札幌市の医療機関がベンチャー企業と連携して、年中無休で夜間の往診を始めた。注目の新たな医療サービスを取材した。

新井 洋輔 医師:
北14条クリニック医師の新井です。往診に参りました

診察から薬の処方まで、365日、年中無休の”移動する病院”。
新井洋輔医師はこの夜、札幌市内の患者のもとを訪ねた。

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患者は40代の男性だ。発熱の症状があり、往診を依頼してきた。

患者:
5分くらい前に(熱を)測って39度になった

新井 洋輔 医師:
息がけっこう上がっているので苦しいのかなと。だるさが一番?喉とか痛いですか?

患者:
喉が痛いのはない。だるさと寒気ですね

男性は妻が新型コロナウイルスに感染して自宅で療養しているため、自身も4度、抗原検査を行ったが、すべて陰性だったという。ところが…。

新井 洋輔 医師:
ほぼ確定でコロナウイルス感染症陽性になりますね。自分でそこまで(鼻の奥に)突っ込む人は多くない。(検査を)自身でやっても陰性になる可能性があります

新井医師は男性に解熱鎮痛剤を処方して診療を終えた。

新井 洋輔 医師:
酸素の取り込みは問題なかったので自宅療養が可能と判断しました

夜間や休日に往診するこのサービスは、札幌市東区の訪問診療を軸とする医療機関、札幌北14条クリニックが行っている。

東京で時間外救急のプラットフォームを提供する「ファストドクター」と北海道の医療機関で初めて連携し、2022年9月からスタートした。往診を希望する患者は、電話やスマートフォンのアプリを通じて予約する。

消防庁の基準に基づいて治療の必要性が判断され、往診を担当する医師のもとに患者の情報が送られる仕組みだ。

こちらのクリニックは夜間往診を行っている午後6時から午前0時までで、5人から7人を診察している。

川崎 浩之 院長:
特に夜間は不安も増強してしまう。実際に診に来てもらえればそれだけでも安心する人がいる

クリニックがこのサービスを始めた理由はもうひとつある。ひっ迫する医療現場のサポートだ。

感染拡大に伴い、札幌市の病床使用率が高まり、救急車の稼働率も高くなっている。

深夜まで雪が降り続いたこの日、新井医師が最後に診察したのは6歳の男の子だった。

新井 洋輔 医師:
喉痛くない?

子ども:
いたくなーい。いたくないからやだ

発熱はなく検査の結果、陰性だったため様子を見ることになった。

新井 洋輔 医師:
より詳しい検査が必要か判断できれば、救急車を呼んで病院に行ってということもできるし、明日になったら病院に行ってくださいということもできる。(夜間・休日の往診は)救急車のコール件数を減らす意味で少なくとも一役買う、病院にかかれない人を助けることができる有意義な仕組み

夜間や休日も、患者のもとに駆け付け命をつなぐ医師の取り組みが続く。