「こどもの笑顔1回が1円の寄付になる」そんな不思議な実験が広島の保育園で始まった。この仕組みは、子どもに限らず、カメラが収録した人の顔をAIで笑顔かどうかを判断し、笑顔の回数の金額を寄付にあてるというもの。どのような仕組みなのかを取材した。

笑顔の数の金額を保育園などに寄付

五十川裕明記者:
廿日市市の保育園にやってきました。今まで、スマイルゼロ円という言葉は聞いたことがありましたが、新しい概念です。このタブレットが笑顔を価値あるものに変えてくれます

広島 廿日市市の保育園
広島 廿日市市の保育園
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保育園の廊下に設置されたのはタブレット。顔を寄せ合って笑う園児たち。

1人1回笑ったこの瞬間に1円が生まれる。笑顔を認証するAIを搭載したカメラが表情の変化を読み取り、自動でシャッターを押す仕組みだ。

Q:やってみた感想どうだった?
こどもA:
楽しかった

こどもB:
楽しかった。楽しい時間になった

この仕組みは、保護者が笑った我が子の写真を自由にダウンロードする代わりに、運営団体に月1,000円程度を出資。

その資金から笑った数の合計が、保育園の日用品の購入費や地元の子ども食堂の運営費として寄付される。原資にはこの団体への協賛企業からの寄付金も充当される。

仕組みを考案した ワン・スマイル・ファウンデーション 辻早紀代表理事:
笑顔を介在させて、富の再分配が行われていくという社会が、すべての人にとっていいであろうと思っているので、それを実現するためには、お金として回っていく仕組みを作らなくてはいけない。なので笑顔事業を色々考えて編み出している

作り笑いはカウントされない

五十川記者が実際に試してみた。
五十川裕明記者:
ちょっとやってみましょうか。マスクをしていると反応しないんですが、取りますと、いー。口角をあげるとスマイルと表示されました

五十川裕明記者
五十川裕明記者

いー、いま笑えました。自然な笑顔は反応しますね。左上に46、47とカウントされていきます。

いー、今カウントされましたね。自然な表情じゃないとだめですね。作り笑いはこれカウントしないですね。いー、反応しない

この試みは主催団体と同じ名前「ワン・スマイル・ファウンデーション(One Smile Foundation)=笑顔基金」と名付けられ、静岡県浜松市でも高齢者施設などで実施されているが、保育施設での取り組みは全国で初めて。

ワン・スマイル・ファウンデーション・辻早紀代表理事:
保育園内だけのビジネスで言うと、収益はどちらかというと物凄く薄利多売な形になると思いますね。たくさんの所に実装していくことによって塵も積もればではないですけれども運営体制をしっかりと回していけるような形に持っていこうと思っていますね
Q:たくさん笑ってもいいものですか?
大丈夫ですよ。ニコニコ破産しないように頑張ります

保育園では、1日3000回ほどの笑顔が集まると見込んでいて、寄付をする側もされる側も自然と温かい気持ちが芽生えそうだ。

この団体の実証実験はほかの地方自治体でも行われている。企業のCSR活動は多様化し、このような団体への寄付もその一つ。今後は店舗や街角の監視カメラに映った通行人の笑顔を、個人情報を保護した形でカウントして、地域に寄付として還元するといったやり方で広まることが期待されている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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