2022年J2昇格を決めたいわきFC。「90分間止まらないサッカー」それがこのチームが貫き通した、唯一無二のチカラ。いわきFCの誕生の背景、そして強さの秘密に迫る。

傷ついた福島に希望が誕生

東日本大震災、原発事故から3年後の2014年。チーム発足のきっかけとなった出来事があった。アメリカのスポーツ用品メーカー「アンダーアーマー」を日本で展開する企業「ドーム」が、復興を進めることを目的に福島県いわき市に物流センターを建設。

復興を目的に物流センターを建設
復興を目的に物流センターを建設
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「スポーツを通していわき市を東北一の都市にする」…ドームの支援を受け2016年に誕生したのがいわきFCだった。

2016年いわきFCが誕生
2016年いわきFCが誕生

Jリーグ入りへのスタートは、県社会人2部リーグ。リーグ優勝などの成績を残すことで、一段ずつカテゴリーが上がる仕組みだ。最高峰となる「J1」までは、最短で7年。

スタートは社会人2部リーグ
スタートは社会人2部リーグ

「フィジカル」に自信 Jへの階段へ

チーム発足2年目。J1からアマチュアまでクラブ日本一を決める天皇杯に、初めて福島県代表として出場。2回戦の相手は元日本代表・小野伸二選手が所属していたJ1の北海道コンサドーレ札幌。技術では札幌に劣るなか、肉体的な強さ「フィジカル」に自信を持っていた。同点で迎えた延長戦を制し、ここからJリーグへの階段をのぼり続けた。

2019年には、アマチュア最高峰のJFL昇格を決めた。2020年はあと一歩のところでJ3昇格を逃すが、2021年にはJFL優勝という最高の形でJ3昇格を決めた。Jリーグ入りにかかった期間は「6年」力の裏側には日本サッカー界に巻き起こした「革命」があった。

「止まらせてくれない」

チーム発足時に掲げたのが「日本のフィジカルスタンダードを変える」。体の強さや身体能力の高さ、いわゆる「フィジカル面」も戦術の一つと捉え、チーム作りを進めてきた。

フィジカル面も戦術の一つ
フィジカル面も戦術の一つ

いわきFCアスレティックトレーナー・穂苅敦さん:
いわきFCの一番の特徴は、チーム全体としてストレングストレーニングを行うっていうことが、多分日本でやっているクラブはまずないと思いますし。全体のコンディション見ながら、全員に対して適切な負荷をかけていくっていうところが、すごく特徴的なプログラムを組んでいるクラブだと思います

いわきFCアスレティックトレーナー・穂苅敦さん
いわきFCアスレティックトレーナー・穂苅敦さん

2022年夏にJ2・清水エスパルスから加入した川谷凪選手。高校時代は静岡の名門・静岡学園でプレーし全国大会も経験。そんな選手でも、これほどのトレーニングの強度の高さは初めての経験だった。

いわきFC・川谷凪選手:
自分、夏明けで来たんですけど、もう一発目の練習からめちゃくちゃきつくて。(清水)エスパルスしかまだやったことないのでわからないですけど、練習の強度はものすごく高いと思います

いわきFC・川谷凪選手
いわきFC・川谷凪選手

この5カ月でベンチプレスの重さが15キロ以上アップ。試合の出場機会も増え、成長を感じていた。

いわきFC・川谷凪選手:
連続して動き続けるっていうのが、多分ここのチームのコンセプトというかそういうのなので。止まらせてくれないので、自分で成長できた部分もだいぶ見えるかなって思います

いわきFC・川谷凪選手
いわきFC・川谷凪選手

さらに、陸上200メートルハードル元アジア記録保持者の秋本真吾さんが、2022年シーズンからスプリントコーチに就任。90分間走り続けるための「正しい走り方」を体にしみこませる。

スプリントコーチに就任・秋本真吾さん
スプリントコーチに就任・秋本真吾さん

秋本真吾コーチ:
「まだこれが100だと思わないで欲しいな」という感じで、選手にも言ってますけど。「えっまだ良くなるんスか?」って選手言ってるんですけども、いやいやいや全然「これからですよ」という感じで

強度の高いトレーニングと、それを可能にする環境と設備。「90分間止まらない・倒れないサッカー」を生み出している。

(福島テレビ)

福島テレビ
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