新型コロナの感染予防として、小中学校ではマスク着用や給食での黙食が“日常”になっていったが、ウィズコロナにシフトしていく中でどう変化しているのだろうか。

文科省が作成する「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」 においては、「身体的距離が十分とれないときはマスクを着用するべきと考えられる」としたうえで、「十分な身体的距離が確保できる場合」「気温・湿度や暑さ指数(WBGT) が高い日」「体育の授業」などはマスク着用の必要はないとしている。

体育はマスク着用が不要(画像はイメージ)
体育はマスク着用が不要(画像はイメージ)
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そんな中で同省は11月29日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」において「飲食はなるべく少人数で黙食を基本とし、会話をする際にはマスクの着用を徹底すること」の記載を削除したことを受け、改めて各教育委員会に「座席配置の工夫や適切な換気の確保等の措置を講じた上で、給食の時間において、児童生徒等の間で会話を行うことも可能」だと通知した。

なお通知では「従前から、必ず『黙食』とすることを求めてはいない」とも伝えている。マスクの着用や給食時の指導は、学校教育活動の態様や地域の実情に応じた取り組みを行なっていると思うが、現状はどうなのだろうか?

(出典:文部科学省)
(出典:文部科学省)

例えば福岡市教育委員会は今年6月に黙食を見直し、都内では江戸川区教育委員会が11月の通知を受けて緩和を決めた。小中学校におけるマスク着用の考え方や給食の現状を、両教育委員会に聞いた。

福岡市「マスク着用は文科省に準じている」

まずは福岡市教育委員会にマスク着用や黙食への考え方を聞いた。

――マスク着用に関する基本的な方針を教えて。

文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」に準じており、福岡市独自で着脱すべき場面を設定したものはありません。また、国の指針の変更があればその都度修正し、各市立学校に通知しています。


――具体的に、現在のマスク着用をしない場面はどんなときとなる?

「屋外で人との距離が十分に確保できている時(登下校や休み時間など)」「体育の授業」「マスク着用中に苦しくなったり、体調や気分が悪くなった時」となります。


――6月から「大声でなければ会話を認める」と給食での黙食を見直している。今回の文科省から通知によって変わった点はある?

「黙食」に関しては、もともと文科省のマニュアルに記載がなく、「友達と会話しながら食事をする大切さ」などの観点から、「大声でなければ会話は可」として、福岡市では6月に方針を変更しています。以前から同様の取扱を行っておりますので、今回の通知を受けて変わった点はありません。

(画像はイメージ)
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なお福岡市のホームページには、黙食を見直した効果についての市民からの質問(10月受付)に対し「その後、感染者が増加する中、各学校では感染状況に応じて、可能な範囲で黙食の緩和の取組に努めてまいりましたが、これまで黙食緩和の影響で感染が拡大したと考えられる事例はございません」「子どもたちの反応でございますが、喫食中の会話を控えることが習慣化していたこともあり、当初は静かに食べている子どもたちが多い状況にありましたが、少しずつ会話も増え、給食時間中、子どもたちの笑顔も多くみられるようになってまいりました」と回答を公開している。

東京・江戸川区は3学期から「黙食緩和」

続いて江戸川区教育委員会。マスク着用の現状や「黙食緩和」を決めた経緯を聞いた。


――マスク着用に関する基本的な方針を教えて。

江戸川区独自の方針はなく、感染状況などを見つつ文部科学省のマニュアルに準じて、各学校で指導しています。マスク着用をしない場面は、体育や部活動、登下校の際などとなります。


――文科省からの「給食に関する通知」を受けて変わった点はある?

感染対策の観点から、これまでは基本的に席を向かい合わせに配置せず、「黙食」としていました。しかし、今回の通知を受けて3学期(来年1月)から緩和することを決め、「感染状況や学校の規模などに応じて対策した上で検討すること」を各学校に伝えています。


――この通知前から、保護者や児童生徒から「黙食緩和」の要望などはあった?

はい、保護者からございました。これらの要望もあり、そして今回の通知があったことから、黙食を緩和することにしました。なおまだ、始まっていませんので、児童生徒の黙食緩和に対する声は聞けていません。

(画像はイメージ)
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特に小学校の低学年は、入学した時からコロナ禍でマスク着用と給食黙食が当たり前の状況だったはず。感染状況をみながらとはなるが、少しづつ本来の学校生活に戻っていくことは良いことだろう。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。