新型コロナウイルスの感染第8波に入り、高知では高齢者施設や医療機関でのクラスターが増加している。年末年始の感染拡大が心配される中、集団感染が発生した老人ホームで治療にあたる医師は、新薬「ゾコーバ」に期待を寄せている。

老人ホームでクラスター 治療にあたる医師が見た“内側”

感染防止用のガウンを着用する医師と看護師。クラスターが発生した高知市の老人ホームに訪問診療にやって来た。

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この施設には40人が入所しているが、12月1日から次々と入所者が発熱やのどの痛みを訴え、5日までに入所者7人・職員2人の計9人の感染が確認された。

朝倉医療クリニック・武市牧子院長:
こんにちは。変わりないかね

クラスターのさなか、コロナ患者の診療にあたるのは医療法人みずほ会・朝倉医療クリニックの院長・武市牧子医師だ。

朝倉医療クリニック・武市牧子院長:
基本的にどこの施設でも個室対応はしていると思うが、実際は勝手に部屋から出てしまうことが多い。しかもマスクをしてくれない。それらが(感染拡大の)大きな要因。本人たちに問題はない。仕方がないこと

老人ホームで1人目の感染が確認された12月2日、すべての入所者に部屋から出ないよう伝え「隔離」を試みた。
しかし、入所者の半数は認知症の症状があり「隔離」を忘れたり理解できなったりして、部屋から出る人も。さらに、マスクを嫌がってつけない人もいて、感染はあっという間に拡大した。

第8波により高齢者施設や医療機関で増加するクラスター。武市医師は、その背景に無症状の若者からの家庭内感染があると指摘する。

朝倉医療クリニック・武市牧子院長:
若い人はウイルスを持っていても発症しないか症状が出にくいから、自分がウイルスを排出していても認識がないことで家庭内感染し、家にいる医療従事者にうつしてしまって、そこから患者にうつしてしまう現象がかなり深刻

“第8波収束の鍵”「ゾコーバ」に注目

第8波をおさえる鍵として武市医師が注目するのが、11月に緊急承認された初の国産の飲み薬「ゾコーバ」。対象は12歳以上で、重症化リスクが低い軽症の患者に使えることがポイントだ。

朝倉医療クリニック・武市牧子院長:
(ゾコーバは)若い人にも使えるところに価値がある。(ゾコーバを飲むと)ほぼ翌日、翌々日にはのどの痛みが軽減したか無くなった。熱も37度台あるいは平熱まで下がったという効果がみられたことが大半

この老人ホームでは12月14日、クラスターが収束したとして、中止していた家族との面会を扉越しで再開した。

武市医師は、年明けのさらなる感染拡大に警鐘を鳴らす。

朝倉医療クリニック・武市牧子院長:
高知でも(1日の新規感染者が)2,000人、3,000人出てもおかしくない。ウイルスをばらまかないように、少しでも症状があれば受診してゾコーバを処方し、ウイルス量を減らすことが第8波を収束させる大きな鍵になる

老人ホームでは、職員がコロナ患者の部屋に入る時はマスクやガウンを着用するが、部屋の外にいる時は基本的に着用しておらず、患者が急に部屋から出てくると感染対策が間に合わないと頭を抱えている。コロナ禍が長引く中、感染対策の模索が続いている。

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
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