陛下の一般参賀の再開を願われる気持ちは、こちらのおことばからもしみじみと伝わってきます。

「3年の月日を経て、今日、こうして、皆さんと一緒に新年を祝うことを誠にうれしく思います。いろいろ大変なこともあるかと思いますが、本年が、皆さんにとって、安らかで良い年となるよう願っています。」

心のすぐ近くに居て下さるような温かさも感じられる
心のすぐ近くに居て下さるような温かさも感じられる

いろいろ大変なこともあるかと思いますが、という表現に、心のすぐ近くに居て下さるような温かさも感じられると思います。

来場出来なかった人にも、お姿やおことばを届けられるようにという配慮が…
来場出来なかった人にも、お姿やおことばを届けられるようにという配慮が…

今回、宮内庁は初めて、ホームページにお出ましの動画をアップしました。来場出来なかった人にも、お姿やおことばを届けられるようにという配慮があったようです。

ここで、注目のウラ情報がこちら。

「静けさに包まれた皇居」です。

今回の一般参賀は、これまでと大きな違いがありました。

3年前は、お姿が見えると会場から歓声が上がりました。

3年前は会場から歓声が…
3年前は会場から歓声が…

一方、今回は…。

小旗を振る音が響いた会場…感染予防のため、歓声を控えた様子がうかがえる
小旗を振る音が響いた会場…感染予防のため、歓声を控えた様子がうかがえる

会場には小旗を振る音が響き、感染予防のため、歓声を控えることが徹底されていました。

実はこのはためく音は、ベランダの中でもよく聞こえたそうなんです。

ルールを守ってお祝いしようとする、皆さんの思いを感じて、両陛下や皇族方はうれしく思われていたそうなので、双方向で気持ちが伝わっていたことが分かりますよね。

マスク着用にも影響…ベランダに“防弾ガラス”の理由

実は一般参賀には当初、天皇のお出ましはなかったんです。

一般参賀の始まりは戦後、今から75年前、1948年の元日です。

戦前には一般国民が皇居に入ることは考えられませんでしたが、新しい日本国憲法が施行され、国民から等しく参賀を受けるべきだという考えにより、一般の人から記帳を受け付けることになりました。

こちらは同じ年の昭和天皇の誕生日の一般参賀の様子です。

この日だけで、30万人以上が訪れ、昭和天皇は皆さんの姿を見たいと宮内庁の建物の屋根の上に出て手を振っています。

初めてのお出ましは3年後の1951年元日です。

初めてのお出ましは玄関の屋根部分だった
初めてのお出ましは玄関の屋根部分だった

昭和天皇と香淳皇后が立っている場所は宮内庁正面玄関の上の屋根の部分なんです。

この頃はまだ、今の宮殿はなかったんですね。

その後、1969年から今のように宮殿のベランダに天皇陛下や皇族方が立つ方法になりました。

宮殿のベランダへのお出ましは1969年から
宮殿のベランダへのお出ましは1969年から

ところがこのとき、ベランダにパチンコ玉が発射されるという残念な事件が起きました。

その結果、ベランダの前面に防弾ガラスが設置されるようになり、今に至っています。

そして今回、この防弾ガラスが実はマスクの着用にも影響を及ぼしました。

ある幹部に聞いたところ、「陛下は最後までマスクをされるかどうか迷われていた」そうなんです。

おことばの時だけマスクを外すことも検討されたそうですが、あの防弾ガラスに覆われたベランダの空間が結構、“密”なので、会話を交わす場合は着用を勧めるという専門家の意見も踏まえ、ご家族だけの空間ではあるものの、結局、外さないという選択をされました。

マスクをされていたので、こうして高齢の上皇さまを気遣い、お声をかけることも出来たのかもしれません。

(「イット!」1月4日放送)